阻害するものがなにかで変わります。~抗生物質と抗ウイルス薬~
@Butayama3 前のまとめで、「細菌は生物で、ウイルスは生物だか無生物だかわからない」という話になったと思うのだけど、「細菌は生物」ってことは、どんなにちっこくても、単細胞でも、基本となる機能は全部、自前で持っているって意味なのね。(続
2015-07-05 12:12:12@Butayama3 承前)そして、「生物界」全体という枠組みで考えると「細菌」「動物」なんかのグループごとにまとまってて、例えばリボソームなんかの仕組みは「細菌はみんな共通して70Sリボソーム」「動物含めた真核生物は80S」という違いになるから「細菌全般に効く薬剤」が出来る
2015-07-05 12:17:43ペニシリンは何を阻害しているのか。
@Butayama3 ペプチドグリカンは、基本パーツとなる小さな分子(糖分子x2に、アミノ酸5つくらいのペプチド鎖がくっついたもの)が、細菌の細胞内で作られたあと、それが細胞の外に分泌されます。で、同じように細胞外に分泌される何種類かの酵素が基本パーツをくっつけて高分子にする。
2015-07-05 12:22:05@Butayama3 このとき細菌の細胞(菌体)の外にある複数の酵素が順番に働き、既存の細胞壁に切れ目を入れ、そこに新しい基本パーツをはめ込み、また繋げて、さらに丈夫になるよう他のと結んで……というのを繰り返し、細胞壁が「伸長」していく。ペニシリンはその「丈夫にする」のを邪魔する
2015-07-05 12:27:49ペニシリンの作用は「細胞壁合成阻害薬」。
@Butayama3 ペニシリンの作用も「細胞壁合成阻害」と呼ぶけど、ある意味では、単に「細胞壁の合成を邪魔する」のより(細菌にとっては)タチ悪いのよね。元から作れなくなるのなら「増えられない」だけだけど、「細胞壁作ったら全部ぼろぼろの欠陥品になる呪い」かかってるようなもんで。
2015-07-05 12:34:41@Butayama3 ぼろぼろの細胞壁では生き残れないから「増えられない」のではなく「菌が死ぬ」。このように、抗生物質には細菌の増殖を抑えるだけ(静菌作用)のものと、細菌を殺してしまう(殺菌作用)ものがある。臨床で使われるときは、殺菌タイプの方が「切れ味がいい」って言われたりも。
2015-07-05 12:38:47細菌がどうやって増えていくのか具体的にわかっていないからイメージしにくかったのかも。
ふうん、細菌の増え方のメカニズムかわかるともっと具体例にイメージできるかも。 それぞれのパーツが何処で作られてどういう風に成長していくのかとか。
2015-07-05 12:51:33@Butayama3 それを「細菌に*共通する*増え方のメカニズム」をくくって考えたときと、「ウイルスに*共通する*増え方のメカニズム」をくくって考えたとき、前者はヒトと違う「細菌独自で、細菌には共通」のものが多く、後者はヒトのを流用してるものが多い、というのがポイントね。
2015-07-05 12:55:39さて、そうすると、「ウイルスに利く薬」のメカニズムとは。
@y_tambe はい。だからウイルスにしっかり効くクスリは難しいんですね。 ヒトのメカニズムまでやっつけざるを得ないから。 そういえび、前にRNAポリメラーゼ阻害薬の話を聞いた時もこんなことを話していたような。
2015-07-05 13:00:01@Butayama3 その通り。それもウイルスの増殖メカニズムの、細かい部分が分かってきたからこそ、です。ヒトのメカニズムと関係ない、ウイルスが自前で持っている部分を探して叩く。それでタミフルとかいろんな抗ウイルス薬がでてきたし、中には何種類かのウイルスに効くものもみつかってきた
2015-07-05 13:03:26@y_tambe 今、タミフルとリレンザのことを考えていたの。 あれはどういうメカニズムなのかなあ。
2015-07-05 13:04:22インフルエンザの薬、タミフルとリレンザは?
@Butayama3 こないだまとめてもらった、「HA開裂」の話のときに、「細胞内で増えたインフルエンザの娘ウイルスは、周りの細胞にすぐひっつく」っていう話が出てたの、覚えてます?
2015-07-05 13:06:35--いか3つのツイートは、インフルエンザウイルスがどうやって繁殖していくかを説明していただいた際のものです。
詳しくはこちら→http://togetter.com/li/838938
@Butayama3 「HAが開裂したウイルス」が一つの細胞の中に入れば、その中で増えます。まぁ大体100個くらいの娘ウイルスができるとすると、その100個が外にでた後どうなるか、という話。
2015-06-25 00:19:40@Butayama3 はい。ただ、都合のいい(?)ことに、インフルエンザのHAって、細胞表面の「シアル酸」って糖鎖にくっつくのだけど、この糖鎖、いろんな細胞に出てるから、新たに生まれた「娘ウイルス」は、すぐそばにある細胞に次々にくっつけるのね。
2015-06-25 00:24:39@Butayama3 これがフリンでも開裂できるタイプのHAを持つ強毒型なら話は別で、感染した細胞のゴルジ体とか細胞膜の表面にあるフリンで切られた娘ウイルスが出てくる(……って、何か「不倫で切られた娘」って響きがアレだが気にしたら負けだな、うん。
2015-06-25 00:30:01