日本海海洋上に浮かぶ船のライトを通じて意思疎通を行った二人の死人

0
アドリア海2 @phortl

怪電話の男が送ってよこした「告白記事」にはまだ幾ばくかの続きがあったけれど、自分はそこで読むのを休止し、ぼんやり宙を見上げた。狐につままれた思いと言うほかない心境だった。

2014-10-22 17:07:52
アドリア海2 @phortl

まず記事に書かれていた内容が、果たして本物であるのか自分には判断がつかなかった。怪電話の男=自称フリージャーナリストがどのような経歴を持った人物なのかがわかれば、信憑性を見極めるうえでのひとつの材料になるだろうと考え、その名を文面上にさがしたのだけれども

2014-10-22 17:12:38
アドリア海2 @phortl

あくまで「草稿段階」にあるからなのか、あるいはあえて削除したのか、それはどこにも見当たらなかった。

2014-10-22 17:13:25
アドリア海2 @phortl

次に、自分は記事上にあった三件の、自称フリージャーナリストによれば「怪死」が、きちんと名のあるメディアにまとめられていないかどうかネット上で検索を試みたが、こちらも思わしい結果は得られなかった。「告白記事」上における「犠牲者」の呼称が、すべてニックネームで統一されていることから

2014-10-22 17:22:32
アドリア海2 @phortl

サーチをかけるうえでのワードが絞りにくく、「石狩湾 溺死」など、具体的な地名等、彼の記事にあった要素を織り交ぜ何度かエンターキーを押したものの、どうもそれらしいことを記したデジタルニュースには行き着かなかった。

2014-10-22 17:33:47
アドリア海2 @phortl

やはりあの男は、ジャーナリストを自称する資格すらないほら吹き、あるいは詐欺師で、なんらかの邪悪なたくらみの元に今回一人の男の異様な死に様に直面した自分へ揺さぶりを掛けているだけなのであろうか?

2014-10-22 17:35:58
アドリア海2 @phortl

ただその一方で、そう断定してしまうのは気早であるようにも感ぜられた。自称フリージャーナリストの報告が正しいものであるとするなら、彼が言うところの3件の「怪死」は、世間ではあくまでも事故として処理されたわけで、

2014-10-22 17:54:29
アドリア海2 @phortl

そういう個々の事故に関しては、すべてがネット上に掲載されるとは限らない部分があったためだ。加えて、自称フリージャーナリストの「告白記事」では「犠牲者」の死への経緯がやけに詳細に語られており、

2014-10-22 17:59:54
アドリア海2 @phortl

絵空事のストーリーとしてそのようなものを1から組み上げる人間がいるなどと、自分はあまり想定したくなかった。

2014-10-22 18:04:03
アドリア海2 @phortl

さらに、記事上にあった「ジダン氏」の事例における一文、即ち『灯台のたもとから船を出したんだよお。』『午後8時かもう少しまわったころだったかな?陸地に向けてさ、ライトで合図したの。ライトをピカピカ閃光させてね。』という「ジダン氏」の遺言に、自分は強烈なデジャヴを禁じえなかった。

2014-10-22 18:29:56
アドリア海2 @phortl

自分の脳裏をよぎったのは、言うまでもなくすべての発端となったあの男、日本海沿岸の、灯台近くのゲストハウスにて、午後8時過ぎに海から発せられた謎の閃光に、「指令を受けた」との意味不明な感想を漏らしつつ

2014-10-22 20:25:20
アドリア海2 @phortl

妹への言伝、および自分の死の予測を残しつつ、翌日命を落とした、旧友によく似たあの男の横顔である。あの日ゲストハウスでおきた出来事と、記事上に刻まれた故「ジダン氏」の発言には、奇怪なまでに多くの共通点が見られた。

2014-10-22 20:28:29
アドリア海2 @phortl

自分は一瞬、あの日秋田の海上で、イカ釣り船とも錯覚しうる強光度のライトを明滅させ、あの男を精神薄弱状態に陥れた張本人が、この「ジダン」氏なのではないかという恐ろしい妄想にとらわれた。

2014-10-22 20:51:49
アドリア海2 @phortl

灯台近くの陸にいる何者かに「後のこと」を託し、直後上陸した日本海沿岸の小島で、想定外となる鬼の存在を目の当たりにした「ジダン氏」は己の死を悟り、また灯台近くのゲストハウスにて海上のフラッシュに「お告げ」を見出したあの男は男で命を落とす結末を迎えた。

2014-10-22 21:01:52
アドリア海2 @phortl

この二つの出来事には、連続したストーリー性を見出すことができるような気がしてならなかった。そういえばあの男もまた、「鬼の子孫」がどうたらと理解不能な迷いごとを言い置いていたのである。

2014-10-22 21:04:27
アドリア海2 @phortl

しかしながらその点に関心を抱いて、自称ジャーナリストの「告発記事」を読み直した自分は、その憶測はどうやら間違っているようだという結論に行き着いた。 あの男の死は今から10日前のこと。これはほかならぬ自分自身が証人であるのだから間違いようがない。

2014-10-22 21:14:17
アドリア海2 @phortl

これに対し、「ジダン氏」が命を落としたのは、「告発記事」によれば今から「約2週間前」。「約2週間前」を14日前のことと考えれば、ジダン氏はあのゲストハウスでの出来事より数日早くなくなっているわけだから、ライトを通じた両者の交流は、生じようがないということになる。

2014-10-22 21:16:21
アドリア海2 @phortl

もちろんここで、「2週間前」を「10日前」と強引に解釈すれば、二つの出来事のリンクは可能となりえなくもない。だが、それでもなお問題は残る。「告発記事」に記述された「ジダン氏」の死の経緯によると、氏は自ら掘ったまさに墓穴に埋まりその命を落とす実に三日前から

2014-10-23 15:18:56
アドリア海2 @phortl

新潟市北縁の海浜地帯に張り付きその穴の拡張に努め続けていたという。記事上における「女性」の話によれば、氏が秋田沖合いで陸地へ向かってライトサインを送ったのはその掘削工程より以前の話なわけだから、問題のクロスオーバーが生じえる日付は、

2014-10-23 15:29:45
アドリア海2 @phortl

彼の単純な命日からさらに3つ遡らなくてはならないこととなる。記事にあった「ジダン氏」の死の期日は今から「約2週間前」。 「約2週間前」はどれだけ都合よく解釈しても「8日前」を切ることはあるまい。それ未満の日数ともなると、「約」をつけても「1週間前」にならざるを得ない。

2014-10-23 15:33:09
アドリア海2 @phortl

この8に3を足すと11。「旧友もどきの男」が海上より光の指令を受けたのもいまから11日前。この極めて苦しい計算を押し通せば、わずかながらの可能性も見えてくる。だがその筋書きすら、以下に続く二つの事実、すなわちすべての材料たる「告発記事」の問題箇所が

2014-10-23 15:42:52
アドリア海2 @phortl

今日記されたものだと断定できる根拠は皆無であること、およびそもそも記事上における「女性」の証言をつぶさに見直せば、「ジダン氏」がライト付の船に乗りどこぞの沖合いに乗り出したその日付は、彼の死から少なくとも5日以上は遡られることの二点により、あえなく崩れ去るのである。

2014-10-23 15:48:47
アドリア海2 @phortl

あの日秋田沖合いの海上から、「旧友もどき」にメッセージを発したのは「ジダン氏」ではない。だとすると恐ろしいことに、氏の命日に極めて近接するタイミングで、氏と同様の奇行を犯した人物が、最低でももう一人は存在していたこととなる。

2014-10-23 15:52:54
アドリア海2 @phortl

それは一体誰で、何を目的としてそのようなことを行い、そして今現在はどうしているのだろうか?「ジダン氏」よろしく変死、あるいはその途上にあるのか、それともむしろ逆で、自称フリージャーナリストが幾度か糾弾した邪悪な意思の一部であるのか。

2014-10-23 15:56:47
アドリア海2 @phortl

考えるほど気味が悪くなり、さらにその何者かと現在間接的にではあるが係わり合いを持ってしまっている自身の身に危うさを感じ、自分はより多くの情報を収集せねばならぬという必要性に駆り立てられた。

2014-10-23 16:11:04