#完全ノープラン艦これ与太話 【ワイヴァーン・イズ・スティル・アライヴ】#3~#5

ニンジャスレイヤーをリスペクトした艦これファンジンSSです。 もう戻らない。本当に? before:http://togetter.com/li/787168 続きを読む
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春魔解丼 @vespiking

●●●●●●●●●●●●●● #KZNPLN

2015-03-04 07:59:38
春魔解丼 @vespiking

【ワイヴァーン・イズ・スティル・アライヴ】#3 #KZNPLN

2015-03-04 08:00:02
春魔解丼 @vespiking

「艦娘は死後、個体差や例外はあるが、約2年前後で艦霊の休眠期間が終わり、建造が可能になる」時雨は宿泊部屋のドレッサーに腰掛け、天井をぼうっと仰いだ。「頭で、理解はしていた。実際に直面すると……意外と、理性より感情が出るものだ」 #KZNPLN

2015-03-04 08:06:02
春魔解丼 @vespiking

「おねえちゃんと、同じ顔だった……」夕立はフートンにくるまり、未だに少し震えていた。時雨は夕立の頭を優しく撫でた。「……そりゃあ、そうさ。……彼女も、村雨だから」 #KZNPLN

2015-03-04 08:08:24
春魔解丼 @vespiking

もう、どのくらい前になるか。時雨と夕立、そして『前の』村雨は、同じドックで建造され、北上の鎮守府に所属していた。同型艦の艦霊は性質が近い。同型の艦娘が、同じドックで抽出され、姉妹艦として建造されるケースは少なくない。時雨が少し先に建造され、夕立と村雨は双子だった。 #KZNPLN

2015-03-04 08:11:36
春魔解丼 @vespiking

あの日。当時の水雷戦隊旗艦、神通が指揮する過酷な演習の中で、過度の披露から興奮状態に陥った夕立は、勢い余って村雨を殺した。時雨もまた、我を忘れて夕立を殴り続けた。夕立も、時雨も、あの日の前には戻れない。死んでしまった艦は、壊れてしまった心は、もう戻らないのだから。 #KZNPLN

2015-03-04 08:17:30
春魔解丼 @vespiking

「……そうだ、戻らないんだ」時雨はぽつりと呟いた。「飛龍は、死んだ。彼女がここに、いる筈がない。何かがある」ずるり。金のオーラが、時雨の背から立ち上った。「……山城。惑わされるな」 #KZNPLN

2015-03-04 08:20:09
春魔解丼 @vespiking

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2015-03-04 08:21:01
春魔解丼 @vespiking

「磯波=サン。具合はどう?」睦月は簡易的なアルミ食器に昼食を乗せ、チャブに置いた。「ハイ。遥かに良いです」「よかった!」睦月は手を叩いて喜んだ。「今日は、皆さんなんだか不安そうですね。何かあったんでしょうか?」磯波が不思議そうに問うた。 #KZNPLN

2015-03-04 08:24:08
春魔解丼 @vespiking

「とても、おそろしい事が起こったんです。……ああ、コワイ!」如月はがくがくと震え、叫んだ。「如月=サン。大丈夫、落ち着いて」「睦月=サン……ありがとう」睦月は如月を抱き寄せる。「悪い艦が爆発に巻き込まれて、死んでしまったの。妖精の方も3人、巻き添えに」 #KZNPLN

2015-03-04 08:27:35
春魔解丼 @vespiking

「とても、恐ろしいです」磯波はずるずると食事を咀嚼しながら、首肯した。「コワイ……コワイ……」如月はいまだ震えている。「神聖なる大聖堂で、罪なき命が喪われた。きっと、ミユキ様の怒りに触れてしまったのです。誰かが……ああ!」如月は磯波に抱きついた。「ミユキ様!」 #KZNPLN

2015-03-04 08:31:52
春魔解丼 @vespiking

「やめてください。私はただの駆逐艦です」「イイエ、磯波=サン。貴女の魂はミユキ様の生まれ変わり……貴女は特I型なんです。貴女の魂はミユキ様と繋がっています。この生き写しの姿……ああ、ああ!」パァン!乾いた音が響いた。如月の左頬を睦月が打った。 #KZNPLN

2015-03-04 08:33:59
春魔解丼 @vespiking

「やめよう、如月=サン。磯波=サンはまだ『進水』したばかりだよ。まだ、時間がかかるよ」睦月は光のない瞳で如月を見据えた。「……ああ、ああ、ゴメンナサイ。取り乱してしまって……」「いいんだよ。わかってくれれば」 #KZNPLN

2015-03-04 08:36:32
春魔解丼 @vespiking

「それにしても心配だわ」如月は思い出したように呟いた。「件の『軍人さん』、磯波=サンを探して嗅ぎ回ってる。きっと、よくない事をするつもりよ。とても不安だわ」「……そういえば、ミユキ様の事を誰かが、漏らしちゃったみたい。今日、ミユキ様について尋ねられたの」「まあ!」 #KZNPLN

2015-03-04 08:42:18
春魔解丼 @vespiking

「ミユキ様……まさか、それでお怒りに……ああ!なんて事を!一体、誰が……?」「そんな、まさか」如月は恐れ戦いた。睦月も青ざめる。部外者の『軍人さん』に、ミユキ様の名を漏らした。そうか。それで、ミユキ様は。「落ち着いて下さい。大丈夫です」磯波が澄んだ声で静止した。 #KZNPLN

2015-03-04 08:46:36
春魔解丼 @vespiking

「そんな、おそろしい事をしてしまった艦がいたとしても。きっと、飛龍=サンが私達を護ってくれます。過ちは、きっと正されます」磯波の慈悲深い微笑みを見て、睦月と如月は安堵した。 #KZNPLN

2015-03-04 08:47:54
春魔解丼 @vespiking

「村雨=サン。ありがとうございます。こんなに遅くまで手伝ってくれて」初霜は図書館の本を整頓し終え、梯子から降りた。「いいんですよ。手が空いてたんです」村雨はにこやかにオジギした。窓の外はもう暗い。「いい夜ですね。少し、夜空を見に行きませんか」「ハイ!ご一緒します」 #KZNPLN

2015-03-04 08:51:59
春魔解丼 @vespiking

人気のない図書館の屋上で寒空を見上げ、初霜と村雨はしばし、美しいアトモスフィアに浸っていた。工業エアロックで重金属酸性雨を阻むマイヅル・シティの夜空は、工業区画のそれとは全く異なる、澄んだ星空だ。「綺麗ですね、村雨=サン」「ええ、初霜=サン」 #KZNPLN

2015-03-04 08:55:39
春魔解丼 @vespiking

ブロロロロ……。航空機のレシプロ音が、ささやかなアクセントを夜空に添えた。「ああ、見て。シスターズ601の偵察機だわ」「本当ですね。夜も遅いのに、ご苦労様です」「マイヅルの夜の平和は、彼女らに護られているのですね。感謝です」2隻は祈りを捧げた。その時。 #KZNPLN

2015-03-04 08:58:16
春魔解丼 @vespiking

BLATTATATTATA!「キヤーッ!?」初霜を突如、機関砲の銃弾が襲った。「アイエエエ!初霜=サン!初霜=サン!アイエエエ!」「あ、え……?あ……」全身から血が噴出し、がくがくと初霜は崩れ落ちた。「あっ、あっ……」上空のレシプロ機が、急降下した。 #KZNPLN

2015-03-04 09:00:23
春魔解丼 @vespiking

偵察機かと思われた戦闘機編隊は、図書館の屋上をぐるりと旋回し、屋上入口の屋根の上に集合した。2隻はその屋根の上に、何者かの影を認めた。「アイエエエ……誰なんですか?誰が、初霜=サンを、こんな……」村雨は恐怖のあまり失禁する。屋根の影は低く、厳かにアイサツした。 #KZNPLN

2015-03-04 09:02:40
春魔解丼 @vespiking

「ドーモ、初霜=サン。航空母艦、飛龍です。貴女の罪は、正されます」 #KZNPLN

2015-03-04 09:03:45
春魔解丼 @vespiking

翌朝。銀の銃弾で全身を撃ち抜かれた初霜の死体が、図書館屋上で発見された。同日、村雨が消えた。 #KZNPLN

2015-03-04 09:05:23
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