ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー】♯5

2015-06-27 22:07:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アカチャン!オッキクネ」「前線慰問キャンペーン!」「ここでドン!……凄い」「ネオサイタマの貴方。今すぐキャッシュを」「金塊をくれるんですか?」激しい広告音声が縦横に飛び交い、いまだ日の高いうちからネオン看板は薄汚れた空に蛍光色のバックライトを照射、雑踏密度は増す一方。 1

2015-06-27 22:10:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ここはネオカブキチョ、大通りを幾つか経た先は恐るべきニチョーム隔壁であるが、そこで進行中の激しい攻防は不気味なほどに見えてこない。立ち並ぶ密集ビルディングと大音量の環境音とスモッグのせいだ。「終末が近い!」辻説法のプリーストが護符を高く掲げた。「とにかくダメなのだ!」 2

2015-06-27 22:14:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイツ先週は学会で発表された催奇形性化学物質でネオサイタマがおしまいだとか言って無かった?」「今週は僧侶だな」フードを被った市民がプリーストを指さして気楽に呟き合い、通り過ぎる。見慣れた日常光景だ。凶悪殺人鬼フジキド・ケンジのニュースも、結局のところ面白い報道娯楽なのだ。3

2015-06-27 22:18:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「来週は何かな?」「そんな事より、お前の彼女……」KABOOOOM!「アイエエエエ!」大通り沿いで突如の爆発!周囲の市民が路上に打ち倒され、煙にむせる中、幾つもの不穏な旗が掲げられた。「一揆」「打毀」。「アイエエエ!?」「アイエエエ!」「打倒!」「進歩!」「革命!」「革命!」4

2015-06-27 22:23:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!これは反体制テロリズム勢力、イッキ・ウチコワシの蜂起である!「革命!」「強制!」「進歩!」「行使!」それまで路上をうろうろと歩いていた市民の中から、革命ヘルメットを被る者が続々と現れ、手に手に発煙筒を焚きはじめた。「アイエエエ!」逃げ惑う市民! 5

2015-06-27 22:25:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがその騒ぎが拡大する事はない。数分のうちに路地裏から現れ出た黒くスクエアなシルエットの無人バイク。「市民。貴方がたの安全は迅速に確保されます」ギュイー……恐ろしげな駆動音を発し、無人バイクは人間型に変形した。「進歩……」「アイエッ!?」BRATATATATA!「アバーッ!」6

2015-06-27 22:27:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワオ!どうなってるんだ」「爆発してる!」やや離れたシアター・ビルディングから出てきた市民達は騒ぎを遠くに見て飛び上がった。「何かちょっと今日は……」囁き合う市民の誰かが呟いた。この10月10日は何かが違っている。何も知らぬ彼らでさえ、嵐めいたアトモスフィアを感じるのだ。7

2015-06-27 22:33:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「我々は引き続き戦う!」大通りの向かいでは別の活動家が便乗してスピーカーをONにした。「何かがとにかく……何か起きているぞ!」「市民。許可された特定のストリートで、なおかつ事前の申請が必要です。ここでのそうした行いは犯罪であり、処罰されます」「撃つなら撃てよ!」「連行します」8

2015-06-27 22:37:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ザッケンナコラー市民!」「アイエエエ!」バイク型ロボの両脇から走ってきた似た背格好のオナタカミ・トルーパーによって活動家は速やかに確保された。市民は眉を顰め、足早にその場を離れる。「スッゾ市民!ご協力ありがとうございます」トルーパーが頭を下げる。遠くではまた別の悲鳴だ。 9

2015-06-27 22:41:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエ!」「ひったくりだぞ!」そして広告音声!「アカチャン?」「バリキドリンク・エクストリーム!規制緩和でバッチリ!有効成分が20倍!」見る者が見れば、ネオカブキチョは爆発寸前の火薬庫だ。そうした者ならば、路地裏から転がり出てきた傷ついたニンジャに気づいたかもしれない。10

2015-06-27 22:44:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエッ!化け物……」路地の前を通りがかった市民はその異様な存在を目の当たりにした途端に失禁しかかったが、すぐに見間違いとわかった。「痛ッてえ、ははは」服の埃を叩いて立ち上がったのは、なにもおかしなところのない一人の人間に過ぎない。「大丈夫ですか」「ええ。転ンじまってね」11

2015-06-27 22:49:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それは良かった……あれ?」市民は瞬きした。「いない」彼は訝しんだ。まず目にしたのは、梟人間とでも呼ぶべきありえない存在。よく見れば当然そんな事はなく、それは黒髪の男だった。だがそれすらも幻か。「アイエエ」追加の騒ぎに巻き込まれでもしたら、たまらない。彼は家路を急いだ。12

2015-06-27 22:52:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「ハァー……やれやれ」フィルギアは雑踏を縫うようにして大通りを渡る。後ろの路地を見やる。スターゲイザーは追って来ない。それはそうだ。あの異様な姿で大手を振って歩けば、たちまち極めて大勢の市民が急性NRS(ニンジャ・リアイリティ・ショック)症状に陥り、パニックが生ずる。13

2015-06-27 22:57:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その点フィルギアは無害なものだ。彼を疑う者はない。別の路地へ入り込み、水滴したたるパイプとパイプの狭間、消えかかりの「甲乙」のネオン看板を掲げたバーの階段を降りる。営業時間にはまだ早く、扉は締まっているが、彼はそれを無視した。「イヤーッ!」鍵を破壊し、エントリーした。 14

2015-06-27 23:03:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お客さん!まだ始まって……アイエッ」カウンターで準備をしていた店主がフィルギアを見、即時失禁した。極めて恐るべき眼力に気圧されたのだ。「殺さないからさァ。奥に引っ込んでてくれるか」「アイエエエ!」店主が裏へ逃げると、フィルギアはフロアの中央まで歩き、入り口に向き直った。15

2015-06-27 23:06:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」二秒後、回転ジャンプでエントリーしてきたニンジャをフィルギアは迎撃した。「イヤーッ!」彼の鉤爪はニンジャの首根を掴み、そのまま床に叩きつけた。SMAAASH!「グワーッ!」「イヤーッ!」頭を持ち上げ、再び叩きつけた。「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」再!16

2015-06-27 23:12:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ようこそ俺の店へ。嘘だ。俺も一見さんだよ。ちょうどいい場所があって良かったよ。ヒヒヒヒ」フィルギアはニンジャを見下ろした。「エート……デキュリオン=サンだっけ?」「オノレーッ!」敵ニンジャ、デキュリオンは拘束を脱しようともがいた。フィルギアの腕がミシミシと音を立て、阻む!17

2015-06-27 23:15:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アンタらのボスは陣営に戻った?賢明だよ。俺なんかと追いかけっこしてもダメだって」フィルギアは囁いた。「ヌウーッ!」デキュリオンはもがいた。「イヤーッ!」「グワーッ!」再!「わりィけど、何人か減らしたいんだ……しかも、死ぬのは嫌なんだ、俺……」「イヤーッ!」「グワーッ!」再!18

2015-06-27 23:20:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フィルギアの腕がミシミシと軋む。彼は咳き込んだ。「何発か、イイのもらっちまってさ。シャレにならねえ」「ヌウーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」再!「だけど俺、何でもするよ、何でもする……できるだけの事は。長く生きてンだ、俺は。アンタよりずっと長く!」「イヤーッ!」そこへ新手!19

2015-06-27 23:25:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エントリーしてきたのはフロストデビルだ!「追いつめたり!フィルギア=サン!」フロストデビルはカラテを構える。フィルギアはデキュリオンの頭を掴んだまま立ち上がった。痙攣するデキュリオンを盾に、フロストデビルと対峙する。 「ウカツ……フロストデビル=サン」デキュリオンが呻いた。 20

2015-06-27 23:29:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そこまでだ。仲間の命は無いぜ」「カーッ!」フロストデビルは白く輝く霧を吐いた。体内で生成した超低温のガスがそのような自然現象を生み出す!ダイヤモンド・ダスト・ブレスだ!「ヒヒヒヒ……そりゃ躊躇しねえよな!」フィルギアの盾にされたデキュリオンが見る見る白く凍りついた! 21

2015-06-27 23:33:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カーアアアアア!」フロストデビルは冷気を吐き続ける。今やこの地下バーは氷温貯蔵室と成り果て、調度類から氷柱が滴り始めた。パキパキと音を立て、グラス類が割れてゆく。「イヤーッ!」フィルギアはデキュリオンを投げつけた。「イヤーッ!」フロストデビルは殴って破砕!ナムアミダブツ!22

2015-06-27 23:41:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがこのカラテ一打はフロストデビル自身に隙を生じる結果となった。フィルギアはこの隙を逃さぬ!「イヤーッ!」「グワーッ!」右鉤拳!「イヤーッ!」「グワーッ!」左鉤拳!「イヤーッ!」「グワーッ!」右鉤拳!フロストデビルのメンポがひしゃげる!「イヤーッ!」「アバーッ!サヨナラ!」23

2015-06-27 23:48:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フロストデビルは爆発四散し、その四散はきらめく氷によって彩られた。まるでそれは女王の葬送歌めいていた。「ハアーッ……ハアーッ……!」フィルギアは変身を再び解き、裏口へ向かう。階段を降りてくるのは恐らく三人目のアマクダリ・ニンジャだろう。これ以上立て続けに相手にするには……。 24

2015-06-27 23:51:20
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