【ニンジャの二次創作】アイ・ハヴ・ナッシング　＃２

篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

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（当アカウントはこれからニンジャの二次創作投下マシーンとなります。これはやさすい漬けのマグロが水槽の中で見た夢であり、本編・公式とは一切関係がございません）

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（TLが私のツイートで埋まる可能性は実際高いです。煩わしく感じられたならリムーブ、ミュート等をお願いいたします）（専用の実況タグ #yasasui_nj が用意されております。生暖かい目で突っ込み感想何か実況用にどうぞお使い下さい）

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(これまでのあらすじ：マケグミサラリマン・イケジマはトラックにはねられニンジャソウルが憑依。ニンジャになれば人生取り戻せる！だがしかし、盗んだ金庫は偽物、ハッカードージョーで預金を増やそうとしたが事故で失敗。現実は甘くない。どうする、イケジマ！)

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(【アイ・ハヴ・ナッシング】＃１ togetter.com/li/792898)

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【アイ・ハヴ・ナッシング】#２

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強風が吹き荒び、赤提灯が不安げに左右へ揺れるうらぶれた屋台村。ソバ、イカケバブ、ラーメン、スシ、トーフ。あらゆる食の屋台がけばけばしい電光で飾り立て、疲れたサラリマンを蛾のように引き寄せようと躍起になる。 1

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サラリマンだけでなく工場勤務者やヨタモノ…、ネオサイタマ中の様々な市民の胃袋を収めるべく屋台は毎日どこかしこに存在する。その内の１つ、『トーフ鍋定食 豆一』とミンチョ体でショドーされたノボリのはためく屋台。席の真ん中で陣取る男がいる。 2

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イケジマだ。今宵も浮浪者そのものの風体でゆらゆらと時折眠りながら、淡々と目の前のトーフ鍋定食を食べている。傍らにはケモビール。他に客はいない。いや、イケジマの発するサツバツなアトモスフィアに近寄れないのだ。(((へっ、今夜も一人…、気ままでいいさ))) 3

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…再びイケジマは一年前を思い出す。 4

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必死に強奪した金庫はニセモノ、ハッカードージョー襲撃も失敗し、イケジマは頭を抱えながら屋台村の間をさ迷っていた。ニンジャと言えど腹は減る。鳴り響く胃袋をなだめすかしながら、イケジマは乏しい財布の中身と周囲を厳しい顔で交互に睨む。 6

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一番の候補はやはりトーフだろうか。いや、ソバも捨てがたい。だがケバブの肉汁にもそそられる。混乱しながらふと頭上を見ると、パルクール・ヒキャクが雑居ビルの階段から隣の雑居ビルの壁へ身を翻している姿が見えた。恐らくは急ぎの配達なのであろう。その顔には焦りが見える。 7

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(((奴を襲おう)))イケジマは即断し、やおら雑居ビルの壁を駆け登り、次々と看板やビルを飛び移っていく。常人には色つきの風が吹き荒れている程度にしか認識できないであろう。 8

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「イヤーッ！」雑居ビルの非常階段で足を休めているパルクール・ヒキャクが突然のシャウトにびくりとしながら背後を振り返る。眼前には…ニンジャ？！そんなバカな？！「ニ、ニンジャナンデ？！」ヒキャクが叫ぶ！しかし叫び声は夜のネオサイタマへ虚しく吸い込まれていく！ 9

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ヒキャクはニンジャの血走った眼を見てしめやかに失禁した。「その荷物を置いていけ」「アッハイ」冷たい風に晒されながら、ヒキャクは呆然とした表情のまま成されるがままとなる。 10

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「命拾いして良かったな。俺は死体を見るのが大嫌いなんでな。イヤーッ！」ガサゴソとヒキャクの荷物を抱えながら、イケジマはそう言い捨て、ネオサイタマの夜へ消えていった。「…あの荷物…。俺はラッキーなのかな…」ヒキャクは我知らず呟く。 11

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安アパート『コーポ不如帰』へ戻ったイケジマはいそいそと重たい荷物をおろし、戦利品を見てほくそ笑む。パルクール・ヒキャクが必死に届けようとした荷物。中身は良い物に違いない。イケジマは隣近所へ気を使い、シャウトを押さえながら荷物の梱包を裂く。 13

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(((ゴツくて重い。なかなかのものが入っているに違いない。トロ粉末があれば楽だよなあ)))イケジマはアパートへの帰り道の途中に落ちていたケモバーガーをつまみながらシャウトがわりに鼻歌を歌う。さっさと風呂に入ってのんびりしたいぜ。…梱包を取り除き、そして。 14

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「グワーッ！？」中身をあらためたイケジマは苦悶！中身は……生首だ！頬に大きな刀傷、苦悶と厳めしさの浮き出た表情！どこかのヤクザのオヤブンであろうか。イケジマは己の失敗に気づく。そして、よろよろと立ち上がり、トイレで吐き出す。 15

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イケジマの脳裏にマケグミサラリマン時代の光景がフラッシュバックする。ノトドマ葬儀社に通っていた彼は日柄年中死体を葬儀する手配に追われ、ヒキャクに頼みこんで死体を葬儀場へ送っていたことを。死体を見すぎて死体と殺しに対し重篤なアレルギー反応を起こすようになったことを。 16

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恐らくどこかの同業他社がヤクザ・クランに無理矢理頼まれ、生首を運ぼうとしたのだろう。(((こんな…こんな不吉なもの…、ふざけるな…！)))イケジマは生首をベランダから投げ捨て、ふらふらとトイレへ入り込んだ。状況は何も変わらない。何も。 17

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普段から唯一の安息地として逃げ込むトイレも、今夜ばかりは勝手が違う。次々と脳裏に浮かぶ過去のケジメ案件、葬儀場へ運ぶ死体の数々、ニセモノの金庫、今回の荷物。「グワーッ！」イケジマは苦悶し、便器に向かって再び嘔吐し、ずるずると壁へへたりこむ。 18