ニンジャスレイヤー二次創作【ラン・コワード・ラン】#6

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

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…………「成る程。それで到着が遅れたと」「ゴメンナサイ」どこか冷たいディプレッションの言葉に、リフレックスは頭を下げた。彼が到着した頃合いには、既にレンタル・ドージョーの利用時間が終了していたのだ。想像以上に長くキョート城に留まっていたのが原因である。41 #4215tk

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「まあいいです。その分、ベリジェレント＝サンに稽古をつけられましたから」ディプレッションの視線の先では、ベリジェレントがぐったりとした様子で壁に寄りかかっている。相当激しくしごかれたのだろう。「それに、コンフロント＝サンに一泡吹かせたようですし」42 #4215tk

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「知ってるのか？」目を丸くするリフレックスに向け、ディプレッションは頷いてみせた。「パーガトリー＝サンのとこの若造でしょう？直接面識はありませんが、時折目に余る言動をしているところは見かけています」彼女は露骨に顔をしかめる。「ギルドの恥ですね、あれは」43 #4215tk

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「そもそもパーガトリー＝サンの派閥はネンコを重点しすぎなのです」顔を引きつらせるリフレックスを他所に、ディプレッションの愚痴はなおも続く。「故にカラテの至らぬ者が礼儀作法だけでマスター位階に昇格などという戯けた事態が起こる。嘆かわしい！」44 #4215tk

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「礼儀だけでなれんのか？マスターってのは」ようやく回復したらしいベリジェレントが訊く。「楽なもんだな」「そのような感想が許されてはならないのです！」珍しくディプレッションが声を荒げる。「だというのに、チェインボルトは……！あれほど納得のいかぬ昇格はないですよ」45 #4215tk

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「チェインボルト？」「ネブタ男です」吐き捨てるようなディプレッションの言葉に、リフレックスは思わずベリジェレントと顔を見合わせた。「上司へのおべっかだけでマスターになったような男ですよ。あの下品なホログラフときたら！」彼女は苛立たしげに溜息をつく。46 #4215tk

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「何度ケジメ覚悟で叩き折ってやろうかと思ったか知れません。それより先にランチハンド＝サンに話を通せたのは幸いでした」「ああ、うん。そうなってよかったよな、本当に」心からリフレックスはそう言った。どうやらディプレッションはストレスを溜め込むタイプらしい。47 #4215tk

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「あれをマスターにするくらいなら、もっと相応しい人材がいるでしょうに。ベオウルフ＝サンのような」怒りを冷ますかのように深く息を吐いたディプレッションは、寮へと向かいながら言う。ベリジェレントが首を傾げた。「強いのか、そいつ」「まごう事なきタツジンですよ」48 #4215tk

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「パーガトリー＝サンの派閥は数が多い分、玉石混合」後ろに続くリフレックスたちに向けてディプレッションは言う。「カラテのワザマエのある者ももちろんいます。しかし、それより礼儀作法が重点されてしまう」「それは」リフレックスが眉をひそめる。49 #4215tk

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「そういう連中もいるんだな」ベリジェレントが他人事のように答える。「バカみてえだ」「同感です」ディプレッションが憂鬱そうに言った。「カラテのあるニンジャを冷遇するのは愚かなことだと思いますよ。私の友人など、今はネオサイタマにいるはずです」50 #4215tk

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「友人」リフレックスは思わずディプレッションに目を向ける。「どのような？」「洒落の分かる方ですよ。女性だったのもあって、懇意にしていたのですが」彼女はまた溜息をついた。「奔放すぎるきらいがありまして。それで顰蹙を買ったのでしょうね」51 #4215tk

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「それでネオサイタマ行きねえ」ベリジェレントが眉間にしわを寄せる。「向こうで何すんだろうな」「なんでも向こうで指揮を取るアンバサダー＝サンの護衛だとか。危険な任務です」ディプレッションがわずかに顔をしかめる。「ベリジェレント＝サンも気をつけないといけませんよ」52 #4215tk

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「ウェー……」「ウェー、じゃありません。あなたはつまらぬ事で手放すには惜しいニンジャなんですから」苦い顔をするベリジェレントにそう言ったディプレッションは、不意にリフレックスへと振り向く。「無論リフレックス＝サン、あなたもです」53 #4215tk

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リフレックスはやや面食らった。「……そりゃ、ドーモ」「お世辞ではありませんよ？あなたのカラテやニンジャ第六感は実に得難いものですから」ディプレッションが微笑む。「有能な仲間とともに、しがらみに関係なくロードの御為に仕事ができる。素晴らしいことです」54 #4215tk

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晴れ晴れとしたディプレッションの言葉に、リフレックスは思わず苦笑した。自分もまた、同じ心境だ。少なくとも得難い友人と共に行動できるのは有難い。（（（幸運なもんだ、まったく）））彼はこっそりと隣を歩くベリジェレントを見やる。思えば長い付き合いだ。55 #4215tk

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「……なんだよ」「いや、別に」睨みを効かせるベリジェレントに、リフレックスは平然として答えた。会った時はどうなることかと思ったが、案外うまくやれている。少なくともビビることはなくなった！（（（これからもこうであってほしいもんだ）））56 #4215tk

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ベリジェレントが不機嫌そうに唸り、ディプレッションがそれを見てくすくすと笑う。三人のニンジャは、ゆっくりと帰路へついた。57 #4215tk

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その後数日間は、特に何もなく過ぎ去っていった。それでもギルドからは特筆すべきニュースがいくつか流れてくる。例えば医療班のマスター、サージョンの死。リフレックスが報告した鍼灸院のニンジャを勧誘中にニンジャスレイヤーと遭遇し、爆発四散したという。59 #4215tk

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「痛手ですね、これは」早朝のリビング、二人にニュースを知らせたディプレッションはそう続けた。「ミッションにはシテンノのパープルタコ＝サンも同行していたそうですが、それでもこの被害」「やっぱヤバイな、ニンジャスレイヤーは」ベリジェレントが欠伸混じりに言う。60 #4215tk

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リフレックスも寝ぼけ眼でディプレッションの報告を聞いていた。普段よりも数時間早い起床を強いられたためである。「確かに重大なニュースだが、ディプレッション＝サン」意識を覚醒させるために、彼は発言する。「早起きしてまで知っておくべき情報か、それ？」61 #4215tk

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ディプレッションは二人の様子を見て苦笑する。「まあ、これは物のついでです。本題は別にあります」「本題？」高脚コケシ・チャブに突っ伏していたベリジェレントが顔を上げる。「なんだ？」「我が班にアプレンディスが加わることになりました」62 #4215tk

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「アプレンディス！？」一気に目が覚めたリフレックスは思わず頓狂な声を上げた。ベリジェレントも興味が沸いたか、ゆっくりと身を起こす。「随分急な話じゃねえか」「ランチハンド＝サンからの指令です。あの方はメンターとしても優秀ですし、何か思うところがあるのでしょう」63 #4215tk

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「優秀なのか、あのおっさん」「ええ。マスターの中でも特に多くアプレンディスを抱えていますし……まあ、手のかかる子もいたみたいですが」ディプレッションは思い出したように苦笑する。「一時はカトン使いのアプレンディスに文字通り手を焼いて……いや、なんでもないです」64 #4215tk