なぜヘイトスピーチを許してはいけないのか(あるユダヤ研究会での出来事より)
1名は、ユダヤ人が持つ二重性を「ふつうの大多数の人」から見て「おかしい」と言った。二重性というのは、ドイツ人でもありユダヤ人でもあるということだ、と。
2015-03-23 16:28:54「ユダヤ人は、『あなたはドイツ人ですか?』の問いにも『あなたはユダヤ人ですか』の問いにもどちらも『はい』と答える。そんな人はおかしいでしょ。ちがいますか」と言う。まったくおかしくないのだが。
2015-03-23 16:29:17気になったのが、そのあと「あなたは日本人ですか朝鮮人ですかのどちらにもハイと答える、こういうのはおかしいでしょう。それなのにユダヤ人にだけその二重性がある」と発言したこと。割り引いて考える余地さえ残っていなかった。
2015-03-23 16:32:102番目の人は「彼らは法律だけ守って倫理は守らなかった」という反ユダヤ主義を開陳。「その証拠にユダヤ人はドイツ人から嫌われているじゃないですか」という。
2015-03-23 16:32:44スピーカーの方が「嫌われていることを証明できるデータがない以上、それを土台に議論はできない」という発言で一応そこは終わったけれど、まったく納得していない模様(に見えた)。
2015-03-23 16:33:18法律さえまもればそれでいいと思っているユダヤ人はけしからん。そういう意見なのだろうが、そもそもその漠然とした解釈はどこから来たのかは謎のまま。説明もない。
2015-03-23 16:34:05それよりも、自分が嫌っているユダヤ人は他人も嫌っているはずという思い込みというか客観性の欠如が恐ろしかった。
2015-03-23 16:34:28また、彼らの中の「ユダヤ人」が、遠い場所の不思議な人々という捉え方なのも感じられた。もしこの会場にユダヤ人がいたら(いる可能性は極めて高い)どれほど失礼なことなのか、考えればわかるはずなのに、そこに思い至らない。
2015-03-23 16:35:13ユダヤ人を東京人に変えて同じことを彼が言えるかといえば、たぶん無理っぽい。ユダヤ人だからこそ、そしてユダヤ人が日本にほとんどいないからこそ、あんな言い方ができるにちがいない。アーレントの「反ユダヤ主義は輸入できる」を地で行く感じ。卑怯。
2015-03-23 16:36:22彼らが、参加費まではらって(入場は無料ではない)、ユダヤ文化を研究する文化会に参加していることもビックリした。なにか反ユダヤ的な、例えば「フリーメーソン」とか「ユダヤ金融」とかの謎がしれると思ったのだろうか。
2015-03-23 16:37:26彼らの姿は、どこかでみたことがある。というか、毎日インターネットで見ている。彼らには参加費を払う行動力があっただけで、もしかするとことの多少はあれど街中、こんな人ばっかりなんじゃないかと薄ら寒い気がした。
2015-03-23 16:41:25「法律だけをまもったユダヤ人」という土曜日のおじさんの発言には、逆説的なものさえ感じた。ニュルンベルク法のことを言っているのかと最初は思ったから。
2015-03-23 18:50:30そもそもニュルンベルク法ができるはるか前に、すでに倫理性はナチズムに屈していましたよ。どこともしれず連れ去られるユダヤ人になにかできる隣人なんて(ほとんど)いなかった。
2015-03-23 18:55:29知性や教養さえナチズムの前には簡単に屈してしまった。大学の式典に堂々と飾られるハーケンクロイツ、法曹界でさえナチスに加担し、民族裁判所はもはや公正な裁判など望むべくもなかった。
2015-03-23 19:00:37倫理が最初に死ぬんじゃないんでしょうかね。そのあと知性が死に、法律が死んで、そうしてユダヤ人がいなくなった。法律を守ったってダメだったものを、倫理を守らなかったから嫌われ(て当然だっ)たというのはすごい話だ。
2015-03-23 19:04:15ユダヤ民族やロマ・シンティの民族的劣勢を証明するために、ナチスの「科学的努力」がどんだけ使われたか。法も「科学的根拠」もなんとでもなるからこそ、そもそもそんな無駄な「科学的努力」はしちゃいかんのです。
2015-03-23 19:08:48アーレントはフランスで入れられたギュルス収容所で、被収容者のリスト作りに反対している。もしリストができれば、それはヴィシー政権下の警察に渡り、リストの「民族欄」はいずれ占領軍のナチスに渡ったはずである。 『アーレント』矢野久美子
2015-03-23 19:14:18そもそもアーレントの有名な「悪の凡庸」という概念は、アイヒマンが凡庸な役人であったかどうかよりも、「彼らを嫌悪していない人ですら彼らを死地に送ることができる」という近代性の問題なのではないかと思う。(アイヒマンは間違いなく嫌っていたが)
2015-03-23 19:20:45「ユダヤ人なんてあったことないし興味もないししらない」ではいけないのかしら。ユダヤ人と聞くと無理にでも陰謀論みたいなこと言わないと気が済まないアレはなんなのだろう。
2015-03-23 19:29:08「ユダヤ人を『ユダヤ人なるもの』に変えてしまって、そこからこんどはユダヤ的なるものを魔術のように抽出すること、このすべては、そもそも近代の反ユダヤ主義全般に見られる傾向であって、まさにその抽象性が、中世のユダヤ人憎悪との本質的なちがいをなす」 アーレント『反ユダヤ主義』
2015-03-23 19:36:20一昨年みすず書房から出たハンナ・アーレントの『ユダヤ論集Ⅰ』に所収された未発表だった論考「反ユダヤ主義」を再読して、ところどころピンポイントで引用することにしたい。この論考は1938年から39年にかけて執筆されたが、アーレントの生前に発表されることはなかった。
2015-03-23 02:30:43「1781年、プロイセンの宮廷顧問官クリスティアン・ヴィルヘルム・ドームの提言、『ユダヤ人の市民的地位の改善について』が公刊された。その10年後、フランス革命の国民公会はあの人権宣言を引き合いに出しつつ、ユダヤ人の解放を宣言する。」
2015-03-23 02:33:42「80年後の1869年、北ドイツ連邦参議院は、「いまなお宗教信仰の相違にもとづいて課されている市民的および国家市民的諸権利にたいするすべての制限」を撤廃した」
2015-03-23 02:34:59「1701年、アイゼンメンガーの『あばかれたユダヤ教』が世に出た。…かつて古代や中世にユダヤ人になすりつけられた罪状をありったけ並べたてた極めつきのハンドブックで、それらの罪状告発は今日にいたってもなお、…ありとあらゆる種類の恐怖の作り話のいまだ封印されていない源泉となっている」
2015-03-23 02:38:50「そのわずか二世代後のいまでは、ドイツで市民的ならびに国家市民的諸権利をもつのは、祖父母の代までさかのぼって一人のユダヤ人も混じっていないことを証明できる者だけである」
2015-03-23 02:36:07