夢幻宿せし真珠の調 ○☆ 三日目 現世 →◎

『夢を揺蕩う刻に人はもう戻れない。  往くと好い、きみたちの望む侭に』 ☆────────────────────☆ †匿名twitter創作企画†『夢幻宿せし真珠の調』 【概要:http://privatter.net/p/757197
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  もとむはひとつ いだくもひとつ
  それぞれ番いて さあ孵れ現世へ

  ○─→☆ 三日目 現世 ──→◎

  【零日目】 ☆前日譚○
  【一日目】 ○夢○ / ☆現世☆
  【二日目】 ○夢○ / ☆現世☆
  【三日目】 ○夢○ / ☆現世☆(現在地)


【藍の淵に銀の泡】夢と漣は、とっても『仲良し』
──《仔》&アイズ・サブスティーア

アイズ・サブスティーア @Substayia

過ぎ去りし事象は過去へと変わります。 思いを馳せる瞼の裏には情景が浮かびます。 『     』 幾度目かの感謝を伝った言葉は、空白に紛れて泡と消えておりました。

2015-06-26 10:11:10
アイズ・サブスティーア @Substayia

――夢は《仔》を抱いていました。同様の銀のぬくもりもなく、2人きりの空間で抱えていました。夢は揺り篭であり、箱庭であり、楽園であり、胎のように安らかな心地を与えて抱いておりました。 「――ねぇ、お嬢さん」 泡の跳ねる音と共に、夢の子は撫でながら話しかけました。

2015-06-26 10:12:59
《仔》 @ousia_mugen

「なあに?」  ∟__応えは腕の中から在った。     ∟__二度目の光景が《夢》の前に在った。        ∟__寝台の上に横たえられた《娘》が居た。 「なあに。アイズ?」  ∟__《仔》は変わらず《夢》の腕の中に存在った。

2015-06-26 19:13:29
アイズ・サブスティーア @Substayia

「――私はあなたと共にある。お嬢さんの傍にいること。あなたが私を認識できなくなるまで、いつも傍にいてくれることが、願いを叶える条件」 それは少し前に話したことだった。自分をそばにおいてくれることが条件であると。 「けれど――そうだね。私はずっとずっと考えていたんだけど」

2015-06-26 22:03:00
アイズ・サブスティーア @Substayia

「あなたは突然歩けなくなった。あなたはずっと、ここにいる。あなたは――ママと私さえいれば良いといった」 ――水を染み渡らせるように穏やかな声でした。あなたの髪を撫でながら言葉を重ねます。 「私はもう少し"考えて"みた。私も考えてみたいと思った。皆と同じように悩んでみようと思った」

2015-06-26 22:03:44
アイズ・サブスティーア @Substayia

「ねぇ、お嬢さん。あらゆる世界を回るための足を欲しいとは思わない? もう1度様々な色を見てみたいとは思わない? 酸いも甘いを感知できる鼻を、口を――心を、その身体を」 さわ さわ ―――、 「ほしいとは思わない?」

2015-06-26 22:06:01
《仔》 @ousia_mugen

「……アイズ?」  ∟__《仔》は《夢》の手を疑わない。     ∟__《仔》は《夢》に撫でられる心地を拒絶しない。 「アイズの。おねがいごと。ちゃんと。ちゃんと。するわ」  ∟__それであっても。     ∟__声音に浮かべたのは“焦燥”か。

2015-06-27 12:48:42
《仔》 @ousia_mugen

「いろんなところ。いきたい。たくさんのいろも」  ∟__《仔》は訴う。     ∟__《娘》の横倒しの肉は鼓動以外に動かない。        ∟__精神と肉体の差は目のまま。 「でも。でもアイズが。いないのは。いや。ママがいないのも。いや」  ∟__胸元を握り思うのは恐れか。

2015-06-27 12:48:51
アイズ・サブスティーア @Substayia

「大丈夫――」 焦燥を抱えるなら、解きほぐしてあげないといけない。 甘やかすようあなたを撫でました。 それは、心の内に夢の子もまた抱えていたものですが。 ――幸せの定義は人それぞれ。《仔》の幸せがあれば、他の幸せもある。 けれどそれでも、もう少し欲張らせて欲しいのです。

2015-06-27 13:37:07
アイズ・サブスティーア @Substayia

肉は規則正しく動く音が聞こえる。身じろぐ挙動は見えません。 アイズ・サブスティーアはあなたという存在にもう一度触れてもらいたいと願う。傍にいてお話を聞くだけではない、もっとあなたと触れあいたい。 「大丈夫だよ、お嬢さん。私がママに会わせてあげる。私はずっとずっと傍にいてあげる」

2015-06-27 13:38:56
アイズ・サブスティーア @Substayia

「でもひとつ約束があってね。お嬢さんが眠るときにしか会わせられないの。ずっと傍にいてもママが眠れなくなるから、そしたら風邪を引いてしまうかもしれない」 だからあなたはママを"忘れないで"欲しい。そうすればずっと傍にいられるから。優しい言葉をかけてくれるし、お話もしてくれるのだから

2015-06-27 13:42:48
《仔》 @ousia_mugen

「ほんとう?」  ∟__《仔》の手は《夢》の胸元を握っている。 「ほんとうに。だいじょうぶ?」     ∟__“焦燥”の気配は緩くなっていく。        ∟__消えはしないままではあったとしても。           ∟__何を“感じ取っている”のか。

2015-06-29 21:08:41
《仔》 @ousia_mugen

「やくそく。アイズが。ママに。あわせてくれるなら。なんだって。するわ。できるわ」  ∟__《夢》の暖かさは変わらない。     ∟__《太陽》から享けた暖かさが内にある事も《仔》は理解っていた。        ∟__それでも《夢》を手放さない《仔》の手は欲かあるいは。

2015-06-29 21:08:48
《仔》 @ousia_mugen

「ねむるときだけ。でも。ママにあえる。なら。でも。あえないのは。あっても。わすれちゃう。のは。いや。ゆめを。わすれるのは。いや」  ∟__《仔》は訴う。 「アイズ。アイズ。《うみ》は。どうしたら。いい? ちゃんと。ちゃんと。やくそく。まもる。から」

2015-06-29 21:08:55
アイズ・サブスティーア @Substayia

「本当に――。私を信じて」 夢は嘘を突けない。夢はすべてを映してしまう。答えられたことにも正直に答えなければなりません。 ただ、あなたがその奥で何を想うのかまでは、映せないのですが。

2015-06-30 00:20:17
アイズ・サブスティーア @Substayia

「うん、あなたは偉い子。あなたは良い子。聡明で素直で、純粋で。だからこそ愛おしい」 掴まれておりましたその手を握り返しました。暖かな色を映して、ほっと和らぐ心地。 あなたを包む胎《楽園》は、どこへと連れて行くのでしょうか

2015-06-30 00:20:52
アイズ・サブスティーア @Substayia

「あなたがただそう強く願うといい。あなたはこの場にいる。何かの行動を起こせるとは限らない」 何にせよ、夢が求めることは行動ではない。アイズ・サブスティーアという夢があなたのありのままを映せればそれで良い。 「あなたはただそう信じて眠りにつくといい。私にあなたの意思を教えて欲しい」

2015-06-30 00:21:33
《仔》 @ousia_mugen

「ほんとう。ほんとうね?」  ∟__《夢》が手を重ねた手。     ∟__共の言葉とそのどちらにかあるいは両共にか。        ∟__浮いた安堵に《仔》の力は弛緩む。 「アイズが。アイズが。いうなら。しんじる。しんじるわ」  ∟__ほうと一息。     ∟__そうして笑む。

2015-06-30 15:52:55
《仔》 @ousia_mugen

「なくなっちゃうのは。いやなのよ。たくさん。こんなに。おはなししたの。アイズが。はじめてだから」  ∟__赤子のままの精神[- 仔 -]は触れ合いを知らなかった。     ∟__“母”の“在る”眠りがそうだと信じて疑わない為に。 「たからね。もっと。もっと。いっしょにいたいの」

2015-06-30 15:53:03
《仔》 @ousia_mugen

「だから。いっしょに。《行く》のよ」  ∟__藍色が緩慢細くなる。     ∟__弧を描いて笑みを象り伏せられる。 「きっと。たのしみ。って。いうのだわ」  ∟__何の歪みも疑念も無く。     ∟__《仔》の“内”に浮かび上がるのは。

2015-06-30 15:53:10
《仔》 @ousia_mugen

“ 《仔》は草を知らない。 《仔》は花を知らない。 《仔》は雨を知らない。 《仔》は風を知らない。 天に雷撃が迸る事も氷が地面を穿つことも知りもしない。 ただ知るのは《夢》の中の風景だけ。 青く蒼く高く雲の沸き立つ透き通るような空の下____ ”

2015-06-30 15:53:17
《仔》 @ousia_mugen

“ 己の脚で立ち両手を伸ばせば。 己の顔を上げ高いそこを見上げれば。 きっと遠い《太陽》にも近付く事が出来るだろうか。 ____《仔》は笑み念い冀う。 ”

2015-06-30 15:53:26
アイズ・サブスティーア @Substayia

「私もそう。こうして"長い時間"付き合うのは初めてだよ」 夢は自分というものが無かった。借り物の姿を映して、思い描かれた妄想を具現して。 この海へと訪れてから、僅かたりとも変わるものが確かにあった。 海にたゆたう《海》の子はなおも懇願した。

2015-06-30 19:37:33
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