ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー #7
ザリザリ…スピーカーがノイズを発した。『中からシツレイするわ。ドーモ。ネザークイーンです。観念をし!アマクダリ!』「「イヤーッ!」」ビル屋上からニンジャが飛び降りた。ファーリーマン!スーサイド!ルイナー!一方空中のヘリコプターから縄梯子が垂れ、アマクダリのニンジャも降下開始!73
2015-07-07 00:15:37バオーン!バオーン!バオーン!バオーン!バオーン!レディオ放送のボリュームが引き上げられ、雑音を研ぎ澄ませたかのような激烈な爆音ノイズ・ビートがたちどころにニチョームを満たす!BRATATATATATA!装甲車が飛び降りてくるニンジャ達へミニガン掃射を開始!74
2015-07-07 00:18:04「イヤーッ!」機関砲の直上に落下したルイナーが、まずこれを叩き潰した。負傷した肩にはいまだ鉄条網が巻き付き、カラテの流動に応じて生き物めいてざわめいているようにも見えた。「イヤーッ!」そこへまっすぐ斜めに跳んだのはスターゲイザー自らである。「グワーッ!」ルイナーを蹴り飛ばす!75
2015-07-07 00:23:04「イヤーッ!」間髪入れず、スーサイドがスターゲイザーの後方から襲いかかった。アマクダリ・ニンジャの増援よりも、彼らの攻撃がわずかに早い。スターゲイザーはただ振り返り、スーサイドを受け入れるかのように余裕あるカラテを構えた。「イヤーッ!」両者の手と手が掴み合った。 76
2015-07-07 00:28:53「ははは。相撲か」スターゲイザーは笑い、冷たく無感情な目でスーサイドを見た。「お前のジツには興味があったぞ」「イヤーッ!」スーサイドの上半身が白い光を発した。スターゲイザーは光に捉えられる。「そうだ。力比べをしよう。スーサイド=サン。俺と……ははは。お前とでな」「イヤーッ!」77
2015-07-07 00:31:28スターゲイザーは己の両手から生命力を引きずり出される感覚を味わう。「面白い」「イヤーッ!」彼の力の源は空にある。彼は静止衛星から転送される身体構築情報とエネルギーを受け取る。無尽蔵に。幾らでも。ゆえに彼は無敵であり、不死身だ。 78
2015-07-07 00:42:21彼のプロテクターは超高密度の触媒を貯蔵しており、これと、場合により大気中の重金属成分を利用し、転送されてくるエネルギーを捉え、肉体を生成する。ニンジャの肉体を。果たして彼が生物と呼べるのだろうか。そして彼を動かすエネルギーを生命力と呼べるだろうか?これがナノカラテエンジンだ。79
2015-07-07 00:46:46肉体も、装束も、プロテクターそれ自体も、天上からの供給エネルギーをもとに再生させる。彼は地上の世界から一次元高いカラテを為すのだ。「イヤーッ!」スーサイドは吸収を継続する。アマクダリのニンジャ達が次々に地上へ降り立ち、インターラプトに向かう。ルイナーが迎撃する。80
2015-07-07 00:52:19「イヤーッ!」ファーリーマンが到達し、ルイナーを援護する。アマクダリのニンジャ達が一人また一人と降り立つ。イクサにおける個別のアイサツは、開戦時の両大将が代表する事で省略可能だ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」攻撃応酬を周囲に見ながら、スターゲイザーとスーサイドは押し合う。 81
2015-07-07 00:54:39「俺の力を吸えるのか?幾らでもくれてやろう!」スターゲイザーは言った。「……いくらでも!」「アバーッ!?」スーサイドは叫んだ。光が流れ込む!「喰らえ!さあ、喰らうといい!ノスタルジーの力を……美しき知恵の果実をな!」「アバーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」 82
2015-07-07 00:58:10スーサイドは危ういところで組み合いを脱し、身をもぎ離した。「イヤーッ!」そこへスターゲイザーは丸太めいたサイドキックを叩き込んだ。「グワーッ!」キリモミ回転しながらスーサイドは大通りを反対まで吹き飛び、ビル壁に叩きつけられた。「グワーッ!」「おお……」スターゲイザーは震えた。83
2015-07-07 01:01:42彼は、己の守護天使……常に寄り添い、だが近づくことかなわぬ静止衛星の存在を、愛し、そして憎む。乾いた悲しみが彼のニューロンを常に満たしている。分散したメガトリイの一部を引き継ぐ彼にとって、宇宙とは放逐された楽園であり、月とは彼が本来到達してしかるべき地である。84
2015-07-07 01:06:27イッキ・ウチコワシのバスター・テツオの甘言に操られてオムラを追い落しにかかったオナタカミであったが、所詮は権力欲に駆られた蒙昧な集団、さしたるビジョンなど持ち合わせていなかった。ゆえに彼が思想を与え、テクノロジーを与えた。メガトリイの遺伝子を注入し、矯正したのだ。 85
2015-07-07 01:13:04「イヤーッ!」乱戦を飛び越え、フォレスト・サワタリが回転しながら斬りかかった。スターゲイザーはそちらを見たが、特に避けない。マチェーテが彼の左肩と鎖骨と首を切り離した。「うむ」吹き飛ばされながらスターゲイザーは声を発した。ナノカラテエンジンが発動し、ボディが構築された。 86
2015-07-07 01:16:24「サイゴン!」サワタリは地を蹴り、足首を斬り裂きに行く。スターゲイザーは上からサワタリの頭部を押さえつけ、叩きつけた。「グワーッ!」「イヤーッ!」そしてケリ・キック。「グワーッ!」サワタリは両腕をクロスして防ぐが、タタミ七枚分撥ね飛ばされる。 87
2015-07-07 01:17:59宮殿を失い、しかし滅びず、この地球上へ落ちて来たアガメムノンを見出した時、スターゲイザーのニューロンには様々な感情が去来した。好ましいものばかりではない。むしろ感傷は強まった。当時のアガメムノンには何の保証も後ろ盾も無く、一人二人のニンジャを従えるばかりだった。 88
2015-07-07 01:22:57しかしメガトリイのスターゲイザーにとって、鷲の一族の正統なる末裔に従わない理由は1ミリグラムも無かった。ごく自然な事だった。アガメムノンは歴史を戻し、スターゲイザーの歪んだカラテ・テクノロジーも白紙に帰するであろう。だがそれはスターゲイザー自身の望む、テックの浄化である……。89
2015-07-07 01:27:25「サイゴン!」スプリング・ジャンプで体制復帰したフォレスト・サワタリが再び襲い掛かる。「イヤーッ!」相手ニンジャを打ち倒したファーリーマンが一瞬の隙をついてスターゲイザーに攻撃する。「イヤーッ!」スターゲイザーはサワタリをいなして投げ飛ばし、ファーリーマンのボーを踏みつけた。90
2015-07-07 01:30:43「イヤーッ!」「グワーッ!」そしてファーリーマンの側頭部にチョップを叩き込んで沈め、「イヤーッ!」「イヤーッ!」飛びかかって来たルイナーの腕を取ってイポン背負いを決めた。「グワーッ!」KABOOOM!スターゲイザーはヤグラ337ビルが火を噴くさまを満足げに見た。「さて……」91
2015-07-07 01:33:05【ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ:ニチョーム・ウォー】#7 終わり。【フェアウェル・マイ・シャドウ】に続く。
2015-07-07 01:34:05