紅鎮守府日記 コンゴウ・バンケッド編

SS、コンゴウ・バンケッドのまとめ
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戦争さん @RAKUNYA

タンッ、と。ダンスのステップのような音が耳朶を打つ。 たった一回の踏み込みで、地面を滑るように提督が距離を詰めてくる。 3メートルはあった距離がゼロになり。 眼前にあるのは、白い提督服。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 01:00:16
戦争さん @RAKUNYA

竹光の鞘を、蹴り上げるため。 「―――shit!! 」 器用につま先で鞘を引っかけ、そのまま金剛の喉元へ蹴り上げる。 それを間一髪かわすと、バク転で大きく後ろに下がり、体勢を立て直そうとする金剛。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:58:29
戦争さん @RAKUNYA

スッと。 重心をずらす提督。その手は食らわないと踏み込もうとする金剛。そして、足をわずかに前に出した時点で、彼女は気づいた。提督の足下にあるもの。 先ほど自分が投げ、提督の注意を逸らすために使った、竹光の鞘。 重心がずれたのは体重を傾けたから。その理由は―― #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:58:12
戦争さん @RAKUNYA

「しかし、少し疲れたな」 わずかに押し込まれながら、提督は言う。 「――終わりにしよう」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:57:42
戦争さん @RAKUNYA

互いに息を切らせながら、ギリギリと拮抗する両者。 「……成長したな。金剛」 「だったら指輪、くれてもイインジャない? 」 「それとこれとはまた別だ」 「いけずネー」 にらみ合いながらも言葉を交わす。 その顔は、笑っていた。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:57:22
戦争さん @RAKUNYA

その攻防が始まってどれくらいしただろうか。数秒のようにも、数時間のようにも思える不思議な感覚の後、ガンッ!!という大きな音と共に両者の手が止まる。 金剛は正眼から竹光を振り下ろした状態で。提督はそれを腕の交差によって受け止める形で。 「…………」 「…………」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:56:53
戦争さん @RAKUNYA

「……青葉、これは実況できません」 「鬼気迫る、とはこのことでしょうね」 そう呟く二人と同じように、物見遊山で見学に来ていた取り巻く艦娘たちも皆、開いた口がふさがらない様子で決闘を見守る。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:56:34
戦争さん @RAKUNYA

受け止められ、反作用で跳ね上がった刀身を無理矢理制御して斬りかかる金剛と、それを受けようとする提督。 ドガガガガガ!!!!という掘削機のような音を立てながら。目にもとまらぬ連撃を放ち、受け、反撃し、防ぐという攻防を繰り返す二人。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:56:18
戦争さん @RAKUNYA

「――ッ!! 」 とっさに鞘を拳でたたき落とす提督。そして―― 「HEーY!! 」 間合いへと踏み込んだ金剛が、"自らの腰に刃の反りをを合わせて居合いを放つ"。 「クソッタレ!! 」 吐き捨てながら右足を高く上げ、すね当てで居合いを受け止める。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:55:40
戦争さん @RAKUNYA

「……鞘受け、お見事」 「それは皮肉デース……」 金剛は拳を叩き込まれ真ん中が砕けてヘコんでいる鞘を振る。 「これはさすがにもう使えないネー」 そう言って、鞘を放り投げる。 提督の方へ。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:55:07
戦争さん @RAKUNYA

ガンッ!! という音と共にそれを左手の籠手で受け止める提督。さらに籠手を刀身で滑らせながら、一気に金剛の懐へ入ると大きく足を鳴らし、右拳を叩き込む。 短い破裂するような音が鳴ると、金剛の体が数メートル後方へ下がる。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:54:27
戦争さん @RAKUNYA

しかしそれすらも誘導。すぐさまさらに踏み込んでからの返す刀。かつての剣豪が使ったという『燕返し』に似た剣戟を見せる。だが。 「まだ甘いな」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:54:04
戦争さん @RAKUNYA

解説と実況がそんな話をしている間にも、決闘中の両者はじりじりと互いの間合いを取り合う。 「……どうした金剛。指輪が欲しいんじゃないのか」 「言われなくてもわかっている……ネ!!」 踏み込みからの居合い。提督はわずかに体を傾けてそれを避ける。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:53:48
戦争さん @RAKUNYA

「……これ、イメージPVとかではなく? 」 「はい」 「今の一瞬でこれが全て起こったんですか? 」 「はい。私もすべて見えていたわけではありませんが」 「……何者ですか。彼らは」 「提督と戦艦ですね」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:53:23
戦争さん @RAKUNYA

しかしそこで終わらない。力のベクトル上、提督の上空へと投げ出された金剛は、そこからさらに一旦納刀、そして居合いを放ったのだ。 提督が振り返ったのは納刀の瞬間。そして次の瞬間には背後へ飛び、間合いを取っている。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:52:36
戦争さん @RAKUNYA

その言葉と同時に会場にある巨大モニターへ先ほどのスロー映像が映し出される。 そこではゆっくりとした開始のブザーと同時に、すでに金剛が竹光の居合いを放っている。それに籠手をあわせ、さらに居合いの力を利用して刀ごと金剛を投げ飛ばす提督。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:52:22
戦争さん @RAKUNYA

「私もはっきりと見えたわけではないんですけど、まず開始直後に金剛さんが居合いを放って、それを利用して提督が金剛さんを投げ飛ばしましたね。あとは両者の言葉通りなのでしょう」 「は? え、はい? 」 「あ、スローが来てますね。確認しましょう」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:51:16
戦争さん @RAKUNYA

「ヘーイ提督ぅ! いきなり女の子を投げ飛ばすなんてヒドくないデスカ? 」 「空中に放り投げられながら居合いをするやつを果たして女の子と呼んでいいのか? 」 「……えっと、なにが起きているんですか? 」 あまりに妙な両者の動きの意味を求めるように青葉は古鷹を見る。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:50:53
戦争さん @RAKUNYA

「へ……? 」 全員があっけにとられる中、提督はトドメを刺そうと体を反転させ。 そして後方に思いっきり転がる。その間に金剛は空中で身を捻ると穏やかに着地する。 立ち位置を変えるような形で再び向かい合う両者。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:50:12
戦争さん @RAKUNYA

「さて、それじゃあ」 「始めまショウカ」 その言葉を合図に、試合開始のブザーが鳴る。その瞬間。 「さぁ試合開――」 金剛の体が、ぽーんという擬音が似合いそうな風に提督の上空を舞う。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:49:53
戦争さん @RAKUNYA

提督は手にはめた籠手を締め直しながら言う。 「本来は素手なんだがな。さすがに刃物相手は厳しい」 「構わないネー。むしろ手加減はいらないカナ? 」 「いやいや、さすがに折れるから」 古鷹の解説をBGMに語り合う両者。そして、互いにフッと笑い合う。 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:49:33
戦争さん @RAKUNYA

「が、しかし!!殺し合ってはマズイので金剛さんは竹光、提督は籠手にすね当てとなっております!! 古鷹さん、どう見られますか? 」 「そうですね、本来なら素手と刃物ではそもそも試合になりませんが――」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:48:56
戦争さん @RAKUNYA

盛り上がる青葉に対し、説明が進むにつれて競技場の中心に立つ二人の空気は、徐々に張り詰めたものとなっていく。 「さらに今回はそれぞれの得意な武器の使用もあります!! 」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:48:04
戦争さん @RAKUNYA

「さて、それではここで勝負内容を説明したいと思います! 」 実況役を名乗るだけあって、それなりの仕事はするつもりらしいと思いつつも体をほぐす提督。 「試合形式は時間無制限の一騎討ち! どちらかの降参か続行不能で試合終了となります!! 」 #紅鎮守府日記

2014-07-19 00:47:15