「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」#5・再放送Ver(実況なし)
「今更あいつが戻ってきたぞ、ニンジャスレイヤー。いけない事だ」セイジは不定形の影を睨んだ。無数の目が瞬きした。「イケナイ」「そうだ。イケナイ。俺の権利を奪おうとしている。追って来ている。浅ましい存在だ。俺の行動を今まで黙認しておきながら!今になって!奴は惜しくなったのだ!」17
2014-12-05 19:36:23「オオ……オオ」不定形の影は震え、嗚咽めいた音を漏らす。「恐れる事は無い」セイジは言った。エーリアス・ディクタスのサイコ攻撃は彼を相当に追い詰めた。だが彼は打ち克った!その際、彼は、己のニンジャソウルとより深くコネクトするすべを学んだ。より深い対話を! 18
2014-12-05 19:41:43「力が要る!お前は出し惜しみをしている」セイジが責めた。「出し惜しみを……」不定形の影が震えた。セイジは怒りに満ちた目を向けた。「やはりそうか!よこせ!」「よこせ……」「そうだ!よこせ。既に俺はニンジャを沢山殺したぞ。その力をよこせ!」「オオ……」 19
2014-12-05 19:48:06不定形のソウルが燃える枝をセイジに伸ばす。セイジの身体に蔦めいて巻きつく。炎が脈打つ。「よこせ……」「そうだ。力をよこせ。俺はニンジャスレイヤーだ」「ヨコセ……」セイジの身体に炎が巻きつき、徐々に紅蓮の装束を形作る。それにつれて不定形のソウルがしぼんでゆく。セイジは笑った。 20
2014-12-05 19:55:38セイジはアグラを解き、立ち上がった。「イヤーッ!」パンチ!「イヤーッ!」水面蹴り!「イヤーッ!」回し蹴り!彼は呟いた。「奴と切り結んでわかった。俺は奴に勝てる。奴は永く不在だった。俺は戦いの中で己を磨き続けて来た!俺は勝つ!」彼は叫んだ。コトダマ空間に彼の声は吸い込まれた。 21
2014-12-05 19:57:200010……サン?」セイジは目を開き、UNIXモニタ点滅を見る。ナブケだ。「準備は?万端か」セイジはたずねた。ナブケが返す。「いいナビゲーションが出来て自画自賛したい。全員、保守管理の人員に化けて、うまい配置をしていってますよ」「初回で必ず成功させるぞ。警戒されたら難儀だ」22
2014-12-05 20:02:03「あととととは、例のアレです、オリジンですよね」カツラの言葉が光った。「……?」セイジは眉根を寄せた。「どうした?今、何か」「ラグですかね」「ちょっと頻度が多いな」とナブケ。「まさか攻撃を受けているか?」「再確認重点」「警戒しろよ」「勿論ですよニンジャスレイヤー=サン」23
2014-12-05 20:03:56「アイエエ、アイエエ」床に転がされたウミノがもがく。後ろ手に縛られている。彼らは既にマルノウチ・スゴイタカイビル、コントロールセンター内だ。部屋の隅には無残に殺された警備職員達の死体が寄せられていた。「君達は、何が目的だね?コワイ……」「目的?」セイジはウミノのもとへ歩く。24
2014-12-05 20:09:39「イヤーッ!」セイジは踵を振り下ろした。「アイエーッ!?」「……ハハハハハハ!」紅蓮のニンジャは哄笑した。踵はウミノの目と鼻の先の床を砕いていた。「目的だと?全ニンジャ抹殺!他に何がある。貴様のような邪悪存在をこの世に一秒のさばらせる毎に不快だ!だがまだ我慢してやる」25
2014-12-05 20:16:04「ち、ちなみに、なぜ我慢を!」ウミノが尋ねた。彼の焦点は定まりづらく、ヨダレを垂らしている。紅蓮のニンジャは侮蔑の目で見下ろした。「平安時代、ニンジャは橋を建築する際に人々を川に沈めて土台とした。ダークサイド・オブ・ヒストリーだ。私はそれをニンジャに対して行う」「成る程……」26
2014-12-05 20:16:47「スゴイタカイビルはニンジャスレイヤーの墓標、記念碑!ゆえに灰燼と帰せしめる必要がある。何故ダイング・ブリードがのさばりニュー・ブラッドの躍進を阻む?最悪の行いだろう……イクサの表舞台をひとたび退場した者に戻る資格など無い。時代は前に進むんだよ!」「だが、君が?」「当然だ!」27
2014-12-05 20:27:55彼は語気を強める。「ニンジャスレイヤーに連なる存在は全て過去の遺物!これらと訣別!貴様はその象徴としてこのビルと共に沈む!私は完全性を手にし、あのスパルタカスにも勝つ!」「スパルタカス?」「もう黙れ!イヤーッ!」「 アイエエエ!」ウミノの顔の横の床に新たな破砕痕が穿たれた。28
2014-12-05 20:40:25「私はニンジャを、かつてニンジャがモータルをそうしたが如く虐げ、屈服させ、殺す……そうして私はニンジャをも凌駕する高位存在となる!超ニンジャ存在!わかるかッ!」「ア、ア、ア!それは!?」ウミノが身悶えした。何かが彼の精神を落雷めいて打ち据えたのだ!「それはしかし!しかし!」 29
2014-12-05 20:44:20ビゴッ!アラート音だ。セイジはセキュリティモニタ群を振り返った。それらの幾つかに、保守管理スタッフに偽装させたシンジケート兵が映っていた。ムカデベイン・ヤクザクランのオヤブンを通して手配させたヨタモノやヒョットコの類いだ。彼らの傍には、設置された危険タンク!スタンバイだ!30
2014-12-05 20:46:50「これが力だ。カラテそしてカネそして権力!見ているかニンジャスレイヤー。これが私だ。私がニンジャスレイヤーなのだ。お前はもういない。私だ。お前より出でてお前を超える存在。語られぬお前の歴史空白を自在に補完し、編纂し、お前を後継する存在だ。私は……」ブガー!ブガー!ブガー! 31
2014-12-05 20:49:55モニタが一斉に点滅!そして一斉に点灯する「NOPE」の文字!「何が……」セイジは目を見開いた。バチバチとノイズが鳴り、セキュリティモニタが復帰した。彼は目撃した。そのモニタの一つで、丁度、私兵が大柄なニンジャの肘打ちと回し蹴りを受けて吹き飛ぶところだった。ディテクティヴ! 32
2014-12-05 20:59:40「まずずずずいでででです」カツラのIRC通信が混線!「実際ハッキキキキキンググググ」エビウミのアカウントが高速点滅!「復帰に時間がががが」ナブケまで!さらに別のモニタでは、アンブッシュからヒョットコの顔面を掴んで叩き伏せるエーリアス・ディクタス!セイジは目を血走らせる! 33
2014-12-05 21:01:38「コントトトロール取り戻しました」ナブケからの通信!「よしッ!」セイジはウミノの首を掴んで立たせる!「ここは手狭だ!来い!儀式を前倒しだ!」「アイエエエ!」「ニンジャども……くだらん抵抗を。思う壺だ。貴様らもこのクズニンジャ同様に、ビルごと埋葬重点よ!」 34
2014-12-05 21:03:11セイジはセキュリティルームをウミノと共に飛び出した。インカムに向かって叫ぶ!「起爆コントロールを再確保しろ!私が安全を確保し次第やれるよう準備しろ!気張れ!」「やってます!完全復帰もう少しかかります」「二分でやれ!」「ヨロコンデデデデデ」 35
2014-12-05 21:05:49「イヤーッ!」セイジはウミノとともに業務用エレベータに飛び込んだ。恐るべき速度で上昇!フオオオオン……風を切る音がエレベータ内にも届く!「起爆コントロール確保中……確保保保中……」ナブケからのリポートが継続的に耳元で繰り返される。「アイエエエ!」ウミノが悲鳴を上げる! 36
2014-12-05 21:09:07ナムサン……暗闘の一方、スゴイタカイビル低層のデパートフロアでは市民たちが買い物に興じ、レストランフロアではスシやテンプラに家族たちが舌鼓を打ち、上層ではカチグミ・サラリマン達が激しい業務に神経をすり減らしているのだ。セイジの妄執の成就如何に己の命がかかっているとも知らず! 37
2014-12-05 21:11:37ポーン!「最上階、展望フロアドスエ」合成マイコ音声!「イヤーッ!」セイジはエレベーターから飛び出す!ウミノを引き摺るように連れ、業務用階段を駆け上がる!「イヤーッ!」KRAAASH!鉄扉を破壊し、シャチホコ・ガーゴイルに囲まれた屋上へエントリーする! 38
2014-12-05 21:12:01ババラババラバラ……上空ではセイジがチャーターしたヘリコプターがホバリングしている。眼下に広がるは不夜城ネオサイタマのネオンの海。「ハーッ……ハーッ……」セイジは血走った目で見渡した。やがて彼の視線は、彼が居る場所の対角、シャチホコ・ガーゴイル上の影に釘付けとなった。 39
2014-12-05 21:15:29「イ……イヤーッ!」セイジはウミノを背後のシャチホコに叩き付け、拘束ロープにスリケンを突き立て、シャチホコに縫いつけた。「アイエエエ!」そして向き直った。うずくまる赤黒の影……センコ花火めいた眼光がセイジの網膜に焼き付く。「ようこそ」無感情な声がセイジに向かって発せられた。 40
2014-12-05 21:19:37「シューッ……」セイジは深く呼吸した。紅蓮の装束から炎が噴き出し、両腕に収束した。赤黒の影がゆらりと立ち上がる。そしてアイサツした。断定的に。「ドーモ。ニンジャキラー=サン。ニンジャスレイヤーです」 41
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