知的・発達障害のあるお子さんへのアナログゲーム療育
- gameryouiku
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たとえば、保護者さまにはこんな報告を作ることができる。 「Sくんの検査に現れているワーキングメモリーの落ち込みは、アナログゲームをプレイする際、最初の説明を聞いただけだとルールを勘違いしてしまうことが多くあることからも確認できます。」
2015-05-10 14:20:36「ただし、2,3回プレイすると体験的にルールと目的を理解することができ、まずまずの結果を出せます。本人も『最初はわからないことが多くても、頑張って何度かプレイするとルールや目的がわかって楽しくなってくる』ということを理解しつつあり、そこに喜びを感じているようです。」
2015-05-10 14:20:43「学校や将来の就職においても、『口頭の説明だけで理解するのが難しい』という問題に直面することが考えられます。その場合、口頭ではなく予め文章で指示することを依頼できればでトラブルが減ると思われます。」
2015-05-10 14:20:50「またそこまでの支援が難しくとも、『説明を聞いただけでは理解することは難しいことがあります。何度か実地に体験することで自分がするべきことを理解でき、本来の力を発揮できます』と言っておくだけでも、トラブルが減ると思われます」
2015-05-10 14:20:57「また、Sくんもアナログゲームをプレイする過程でこうした自身の性質を理解しつつあります。今後はその特性を他者に説明できるように指導していきます」
2015-05-10 14:21:28結論に入っていくが、お子さんに複数のアナログゲームをプレイしてもらう過程で、その子が集団内コミュニケーションにどんな課題があるかが、重層的に浮かび上がってくる。
2015-05-10 14:28:35お子さんは「ゲームに勝つ(または上手にプレイする)」という目的のもと、その課題を自己認識して、乗り越えるための工夫を行おうとするし、指導者もまたその過程を手助けすることで、本人の特性を理解し、保護者や他の支援者にフィードバックできる。
2015-05-10 14:33:01まとめれば、アナログゲーム療育とは「盤上で繰り広げられる子ども同士の相互交渉を通じて明らかになるお子さんのコミュニケーション上の課題を、本人と指導者が一緒になって理解し、乗り越えようとする試み」であると定義づけることができる。
2015-05-10 14:45:34と、ここまで書けばお気づきの方も多いだろうが、子ども同士の相互交渉が促せるのであれば、何もアナログゲームにこだわる必要はない。スポーツ、お料理、工作、演劇、なんでも結構だ。
2015-05-10 14:48:15ただ、課題が豊富であること、スペースを取らないであること、安全であること、比較的安価であることなどの理由で、子ども同士の相互交渉を促進するのにアナログゲームほど適した「教材」はないので、それを推しているだけに過ぎない。
2015-05-10 14:49:40というわけで、最初の主張に戻りますが、子ども同士がアナログゲームをプレイしあうことは、「実社会のシミュレーション」ではなく、「実社会」そのものです。なぜならそこには人間同士のジカの相互交渉があるからです。
2015-05-10 14:57:16複数のアナログゲームをプレイする中で重層的に見えてくるお子さんの集団内におけるコミュニケーション上の特性と課題は、将来の職業生活の際にも確実に持ち越されるものであり、ゲームだから「現実」と異なる、というのは実態に沿った見方ではありません。
2015-05-10 15:03:41