TCR再構成 ~超初心者向け:STAP細胞よもやま話~
@Butayama3 もちろん,皮膚の細胞なのか神経の細胞なのかは,見た目や作っているタンパク質などで簡単に区別できるのですが,STAP細胞の場合,「もともとは心筋細胞だの肝臓細胞だのだったものが酸に漬けられて,多能性のあるSTAP細胞に変わりました」という話なわけです。
2015-01-26 23:56:59@Butayama3 それで,今の細胞の状態が「多能性のある細胞っぽい」はわりと簡単に示せるのですが,「前は心筋細胞でした,肝臓の細胞でした」というのは,今の技術では痕跡を探すことが難しいのです。
2015-01-26 23:58:57ところが「前は何の細胞だったか」がわかりやすい例外がある。
@Butayama3 ところが,生物の世界は例外がつきもので,例外的に「前は何の細胞だった」であるかを比較的,簡単に突き止められる細胞があるのです。それが,T細胞とB細胞です。縞うさぎの細胞であれば,もっているゲノムは原則としてすべて同じと書きましたが,T細胞とB細胞は例外です。
2015-01-27 00:02:36@Butayama3 T細胞とB細胞だけは,ゲノムのほんの一部ですが,ちょこっとだけ切り出されて短くなるのです。その「ほんの一部」がT細胞レセプター(TCR),B細胞レセプター(BCR=抗体)の遺伝子部分なのです。仕組みは同じなので,T細胞だけに話を絞りますね。
2015-01-27 00:05:29@shima_usa96 あ、そうか。それが抗原によって変わるTCRと、あとはB細胞は免疫グロブリンを作るから。
2015-01-27 00:05:41T細胞とB細胞にはちょっと変わってるのね。
@Butayama3 そうなのです。抗原はそれこそ無数にあるので,すべてに対応しようとすると,数百万とか数千万種類のタンパク質(TCR)の遺伝子を用意しなくてはなりませんが,そんなことは実際にはとても無理です。では,どうしているかというと「組み合わせ爆発」を利用しています。
2015-01-27 00:10:44@Butayama3 TCRは実際には大きいパーツと小さいパーツ(重鎖と軽鎖)に分かれています。重鎖もさらにいくつかに分かれていて,それぞれのパーツごとに使える遺伝子断片が数種類ずつあります。種類数は多くなくても,パーツごとの組み合わせになればバラエティはすごく大きくなります。
2015-01-27 00:21:20@Butayama3 まさに利根川先生のお仕事の話です。利根川先生はB細胞の抗体(BCR)の遺伝子でこれを発見なさいましたが,TCRもまったく同じです。
2015-01-27 00:23:53ここで、人間の細胞数について古田さんからツッコミが。
@shima_usa96 @Butayama3 補足すると,ヒトの細胞数は37兆個らしいとの報告が(本筋には関係ない) twitter.com/gaou_ak/status…
2015-01-27 00:12:27@shima_usa96 @Butayama3 澤先生が推定の具体的方法を解説している twitter.com/dpyNonunc/stat…
2015-01-27 00:25:52ヒトの細胞数の論文ですが、さっと読んだところ、自分では実験せず、これまでの文献から各組織の細胞数の推測値を集め、そこから推定したようです。60兆というのは一説に過ぎなかったようで、過去の文献では5兆から50京個まで様々な説があったようです。
2014-04-30 16:41:58@ayafuruta @Butayama3 おお!サンクス。有効数字を2桁にする度胸がまだないのだけれど,最新の数字はこれのはずです。
2015-01-27 00:22:33T細胞やB細胞は、遺伝子のパーツを組み合わせることで、沢山の種類のTCRや抗体を作ることができるわけですね。
@Butayama3 パーツごとに数種類の断片を組み合わせて使うことで,少ない遺伝子断片の種類数で,膨大な種類数のTCRや抗体を作ることに成功しているわけです。この,使う断片を選ぶときに,使わない部分を捨て去ります。その分,DNAが短くなるのです。
2015-01-27 00:28:57DNA選び取る際に使わない部分を切り取ると言われてスプライシングってそんなんだったかなと思って。(違った)
@Butayama3 あ,ごめんなさい。このツイを見逃していました。スプライシングに近い概念ですが,ちょっと違います。スプライシングも,必要なところだけを取って,使わないところを切り捨てますが,あれはDNAからコピーしたRNAで起きます。なので,DNAは短くなりません。
2015-01-27 01:00:19さて、TCR再構成とは。