ニンジャ・サルベイション #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

連中に対して恨みはない。だが、死んで当然の奴らだ。なにより、ギリギリの状況下で慈悲をかけたり躊躇ったりすれば、全てがおしまいだ。だから理屈はシンプルだった。心を決めれば、後は、やるだけだ。徹底的に。 46

2015-04-12 22:48:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

気持ちの切り替えは便利だが、所詮ユダカは人の子だ。後になれば震えが来るし、怖くもなる。しかしそうした揺り戻し自体、もはや慣れた。ニンジャに向かって突進しながら、ユダカは思う。このマインドセットにケリがついたら、ひどい揺り戻しが来るだろうか。なにしろ敵はニンジャなのだ。 47

2015-04-12 22:52:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

下手をすれば頭が狂うかも。見ろ、キャリバーを叩きつけたそいつは青緑色のニンジャ装束を着ている。キャリバーのニンジャらしさは、強いて言えばその覆面くらいだった。いっぽう、あれは本格的なニンジャだ。狂うのは嫌だよな!ユダカは己に向かって言った。切り抜けて、クラブのフロアに帰ろう。48

2015-04-12 22:57:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャが突進に対応しようとする。ユダカはバイクを捨て、転がり落ちる。三度跳ねた。どこか折れたかも。擦り剥いた肘からアスファルトのアレルギーが出るかもしれない。ユダカはチャカ・ガンを撃ち込む。BLAM!BLAM!BLAM!「イヤーッ!」青緑のニンジャは光を鞭めいてしならせる。49

2015-04-12 23:01:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAASH!跳ねとばされたバイクは空中で弧を描き、ユダカのすぐそばに衝突して炎を噴き上げた。「グワーッ!」ユダカは喘いだ。青緑のニンジャは撃たれても死ななかった。眼前に掲げた拳を開くと、銃弾が落下した。なるほど、ニンジャだ。「貴様が……」「イヤーッ!」キャリバー。 50

2015-04-12 23:08:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」青緑のニンジャは襲ってきたキャリバーに、振り向きざまの蹴りを喰らわせる。「グワーッ!」キャリバーがキリモミ回転して再び地面に叩きつけられる。ユダカは銃を上げかけるが、思い直して、狙いをあらためる。倒れたおかげで、リムジンの腹の下に伏せた敵に気づいた。BLAM!51

2015-04-12 23:10:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」吹き矢を構えたそいつは反撃できぬまま、傷だらけの顔面に新たな傷を一個増やした。多分この銃創がそいつの最後の傷だ、致命傷だ。ユダカは、「イヤーッ!」「グワーッ!」天地が逆転し、宙でもがき、嫌な体勢で落下した。肺の空気が無くなり、右腕がへし折れ、右目がよく見えない。52

2015-04-12 23:17:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シューッ……」青緑のニンジャは垂直に蹴り上げた脚を真横に動かし、片足立ちでカラテを漲らせた。「アバッ……クソ、ふざけるなよ」ユダカは身を起こそうともがく。「最悪だぜ……!」「ユダカにテメェ何やりやがった!」キャリバーが吠えながら襲いかかる。「俺の!ダチを!」 53

2015-04-12 23:25:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」青緑のニンジャはキャリバーを迎え撃った。二者のチョップがぶつかり合い、放射状に風が吹いた。「クッソ……!クッソ!」ユダカは毒づき、痙攣する右手から左手に銃を持ち替えようとする。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 54

2015-04-12 23:30:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

青緑のニンジャはキャリバーに強烈な蹴りを叩き込んだ。ユダカは唸った。同じニンジャでも、実力の差は明らかだ。あっちはキャリバーと違って訓練されている。「クッソ……」情けねえぞ、カシイ。ユダカは唸った。「クッソ……!」情けねえぞ、ユダカは唸った。俺が助けてやらなきゃいけねえのに!55

2015-04-12 23:35:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何で」「イヤーッ!」「グワーッ!」青緑のニンジャがキャリバーの脇腹に蹴りをくらわせる。キャリバーは鉄パイプに手をのばす。即座にそれが剣にかわる。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」剣が弾き飛ばされる。「何で」ユダカは嗚咽した。「何で俺はニンジャじゃねえんだよ」 56

2015-04-12 23:37:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……当然、キャリバーのいう「グールー」の声が降ってくる事など無かった。彼は歯を食いしばり、左手で引き金を引いた。利き腕ではないからうまく撃てず、弾は逸れた。アウト・オブ・アモーだ。青緑のニンジャは背中から光の鞭を繰り出し、「イヤーッ!」キャリバーを突き刺した。「グワーッ!」57

2015-04-12 23:44:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様は何だ?」青緑のニンジャはもはやキャリバーに注意を払わず、ユダカに向き直った。ユダカは咳き込んだ。「訊きたいのはこっちだ。アンタは俺らのどっちが目当てだよ。言って、クソッ、言ってみろよ」「……」「俺らは、お互いのっぴきならねえ事情のある、未来ある無職の若者だよ」 58

2015-04-12 23:58:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」青緑のニンジャはメンポに指を当て、しばし黙考した。そして言った。「アビシナ社の関係者」「ああ、そっちは俺だ、俺」ユダカは精一杯おどけた。「そっちのニンジャは関係ねえ、俺がやった」「ユダカ」キャリバーが微かな呻き声を発した。「そっちのニンジャに用があンのは、マッポだ」 59

2015-04-13 00:01:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マッポ?そうか」ニンジャは呟いた。「マッポは問題ない」ぞっとする響きだった。「貴様を……」ゴアアアアオオオン!接近する獣じみた唸りを、ニンジャは見た。ユダカもそちらへ首を巡らせた。ゴアアアア!ゴアアアアアア!唸り声は実際無機物が発する音だった。それは炎の塊じみていた。60

2015-04-13 00:04:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だ?」ユダカは呟いた。モーターサイクル?……マッポが追ってきたか?単独で?「……」青緑のニンジャも同様に訝しんだ。だが瞬時に彼は正体を見破った。ニンジャ視力によって。「あれは……何だと」青緑のニンジャは目を見開く。ユダカには知る由もない。彼は乗り手のメンポを見たのだ。61

2015-04-13 00:12:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何故、奴がここに……ニンジャスレイヤー……!」青緑のニンジャは唸った。ユダカはその名を呟いた。「ニンジャスレイヤー……?……ゲホッ!」ユダカは咳き込み、仰向けに動かないキャリバーを見た。生きているか?まだ息はあるか?ゴアアアアアア!「ニンジャスレイヤー」のマシンが加速する!62

2015-04-13 00:18:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クジャク・ジツ!」青緑のニンジャは中腰姿勢を取り、背中に後光を展開させた。「イヤーッ!」無数の光のミサイルが、加速するモーターサイクルをめがける。「イヤーッ!」ギャギャギャギャギャ!車輪がアスファルトを喰らって叫び、巨大質量は光のミサイルをかいくぐって襲い掛かる! 63

2015-04-13 00:21:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」青緑のニンジャは回転ジャンプで回避し、振り向きながら着地!一方「ニンジャスレイヤー」は炎を噴き上げるバーンナウトを刻み付けてドリフト停止し、青緑のニンジャを睨み返した。二者は同時にアイサツを繰り出した。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」「ドーモ。ピーコックです」64

2015-04-13 00:23:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こんな辺境にまでご苦労な事だ、死神!」ピーコックは言い放った。ニンジャスレイヤーは答える。「ピーコックという名には覚えがある。アマクダリ・セクト」「偏執狂じみたマニアックめ。何をしに現れた?」気圧されている。当たり前だ。ユダカにもわかる。奴は赤黒の鬼に対しているのだから。65

2015-04-13 00:29:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……ドドッ、ドドドドッ、ドドッ……1350CCインテリジェントモーターサイクル「アイアンオトメ」の背でその震動を感じながら、ニンジャスレイヤーはアマクダリ・セクトのニンジャを睨み据える。用いるジツ、カラテのデータは無い。おそらくクジャクにまつわるジツであろう。(((然り)))66

2015-04-13 00:37:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはニューロンの奥底に湧き起こる嘲笑含みの声を聴く。(((あれはクジャク・ニンジャ・クランのグレーターニンジャ……ググググ……クジャク・ジツはクジャクの生態を模して生み出されたジツ……所詮は鳥風情の真似事、惰弱の極みぞ。だが、もう一匹……見逃すなフジキド)))67

2015-04-13 00:40:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは仰向けに倒れた若いニンジャを一瞥する。彼は状況判断した。追っていたニンジャの、その末路か。ニンジャ憑依直後のニンジャは、ドージョーやヤクザクラン、市民を無軌道に襲い、己の力に酔いしれ、確かめる。それは典型的な行動パターンであり……最終的に更なる強者を呼ぶ。68

2015-04-13 00:44:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((間違いなし。あれはツルギ・ニンジャ。そこそこのキンボシ。だが……ググググ……見たところ長くはあるまい。弱体者に憑依したが彼奴の不幸よ。儂ほどの度量がなくば……)))(黙れナラク)(((まずはクジャク・ニンジャの者を餌食とせよ!クジャク・ジツに注意せよ)))「イヤーッ!」69

2015-04-13 00:49:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴアアアア!ニンジャスレイヤーはアイアンオトメを急発進させ、ウイリー走行でピーコックを轢き殺しにいく。「イヤーッ!」ピーコックは素早い側転で回避!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはもとよりそれで殺せると考えてはいない。彼はアイアンオトメの背から跳び離れ、蹴りを繰り出す。70

2015-04-13 00:57:09