夢幻宿せし真珠の調 ─☆ 一日目 現世 ☆─
【小悪魔と聖職者】自称悪魔と手入らずの君
──ルーフェ&ラルス
随分と下卑た物言いである事に眉を顰めた事は布に隠され解らなかっただろうが返そうとした言葉は抱き着かれた感触に飲み込まれる。 流石に驚いた様に僅かに動きを止めた。 それが必要な儀式とは知らず。唱える呪も無い。
2015-06-06 00:18:20唯一(ただひとつ)の問い掛けが耳からその奥へ響くように溶ける様に浸みていく。 ──間。 「私の《現》(げんじつ)は──「やみのなか」に」 《夢》(であい)は終わり《現》(にちじょう)が始まる。ひと欠片の《夢》(ひにちじょう)を連れ。
2015-06-06 00:21:01閉じた円が光に瞬き、光に瞬き円が閉じる。 そうすれば、もう《夢》には何も残らない。きれいさっぱり片付いた、濁らす澱まぬ無我の海。
2015-06-06 13:48:39それは召還か召喚か降霊か召霊か どれでもいいし、どれでもない。必要だったのは二つを繋げる通路で、それ以上かもしれなかったけれどそれ以下ではない。必要なのは、道を造ること。 彼に接続(リンク)して 現に進入(リンク)して そうして二人、合わさって《現》に現れる
2015-06-06 14:01:09しかして一つの問題は。 「………うわぁ……ほんとーに、まっくらだねぇ」 上下左右天地如何尽く無い「やみのなか」。 沈むことも浮くことも流れることも留まることもない無視界の中。 彼の言うのだから《現》とは、本当にこれなのか。 世界は見るものによってその形を変えるのならば。
2015-06-06 14:07:10「まっくら、ですか?」 ルーフェが抱きついたままであるならば近い位置から困惑したような訝しげな声。 外からは鐘の音。 「起床の鐘……私の部屋であるのならば、窓がある筈ですが」
2015-06-06 14:41:11聞き慣れた音である事を確認するように耳を澄まし沈黙し間違いない事を確認すれば真っ暗な筈はないと言うような言葉。 身動きを取ろうとすれば真後ろにあった寝台に足をぶつけ倒れるように座る。
2015-06-06 14:41:17声はあった。至近ではなく、それでも遠くでもない。 動きはとれた。なんの障害もなく、自由に動けた。 窓があり、鐘の音がある。そういう世界で、その部屋は、彼の思うとおりにあって。 「ふみゅっ?!!?!?」 寝台に腰を下ろしたその感触だけが、どうにも《非日常》(ちがっていた)。
2015-06-06 15:01:41服越しにわかるかどうさは定かではないが、衣服と寝台の間には細く、束ねられた感触がある。 差し込む光に輝く。寝台の上に波打つ、アンティークシルバー。 どうみても寝台に寝っ転がって夢現してたルーフェの髪をふんずけてます。本当にありがとうございました。
2015-06-06 15:06:53座った感触を感じ取るには足りなかったがその鳴き声のような悲鳴に驚いた様に手を付けば指に触れる糸の束の様な物。 「えっ」 流石に予想が出来る訳も無かったとしか言い様のない事態に驚きが口から溢れる。
2015-06-06 17:36:48聞こえた声は確かに《現》を約束した彼女の物。急ぎ立ち上がる。 「あの、申し訳ありませんルーフェさん。大丈夫ですか」 顔が見えていたならば申し訳なさそうにしている事も解っただろうという声音。
2015-06-06 17:37:01「う~せっかくいい気分で寝てたのにー」 そもそも 勝手に 寝ていたのは 誰だ 腕を伸ばしてくぁーっと欠伸を一つ。ばちくりと目を瞬かせてぐるぅりと見回せば、またぽすりという音がした。 寝台に、倒れ込む音だ。 「ここがー、ラっくんのお部屋?」 寝台でごろごろ。
2015-06-06 22:05:20寝台の上を動き回る様な音と拗ねた様な声音に大丈夫そうだと判断しながら再び謝罪。 「すいません、気付けなくて」 見回せばそれなりの広さのある室内に一辺の壁の上部にある窓から光が差し込んでいるのが解るだろう。壁には燭台が一つ小さく殆ど残っていないロウが刺さっている。
2015-06-07 04:38:31壁際に大きくも無ない机と椅子に今ルーフェが転がる質素ながらしっかりとした造りと上等に見えるシーツのかかる寝台。表に模様を彫り施された衣装箪笥。机の近くにある小さな本棚には数冊の本しか置かれていない事が見て取れるか。
2015-06-07 04:39:09はっとした様な動きで鐘の聞こえる方角へと顔を向ける。 「祈りの時間が……。ルーフェさん、申し訳ないのですが。この後の全体礼拝に出なければいけないので。そうですね、二時間ほどかかってしまうのですがこの部屋で待っていていただけますか」
2015-06-07 04:39:34問い掛けながら朝の祈りを簡単に済ませると寝台に背を向け身形を整える。本棚へと近寄り赤い装丁の本を一冊取り出すと寝台の方を振り向いた。 「なるべく早く戻りますので」 申し訳そうな声音。胸に手を当て、礼。 扉が閉まる。
2015-06-07 04:39:43「えぇー?!ラっくんどっか行っちゃうの?」 唐突な申し出にガバッと跳ね起きる。いそいそと支度を始めたラルスの手はもう既にドアノブをガチャリと回していた。 「ちょっと待っ………」 ばたん。現実は非情である。
2015-06-07 16:22:24「……………そりゃあ誘ったのはルーの方からだけどさぁー、女の子置いてどっか行っちゃうっていうのはぁ、流石に男のヒトとしてどーなのよぉ」 手近に枕か何かでもあれば、適当に扉に投げつけたであろう。 「ラっくんのばーーーか!」 イーっと、むきだしの表情である。
2015-06-07 16:29:29そこまでやって、ルーフェは再び寝台に体を下ろした。 広がる天井を、見て想う。これが《現》。これが彼の《現》。 やみのなか、という現実。 はたして、何を願って、夢に落ちたのか。 なにを しらべますか。▼ 【ラルスの部屋】 【燭台】 【本棚】 【机】
2015-06-07 16:37:27