【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(2-2)【パロ】

万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

「あぁ、いいのよ。子供の服は汚れたり破れたりするのが当たり前だし。三着ずつ買ってあるし」 今度は「え？」ってきょとんとした顔。ん？そんなに意外なことだったかな？そんなあたしは言葉に「三着ずつですか。どうりで重いと思いました」とゲルダが苦笑していた。

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ゲルダはあたしの衣服を持って「では私はこれで」と頭を下げる。「夕食は１９時です」と言い残して優秀なメイド長様は去って行った。その背中が「報告書を仕上げて下さいね」って言っていて内心で苦笑しちゃうけど、表面には出さずに「今度一緒にモンスターズインク見ようね～」とエルサに話し掛けた。

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「もんしゅたーじゅいんく？」 もぉ～どうしてそう上手く言えないかなー。可愛い過ぎでしょ、ほんと。あたしはもう報告書なんて存在も忘れて、エルサを膝の上に抱っこした。 「そ。サリーっていう青いの、本名はジェームズ・P・サリバンっていうんだけど」 「じぇーむじゅ？サリーじゃないの？」

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「サリバンからとってサリーなの」 「ふぅん？マイクも？」 「マイクはマイクよ。マイク・ワゾウスキっていうの」 「まいくわじょしゅきー？」 「ぷっ、ふふ……違う違う。ワゾウスキよ」 「わじょーしゅきー？」 「っ、っ、くくっ……ふふっ、だから、わぞうすき……」 「わじょーしゅきー？」

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「ぷはっ！ぷっ、くくっ……」 もうやだ、なにこの子。あたし今から名前をワゾウスキに変えたい！ 「アナ？」 「ふふっ、くくくっ……いいよ、それで。まいく・わじょーしゅきー、ね」 「わじょーしゅきー」 響きが面白くて気に入ったのか、ちょっとノリ良く言ってはにかむエルサたん。

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あ、いま素手「たん」になっちゃったわ。いや、打ち間違えじゃないから。これほんとよ。 「エルサたんくぁーわーいいーねー」 「ぅ？」 あたしも意味わかんない発音になってエルサちゃんをわしゃわしゃ。あぅあぅ言ってるけど恐竜さんの尻尾がふりふりしてる。かわいい。 「アナ、ほーこくしょ？」

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って、ローテブルの上にあるノーパソを見たエルサちゃんがあたしの緩みきった脳ミソを現実に引き戻してくれた。あー、やっぱやらなきゃダメよね～。 「うん。そう」 「たいへん？」 「大変っていうか。大変って言うよりもあたしこういうの苦手なのよね」 「アナもにがてあるの？」

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「あるわよ、そりゃいっぱい」 「そーなの？」 メチャクチャきょとん顔でエルサちゃんが言う。あたしそんな万能人間見えるかな？むしろ逆だと思うんだけど。 「そりゃね～。でも、どうして？」 「んとね、おとなになったら、にがてとかなくなるんだっておもっての」 「あ、なるほど」

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なんとなくその気持ちが分かった気がして頷く。確かに大人になると子供頃怖かった事とか平気になっちゃうもんね。 （あたしもちっちゃい頃はニンジン苦手だったけど、今は食べれるし。好んで食べるようなことはしないけど） 大人っていうのは子供には万能に見えるものなのかもしれない。

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確かにあたしも何か分からない事は直ぐにお父さんに聞いていたし、恐い事があったらお母さんに甘えて、魔獣なんかとの戦い方はゲルダが教えてくれて、マナーや一般教養やちょっとした帝王学は執事頭のカイが教えてもらった。誰もが大人の人だった。 （あたしも、そんな風にならなきゃいけないんだ）

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お父さんが守ってくれるように、お母さんが包んでくれるように、ゲルダが背中を押してくれるように、カイが導いてくれるように。そんな『大人』のようにこの小さな子の傍にいなきゃいけないのかもしれない。 「あとアナ、ヒーローだっていってたから」 あ、それプラスヒーロー要素も必要みたい。

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「あはは。ヒーローでも苦手なものはあるわよ」 「ふぅん？」 納得しているような、納得してないような、そんな顔。大人って大変なのかもって思いながらも、あたしは「ま、いっか」と楽観的に思った。だって大人だろうが子供だろうかあたしはあたしでしかないから、自分に出来ることをするだけよ。

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「エルサちゃんは何が苦手？」 逆に問い返すとエルサは「ん～」と少しの間考え込んでから、 「……からいの」 と小さく呟いた。 （えと、まだ根に持ってるの？） 軽くトラウマをつくってしまったのかもしれない。あたしは深く反省しながら夕食に辛い物が出ないように切に願った。 ＊＊＊

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＊＊＊ 夕食は１９時、イコール、所用で出掛けているパパンとママンが帰ってくる時間。つまりエルサちゃんにあたしの両親を紹介する時。それまでまだ時間があるからあたしは少しでも書類をまとめて報告書を進めておかなきゃなんだけど、その間エルサちゃんをずっと放置しとくっていうのは頂けない。

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どうしようかと一瞬悩んで「あ、そうだ」って呟いてあたしは立ち上がった。エルサの「どうしたの？」って感じを視線を背中に受けながら、買った服が入ってたビニール袋を引っ張って来て中をゴソゴソ漁った。取り出したのはあたしの手の平よりは大きな丸い箱。

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そのパッケージには可愛くデフォルメされた二匹のネズミと穴開きチーズ。 あたしはそれを持ってエルサの隣に座り直すと、開封してエルサへと差し出した。 「はい、どーぞ」 「なぁに？」 あたしの手の平の上に乗った物、それは穴開きチーズに見立てた三角形の木製玩具。

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角の丸まった温かみのある木材の穴にはオレンジ色の紐が通っていて、ボール状のネズミが二匹離れ離れにその紐に通っている。 手の上に乗った物に鼻を近付けてくんくんっと匂いを嗅いでいるエルサに、あたしは「おもちゃだよ」と伝えた。 「おもちゃ？」 「そ。この二匹のネズミさんがいるでしょ？」

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「うん」 「この子達は仲良しの友達なんだけど、離れちゃってるよね？」 チーズの穴の中には縦横無尽に紐が通っていて、その紐上にいるネズミを指差して遊び方の説明する。 「この子達がまた仲良く遊べるようにエルサがくっつけてあげて？」 そう言いながらエルサの小さな両手の中に手渡す。

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首をあっちにこっちに傾げてオモチャを眺めるエルサちゃん。耳がぴるっぴるとっと震えて、尻尾がゆらゆら。あ、ちょっとは興味は持ってくれたみたい。 好みなんて分からなかったけどとにかく可愛いデザインだったから思わず買っちゃったオモチャ。そう。これ、実は子供用の知恵の輪。

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チーズに見立てた木材に紐が通してあって、この紐が通っているボール（ネズミ）を移動させて二つをくっ付けるパズル。アフリカンボールとかって呼ばれる種類の知恵の輪ね。ちなみに対象年齢４歳からって書いてあったから安全性は抜群よ！ 「？」 エルサは片手にチーズ、もう片手にネズミを持って、

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その二つをしげしげと眺めてから、あたしを見上げた。 「ネズミさんをくっつけるおもちゃ？」 主旨は理解してくれたみたい。あたしは大きく頷きながら視線でやってみてと促した。小さな指がネズミさんを掴んで紐の上をあっちへこっちへ。エルサは首を傾げて、また違う方へ移動させて……を繰り返す。

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頭上にクエッションマークがたくさん浮かばせたエルサは、次第に真剣な眼差しになって知恵の輪を弄り始めた。その姿を少しの間眺めながら、あたしも報告書作成画面に真剣な眼差しを向け……ようとしたんだけど、エルサの尻尾が時折ふわっと揺れてあたしの腕とか太腿を撫でるから、

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もうくすぐったくて集中できるわけなかった。キーボードを緩慢な速度でパチパチと打つ音に混じるあたしの微かな笑い声。エルサの耳は音に反応してピルピルしてるのに、本人は知恵の輪に夢中であたしに構ってくれない。いや、構って欲しいわけじゃないんだけどさ。あたし報告書やらなきゃだし。うん。

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エルサちゃんがこのオモチャ気に入ってくれて嬉しいわよ？ （「ぅ？」とか「ん？」とか可愛い声漏らしてるし……それ結構難しいのかな） ちなみにあたしは知恵の輪とかは苦手。最初はいいんだけど、外れなくてだんだんイライラしてきちゃってムキーっ！　ってなって窓の外に放り投げたくなるのよね。

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（ってか、あたしも集中集中！　提出遅れてもお父さんは苦笑いで許してくれるかもしれないけど、ゲルダには絶対怒られちゃうし。何よりこれも大事な仕事の内だし。報告書でまとめた方がお父さんとも情報の共有し易いし） エルサを守るために必要なこと。そう思うとやる気が出てきた。