夏目房之介VSくみかおるⅡ

これまでのあらすじ http://togetter.com/li/809577
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It happens sometimes @ElementaryGard

仮にこの二作がまんがではなく小説だったらどうでしょう。『鞍馬天狗』とか『眠狂四郎』あたりを思い浮かべてください。この二つは小説でした。それが実写映画化されて人気シリーズになった。

2015-04-19 21:31:56
It happens sometimes @ElementaryGard

原作とは違うオリジナルストーリーになった場合、それはもう原作と呼べるか?うーん主人公の名前は踏襲しているから原作者だれそれの名前は外せないでしょうね。著作権法の厳密な解釈はともかく、日本ならではの習わしの問題ですが。

2015-04-19 21:33:28
It happens sometimes @ElementaryGard

『フジ丸』の場合はどうか。私はこの二つのまんがは読んだことがありません。それで想像で語るのですが、放映初期はこのまんがのストーリーをそれなりに踏襲していたと思われます。

2015-04-19 21:35:17
It happens sometimes @ElementaryGard

やがて東映側脚本家によるオリジナルストーリーになっていった。

2015-04-19 21:35:38
It happens sometimes @ElementaryGard

主人公は白土の創造と呼べるのか?「風の石丸」ならぬ「風のフジ丸」ですからね、名前は同じではないわけです。

2015-04-19 21:36:21
It happens sometimes @ElementaryGard

フジ丸と石丸、それにもうひとつのほうの主人公では性格も(たぶん)違うし、絵柄も違う。

2015-04-19 21:37:20
It happens sometimes @ElementaryGard

となると「フジ丸というキャラクターを創造したのは自分だ」と白土が主張するのは少々苦しい。そもそも1965年当時の日本の法廷で「キャラクターの権利」を訴えても、裁判官も弁護士も理解できなかったと思います。

2015-04-19 21:39:00
It happens sometimes @ElementaryGard

まとめてみますね。原作を仰いで映画やテレビや舞台劇などに翻案すると、それは原作の「二次的著作物」となる。これはヨーロッパ発祥の考え方です。

2015-04-19 21:40:28
It happens sometimes @ElementaryGard

しかしながら翻案といっても、ストーリーを翻案したのか、絵を翻案したのかで解釈は分かれます。『若草物語』なら小説だから映画化、アニメ化すればストーリーの翻案になりますが、『サザエさん』だとよくわからなくなる。

2015-04-19 21:42:09
It happens sometimes @ElementaryGard

要するに「翻案」の明確な定義はされていないということです。

2015-04-19 21:42:44
It happens sometimes @ElementaryGard

「キャラクターは特許と同じ」論が便利なのは、ここまで論じた「翻案」の曖昧さを乗り越えられるからでもあります。スーパーマンの原作まんがからストーリーを流用はしなくても、スーパーマン/クラーク・ケントの「キャラクター」を映画で使えば「それうちの特許や金払え」と言える。

2015-04-19 21:44:33
It happens sometimes @ElementaryGard

わかりやすいですよね。流れ作業による大量生産で国を建てた20世紀アメリカならではのプラグマティックな考え方。

2015-04-19 21:45:43
It happens sometimes @ElementaryGard

「作品」の権利とは別に「キャラクター」の権利も認めるべきだ、とアメリカで発想され、ミッキーマウスの御威光でやがて世界スタンダードになった。ヨーロッパ発祥のOSを使っているところに、アメリカ発祥のOSが後日インストールされて同時に稼働している状態というべきでしょうか。

2015-04-19 21:49:06
It happens sometimes @ElementaryGard

「作品」と「キャラクター」。あ、ここでいうキャラクターとは絵を出自とするもののことです。シャーロック・ホームズは小説の人物なのでここでは除外します。挿絵はどうなるの?あれは二次的著作物だから。一方でミッキーはデビューからしてアニメ映画。

2015-04-19 21:50:45
It happens sometimes @ElementaryGard

このダブルスタンダードを何とか日本の国内法の枠内で理論化したのが70年代の半ば、とみます。『フジ丸』より10年遅れです。いや理論化は実はもっと時間がかかった。21世紀に入って最高裁の判断が下りてようやくはっきりした。

2015-04-19 21:54:21
It happens sometimes @ElementaryGard

法理論とか法解釈とかいいますが、絶対正解を出せるのはどの国でも最高裁しかありません。国の機関が○と言ってくれても、最高裁で×になった例はいくつもあります。最高裁があえて曖昧な判断をして逃げるケースもある。自衛隊が合憲かどうか裁判なんてそうですね。何十年も前の話ですが。

2015-04-19 21:56:27
It happens sometimes @ElementaryGard

『フジ丸』のケースはどうか。まず「翻案」の定義が曖昧であったこと、それから「キャラクター」の考え方が当時の日本には根付いていなかったこと、この二点によって白土と東映のあいだにグレーゾーンが生まれてしまった。そこでヨーロッパでもアメリカでもない、日本古来の[続く]

2015-04-19 21:59:35
It happens sometimes @ElementaryGard

なあなあスピリッツで処理された、とみます。白土にすればたぶん腑に落ちなかっただろうし、東映側にすれば「なんか悪いことしちゃった」だったと思います。

2015-04-19 22:00:47
It happens sometimes @ElementaryGard

こういうときは実際に裁判を起こしてみるのが一番です。裁判を起こして判決を引き出す。裁判所ごとに違う判決を出すことはざら。今、票の格差をテーマに弁護士グループが全国の地方裁判所で国を訴えていますね。地方によって判決はばらばらですが、この後高等裁判所、最高裁に持ち込まれ[続く]

2015-04-19 22:03:26
It happens sometimes @ElementaryGard

いずれひとつの判断に収れんするわけです。

2015-04-19 22:03:56
It happens sometimes @ElementaryGard

「キャラクター」をめぐって、アメリカでも同じことがありました。たしか78年に連邦最高裁が判断を下しています。日本では21世紀になってからです。その頃には両国とうに「キャラクターは特許と同じ」理論が広く受け入れられて各業界がまわっていましたが。

2015-04-19 22:05:40
It happens sometimes @ElementaryGard

『フジ丸』の原作者氏名排除事件は1965年。判例どころか「キャラクターは特許と同じ」理論じたいが消化されていなかった。理論的なことは後回しで、ディズニーに倣ってキャラクター市場が回りだしていた。

2015-04-19 22:07:23
It happens sometimes @ElementaryGard

そういうわけで「絵の権利が白土にはあったのでは?」という質問は、彼女には酷ですが間違った質問だったのです。こう私に聞くべきでした。「作品の権利とは別にキャラクターの権利が白土にあったと解釈できないのですか?」と。

2015-04-19 22:09:13
It happens sometimes @ElementaryGard

答えは「当時の日本ではそう主張して法廷で争っても、裁判官も弁護士も理解できなかったと思われる」です。

2015-04-19 22:10:01