#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】 #3～#4

春魔解丼 @vespiking

「こ、こない古い遺跡に、ナンデ……？」壁面には、石造りの艦艇が埋め込まれていた。この規模、駆逐艦だろうか。「軍艦の、彫像……？あっ、あれは！？」「ア、アイエエエエ！？」おお、見よ！駆逐艦の、その艦首に立つ人影の彫刻を！軍服を着た男の頭部は、目以外が覆われ……。 #KZNPLN

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「ニンジャ……？ニンジャ、ナンデ……？」ナムサン！駆逐艦の艦首に、ニンジャが立つ歴史的彫刻！何たる冒涜的前衛芸術か！龍驤はしめやかに失禁した。「ニ、ニンジャ……？このテンプルは、一体……」綾波は照明弾を打ち出した。……ナムサン！彫像は、駆逐艦だけではない！ #KZNPLN

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部屋はここで行き止まりのようだった。ニンジャが立つ、駆逐艦、空母、巡洋艦の彫像。何たる光景か……。歴史学者がここを訪れれば、己の知識と世界の真実とのあまりのギャップに、発狂するか心停止する事だろう。こんなものが、ヤセン・テンプルの地下にあったというのか！？ #KZNPLN

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綾波は冷静に状況判断する。そもそもヤセン・テンプルの丘陵の体積からして、この区画の存在はありえぬものだ。今、この場所は地理的に見て、どの区画に属している？……綾波はぞわりと、背に嫌な感覚を覚えた。異次元めいて不連続な、多層構造。それを繋ぐ、不可解な物理的経路。 #KZNPLN

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「ヤセン・テンプルが特殊なんじゃ、ない……？」綾波はぽつりと呟いた。「あ、綾波＝サン……？」「キョートの地下そのものが、スガモと同じ、多層構造……そう、考えれば、辻褄が……」その時だ！綾波の背後に、敵意をもった存在感が出現したのは！ #KZNPLN

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「……こちら妙高。応答せよ」『ドーモ、妙高＝サン。由良です』黒髪シニョンの重巡、妙高はマイヅルの廃墟で気配を殺す。「五十鈴＝サンの同行は」『どうやら、なかなか強引な手段に出たようですね。彼女らしい。望月＝サンも噛んでいるようです』「標的は」『聖なるマキモノ甲板』 #KZNPLN

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「軽巡アスタロト、及び重巡妙高を撃破。マイヅル鎮守府は私が抑えますわ。由良＝サンは、後始末の準備を」『エエ、そのつもりです。私もそっちへ向かってます』「了解。では、シツレイ」『ええ、シツレイ』妙高は無線機を入念にオフにし、懐に仕舞い、何かを取り出した。 #KZNPLN

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「ドッソイ！オラーッ！」ＣＲＡＡＡＡＳＨ！瞬間、３メートルはあろうかという巨大な駆逐艦の張り手が、廃墟の壁を破壊する！「イヤーッ！」妙高はこれを華麗なバックフリップで回避！巨大駆逐艦へと向き直る。「……誰もいませんわね、貴女以外。いいですわ。全力でお相手します」 #KZNPLN

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刹那！巨大駆逐艦へ向け、先程取り出した物体が飛来する！「ヌウーッ！」巨大駆逐艦は闘犬めいた身のこなしでこれを回避！床に刺さるは……十文字型の、鉄製の刃物！コワイ！「ドーモ、時津風＝サン。駆逐艦初風です」巨大駆逐艦の背後から、もう1隻の戦闘艦がエントリーした。 #KZNPLN

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初風と共に、時津風を挟むように立つ妙高はポケットから悠々と白色迷彩柄スカーフを取り出し、上品に口元へ巻き付け、整った結び目を首元に作る。口元を隠した彼女は掌を合わせ、時津風へ奥ゆかしくオジギした。恐るべき戦闘者のアトモスフィアを纏って。 #KZNPLN

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「ドーモ、時津風＝サン。先程粗相を致しました重巡、妙高の事はお忘れ下さい。……これより妙高に代わり、この不肖ミルグラムがお相手致しますわ」ミルグラムと名乗った黒髪シニョンの重巡は、オジギからコンマ２秒後、既に時津風の視界から消えていた！ #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】 #3終わり。 #4へ続く。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】#4 #KZNPLN

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「キエーッ！」「イヤーッ！」綾波は電撃的速度で背後の戦闘的気配へ反応！オーバーヘッドキックで戦闘者を迎撃！「アバーッ！」「イヤーッ！」さらに追撃のミドルキック！吹き飛んだ戦闘者に銃口を向け、ザンシンした。「ア、バー……」「ア、アイエエエ……？」 #KZNPLN

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刹那、綾波は戦慄する。一呼吸遅れ、状況を認識した龍驤もだ。「ア、バー」病衣めいた粗末な装束を纏う戦闘者はむくりと起き上がり、こちらへ戦闘続行意思を示す。その顔面に目玉らしきものはなく、左腕はない。かわりに右腕が肥大化し、艤装からは大口径砲が無理に生える。 #KZNPLN

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見た目は駆逐艦のようだが、艤装は明らかに巡洋艦、或いは巡洋戦艦クラスのそれだ。異形の戦闘者はわけのわからぬ呻き声で威嚇しながら、不格好にカラテで殴りかかる。「ア、バー」｢イ、イヤーッ！｣綾波はこれを回避し、連続バックフリップで距離を置いた。｢貴女、いったい……｣ #KZNPLN

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｢イ、イヤーッ！｣龍驤は反射的にマキモノを広げ、爆撃機を放つ！｢アバー？アババーッ！｣戦闘者は爆弾の直撃をうけ、動かなくなった。｢ア、アイエエエ……アイエエエ……｣龍驤はへなへなと崩れ落ちる。｢ア……ご、ごめん……は、反射的、に……｣綾波は戦闘者に駆け寄った。 #KZNPLN

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綾波は戦闘者を検めた。既に絶命している。だが、それ以上に綾波の目を引いたのは、左腕と眼窩だ。｢……これ、は｣龍驤は泣きながら頭を抱え、カタカタと震える。｢ア、アア……堪忍してや……アイエエエ……｣戦闘者の欠損箇所には、縫合や治療の跡はない。後天的なものではない。 #KZNPLN

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先天性の病理的欠損……そんな事が有り得るのか？艦娘は自然生殖で誕生する生物ではない。ドックで培養され建造される、主として軍事用の人工生物だ。遺伝子的異常は培養段階で間引かれる。物理的な奇形のまま建造され、ましてそこへ、奇形を利用するような過重艤装を搭載など……。 #KZNPLN

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綾波は遺体の首元を検め、全身の血が逆流した。「……龍驤＝サン。安心して下さい。貴女は悪くない」「ア、アイエ、アイエエエ……？」戦闘者の首元には、識別用バーコードが刻まれていた。綾波は理解した。……この子は商品として、こうなるように、造られたのだ。 #KZNPLN

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「……ひどい。そんな……あまりに、だって、誰が、こんな事……！」綾波はふつふつと怒りを燃やす。「同感だな。全く悪趣味だ」背後からの声に、綾波は素早く反応した。「誰ですかッ！」「アー、アー。落ち着け。自己紹介が遅れたな。ドーモ、私はランドグリーズ。ケチな傭兵だ」 #KZNPLN

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広間にエントリーしたコンバットスーツの艦娘は、ロングバレル式VT信管ランチャーを担ぎながらアイサツした。背後には、異形のバイオ艦娘。「アイエエエ……だ、誰……？」「ドーモ。綾波です。……貴女がこの子を？」綾波は警戒を緩めない。 #KZNPLN

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「違うな。こいつは依頼人からの貸与品だ。尤も、連中はリースとは思ってないだろうが。全くもって悪趣味だ」ランドグリーズはランチャーを綾波へ向けた。「ひとつ聞きたい。マキモノの在処を知っているか」「……知りません」ランドグリーズはトリガに指をかけた。 #KZNPLN