#完全ノープラン艦これ与太話 【ワイヴァーン・イズ・スティル・アライヴ】#3～#5

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ガクリと倒れ、失禁し気を失った如月を、睦月は優しく抱き起こした。｢よかった。落ち着いてくれて。……行こう、如月＝サン。皆が待ってるよ｣ #KZNPLN

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｢……誰だ｣時雨は連想砲分離式の大型ハンドキャノンを両腕に構え、臨戦態勢をとった。眼前の異形なる艦艇は、拳銃型ハンドキャノンをホルスターから抜き、構える。｢ドーモ、時雨＝サン。ガンチャリオットです｣｢……ドーモ、時雨です。僕の邪魔をするのかい？いいよ｣ #KZNPLN

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｢物騒なものを振り翳し、聖域を蹂躙するのはおやめなさい。ここは神聖なる場所です。軍の方とて、暴威が及ぶと思わぬよう｣2隻は互いの砲を向け合う。稲妻が迸った。｢この2日で1隻が死に、2隻が行方不明。僕も軍人として、見過ごす訳にはいかないんだよ。君達こそ、弁えろ｣ #KZNPLN

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｢……答えろ。ここで一体、君達は何をしている。磯波＝サンを知っているのか。答えろ！｣｢……ミユキ様｣時雨の顔色が変わった。｢我等はミユキ様の帰還を待っているのです。失われし艦霊を、暗黒大陸の深淵より取り戻すのです。救世艦ミユキ様の奇跡によって｣ #KZNPLN

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ＢＬＡＭ！時雨は砲を放った。｢グワーッ！｣腕の鎧が一部砕け、青白い素肌が露出した。｢カルティストめ。時間の無駄だ｣｢グ……貴女は神聖なるこの地で！砲を放つというのですか！｣｢関係ない。死ね｣時雨はさらに砲を放った。ギュン！艤装がターボ加速めいて唸り、回避！ #KZNPLN

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｢……その肌。深海棲艦か。益々何者だ、お前達は｣時雨は砲を放ちながら、マイを舞うように格闘戦を挑む。ガンチャリオットはハンドキャノンを双剣じみて取り回し、これに応じる。互いの砲音が、金属音と混ざり、カラテによって収束する。｢イヤーッ！｣｢イヤーッ！｣ #KZNPLN

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（ #完全ノープラン艦これ与太話 【ワイヴァーン・イズ・スティル・アライヴ】#5続き） #KZNPLN

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時雨の右腕を真っ直ぐ突き出し、ハンドキャノンを放つ。ガンチャリオットはこの右腕を発砲前に左腕で打ち上げ、逸らす。時雨は発砲の反動で右腕を引き、その回転を用いて左ショートフック。ガンチャリオットは右ハンドキャノンでこれを受け、左ハンドキャノンで突剣めいて突く。 #KZNPLN

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時雨は上体を逸らし、赤熱する左ハンドキャノンを紙一重で躱す。直後、発砲。その勢いでガンチャリオットは半回転し、腰を低くとり右ハンドキャノンで時雨の回避位置を突く。時雨は左キャノンでガード。続く発砲を艤装で受け、右キャノンの質量で敵頭部を叩く。 #KZNPLN

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ガンチャリオットはフルメンポで砲ハンマーを受け止め、脚部艤装を急発進。チャリオットめいた体当たりを仕掛ける。｢イヤーッ！｣｢グワーッ！｣体勢を崩した時雨に、容赦のない追撃砲。｢イヤッ！イヤッ！イヤーッ！｣｢グワーッ！｣時雨は被弾しながらローリング、体勢を整える。 #KZNPLN

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時雨の暗黒武術キャノンカラテは帝国軍でも屈指のワザマエである。そのフルスロットルへ完全に対応し、その上をゆく反応速度で的確なワザを返す。ガンチャリオットのワザマエは恐るべきものだ。これほどのタツジンが、何故カテドラルに？……否、それ以上に。 #KZNPLN

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時雨は言い知れぬ不安を覚えていた。それは敵のワザマエではない。敵の如何を問わず、カテドラル居住区での発砲。必ず、第三者による面倒な介入があると腹を括り、時雨は複数パターンの対応策を練った上で交戦に踏み切っていた。だが、どうだ。居住区はまるで無人街のごとき、平静。 #KZNPLN

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雷鳴に紛れて砲音が届かないのか？否。たかが悪天候で、艦娘の索敵網にかからぬ程の隠密戦闘など、悠長に行使できるレベルの相手では断じてない。マイヅルには航空隊もいた筈だ。ここ数日も、よく偵察機が空を飛んでいた。このレベルの交戦が察知できずして、何が偵察機か。 #KZNPLN

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そこまで思考を巡らした時。時雨の背に、一気に恐怖が駆け抜けた。偵察機。航空隊。　――カテドラルに滞在し数日。ここに、航空母艦など、いたか？ #KZNPLN

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｢イヤーッ！｣｢グワーッ！｣ガンチャリオットのフルアーマー体当たりが、時雨を弾き飛ばした。その直後だった。ＣＲＡＴＯＯＯＯＯＭ！居住区の庭園が爆発し、花壇が炎に包まれた。 #KZNPLN

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｢ウワーッ！｣突然の爆発。居住区を走る睦月は巨大な振動をうけ、よろめいた。｢アイエエエ……怖いです｣｢大丈夫です。きっと、飛龍＝サンが守ってくれます。『式場』に急ぎましょう｣磯波は睦月をなだめる。睦月は虚ろな目で涎と小便を垂らす如月を担ぎ直し、駆け出した。 #KZNPLN

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『随分と、強硬手段に出たものだな』01ノイズが迸り、香取の眼鏡を青白く染める。｢大詰めよ。全てが報われるか、全てが無に帰すか。その瀬戸際なの。貴女に邪魔はさせない｣『邪魔？ハハ。面白い事を言うな、お前は』白い口元がクスクスと笑った。香取は両手で台形を作る。 #KZNPLN

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『邪魔というなら。もっと別の不確定要素があるじゃあないか。私は私でやりたいようにやる。余程読み易いだろう？私の妨害が嫌なら、私に利する方へ事を動かせ。幸い、今のお前は有益だ』｢そう、ありがとう｣香取は燃える庭園を尻目に、立ち上がった。｢さて。始めましょうか｣ #KZNPLN

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01ノイズが溶けるように消え、ドアの外の『式場』へ、睦月らがエントリーした。香取も準備室から『式場』に戻る。既に、何隻かの駆逐艦が整列していた。｢ア、ア……｣薄暗い小部屋の中心。床に描かれた方陣の中に、薄目で痙攣する駆逐艦。村雨だ。睦月はその傍らに如月を寝かせた。 #KZNPLN

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｢村雨＝サンの準備は、万端ですか？｣｢ハイ。遥かに良い状態です｣駆逐艦らは如月に何らかの薬品を注射しながら、答えた。如月はびくりと跳ね上がり、白目を剥いてもがき出した。駆逐艦らはそれを取り抑え、泡を吹く口に錠剤を放り込み、別の薬液で流し込む。｢ゴボーッ！アーッ！｣ #KZNPLN

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｢ア、ア……｣｢如月＝サン。いよいよだね。私が遅れちゃって、ごめんね。待っててね。私もすぐ、行くよ｣睦月は如月にのしかかり、首を締め付けた。｢オ……ゴ……｣｢大好きだよ。如月＝サン。ユウジョウ｣睦月は如月に深く唇を重ねた。やがて如月は動かなくなった。 #KZNPLN

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｢では、如月＝サンは少し休んでいて下さい。村雨＝サンの『進水式』を執り行います｣｢ハイ。猫神様の像に、感謝のオジギ｣｢ドーモ｣｢ドーモ｣皆が一様に、式場奥の何もない空間にオジギした。駆逐艦の1隻が手斧を持ち、村雨に歩み寄った。｢ア、ヤメテ……ヤメ、ヤ｣ #KZNPLN