夏目房之介VSくみかおるⅡ

これまでのあらすじ http://togetter.com/li/809577
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It happens sometimes @ElementaryGard

夏目房之介VSくみかおる - Togetterまとめ togetter.com/li/809577 これの続きいきます。

2015-04-19 20:34:21
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前回までのあらすじ。夏目ゼミで「アニメと商品化権」のお題で、アメリカで発明されたmerchandising rightsの考え方がどう日本に伝播し、テレビアニメの乱造と並走していったのかを語ったくみかおるさんに、生徒さんが質問してきた。

2015-04-19 20:44:06
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東映アニメによるテレビアニメ第二段『風のフジ丸』の裏話を私がしたのです。白土三平原作とスタッフ表示していたのを半年後に取りやめた東映。なぜならフジ丸商品がよく売れて印税が入ってくる。原作者・白土と山分け契約だったが、これの独占をはかった東映側が白土原作の表示を外した。

2015-04-19 20:46:15
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途中から東映側脚本家によるオリジナル路線になっていたので、それを理由に白土先生に掛け合って、白土側も「いいよ」と応じた。

2015-04-19 20:47:45
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で、生徒さんがこの話に噛みついた。「物語は白土原作から離れていったとしても、絵の権利はどうなるんですか?」

2015-04-19 20:48:21
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理解できない質問でした。「絵の権利」ってなんだべ?

2015-04-19 20:48:46
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今思うと、こう説明すべきだったのです。例えばミッキーマウス・シリーズの第一作_Steamboat Willy_の著作権はウォルト・ディズニー社のものです。アメリカでは現在も保護期間内です。youtu.be/BBgghnQF6E4

2015-04-19 20:52:22
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「作品」としての著作権とは別に、ミッキーマウスという「キャラクター」がディズニー社のものとされる。

2015-04-19 20:53:17
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ミッキーマウスは絵であって実在しない。けれども集客力がある。となると実在の俳優や芸人と同格と考えるべきではないか。

2015-04-19 20:56:01
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…というのが工業新興国アメリカならではのプラグマティックな発想。こうして「キャラクター」の考え方が生まれた。架空の人物(ヒトでなくてもいい)であっても実在とみなし、事実上「特許」とする考え方です。

2015-04-19 20:57:31
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集客力というのはですね、例えば高倉健の主演映画となれば確実にお客さんが見に来てくれる、つまり健さんには集客力があるわけです。 pic.twitter.com/1dS9zkpJF4

2015-04-19 20:58:31
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このひとはもっとすごい。彼が主演するならば興収1億ドルは確実、つまり生きた保険。 pic.twitter.com/3eGHX2dhy0

2015-04-19 21:00:48
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ピークで出演料が2億ドルだったとかなんとか。集客力があるからです。

2015-04-19 21:01:58
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事実、彼が出演しなかった『ターミネーター4』は当たらなかった。今度の新作でまた出るんですよね。シュワなら見るが抜きなら見ない、と。

2015-04-19 21:03:34
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ミッキーとシュワのあいだに違いはないのです。実在か架空かなんてたいした問題ではない。 pic.twitter.com/9i9Cdg2D2C

2015-04-19 21:05:45
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ミッキーはばかたかい出演料をよこせなんて言わないし、けがも病気もしないし、スキャンダルにもならないし、年も取らない。

2015-04-19 21:06:46
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ただの絵であっても「キャラクター」と定義することで、芸人や俳優と同格にする技を、20世紀アメリカは編み出したのです。

2015-04-19 21:09:15
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『風のフジ丸』はどうか。白土三平の原作まんががあります。実は二つあって、それをテレビ用に東映側が翻案したのですが、ここでは話を単純化して白土のまんがを東映がテレビアニメにさせていただいた、と考えます。 pic.twitter.com/edNynHVzpQ

2015-04-19 21:11:31
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著作権法でいうと、テレビアニメ版は白土のまんがの「二次的著作物」です。これは19世紀ヨーロッパで発明された著作権の考え方準拠です。

2015-04-19 21:15:58
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さあ問題の生徒さんが聞いてきた「絵の権利」とは、おそらくキャラクターのことだったのでしょう。主人公フジ丸は白土三平が創造したキャラクターなのだから、その「特許」が生きているはず。なのになぜ東映は原作者として白土の名を外すなんて外道なことができたのか?と。

2015-04-19 21:17:54
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「キャラクターは特許と同じ」という考え方はヨーロッパ発祥ではなく、20世紀アメリカ発祥。で、『フジ丸』の頃には日本でその点をじっくり考えたひとはいなかったのです。

2015-04-19 21:22:29
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もし当時の白土に私が「アメリカではキャラクターって特許と同じなんですよ」と耳打ちしたら、彼は東映からの申し出に「否!」と答えた可能性があります。

2015-04-19 21:23:33
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そして東映がこう逆襲した可能性も。「白土原作といっても、過去の二つの時代劇まんがをたたき台にウチで企画したのが『フジ丸』です。主人公フジ丸に至っては我々がこしらえたんじゃありませんか」

2015-04-19 21:24:49
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『忍者旋風』(1959年)と『風の石丸』(1960年)。これを東映がテレビアニメ用に翻案企画。 pic.twitter.com/sNMmo4GVM6

2015-04-19 21:29:14
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