八月最後の日、大阪でゾンビが出た。
25.古巣(自衛隊)を思い出す、同期と連絡を取りたかった。 きっと彼らは今も動いているか、動こうとしている筈だ。 彼らの保護を受けたかった、でも 『不特定多数とともに居る』という、現状最悪の状況には陥りたくない。 それだけは無い、いくらそれが甘美な安心でも。
2015-08-31 00:32:2826.日本の掲示板と合わせて、初めて海外フォーラムに書き込んでみた。 向こうが日本語を解るかは不明だけど、幾らかの評価が得られた。 結果、いくつかの情報が得られた。 矛盾する情報も多いが、少なくとも概ねは欲しかった情報が揃った。 感染経路と、辿れる限り最初の症例が発生した場所だ。
2015-08-31 00:38:1727.今年の始めに、インド北東部で原因不明の神経症が流行し それなりの数の犠牲者が出ていたというニュース記事が引用されていた。 犠牲者の多くは子供で死亡者のピークは六月、平行して世界中で類似した症例が報告されていた。 随分急な話だと思ったが、現地民曰く実際はもっと古い話らしい。
2015-08-31 00:42:4728.『蚊が出たのが最悪だった』と、彼(彼女?)が書き込んだ後 スレッドの進行は数分間完全に止まった。 世界中で数千人が窓を閉め、殺虫剤を噴霧したのだろう。 ウチでもやったし、拡散した国内のフォロワーや友人知人 そして実家の家族もそうしただろう。 最悪、最悪だ、本当に最悪だ。
2015-08-31 00:46:5329.インドの雨季は八月らしい、結果として目も当てられない有り様になったそうだ。 翻訳ソフトが訳しきれない部分は推測が交じるが 彼(彼女)の精神状態は非常に不安定で 『家族だったモノ』に襲われた経緯と、呪う言葉が綴られていた、全てを。
2015-08-31 00:50:2730.正直、彼(いい加減性別を聴いてみようか?)には悪いが インドの惨状には、同情よりも怒りが勝った。 『世界唯一の被爆国』の国民が言う事ではないが、許されるなら核ミサイルでもブチ込んでやりたかった。 今やっても遅いが、去年くらいにやっていればと思わなくもない。
2015-08-31 00:53:1831.発言を投稿せずに書いては消し、書いては消ししていた時 他の人が彼女(プロフィールによると女性だったらしい)に 『現地では対処しなかったのか?』と、強い口調で訪ねていた。 インドの彼女はしばし沈黙してから 『信じないかもしれないが』と前置いて
2015-08-31 00:56:5633.指先が冷たくなっていく感覚を、日本の掲示板の書き込みが引き戻す。 有料会員が使う(あまり使用しない、好まれない機能筆頭の)太い赤字で 『八女市の避難所で暴動!!』の文字を見て、自分が嗚咽しているのにようやく気づいた。 走っても居ないのに息が切れる、寒い。 何処かへ逃げたい。
2015-08-31 01:03:4534.パソコンの電源を切って、暗い部屋の中で延々と木刀を振る。 汗が流れて、自分の呼吸と心臓の音しか聞こえない。 何も聞こえない、何も聞きたくない。 消えてしまいたい。
2015-08-31 01:05:4735.自衛隊で二時間腕立てをさせられた時以上に汗をかいて その汗の水溜りの上に倒れこむ程疲れた頃には、日が登り始めていた。 篭った空気を換気したくて、窓を開けようとした時 『蚊が出たのが…』という書き込みを思い出して、尻餅をついた。 窓が、怖い。
2015-08-31 01:09:3536.雑巾を使って床の汗を始末して、部屋中の換気扇に網戸シートを三重に貼り付けていく。 玄関の僅かな隙間にも、目張りする様に 万が一、蚊の侵入経路に成りかねないと思うと、そうせざる負えなかった。 窓も開けた時に使える様に、工夫して、シートを加工していく。 怖くて開けられないが。
2015-08-31 01:14:2549.昨夜、ネットで仕入れた情報に拠れば アレらに『噛まれた』人間が変わってしまうまでの時間はかなりの差があった。 幾らかは誤情報としても、映画の様に 『噛まれて数秒~数分』で変わる様な事はない、らしい。 全ての情報を参考にするなら、変わるまで最長五日 最短でも二日。
2015-08-31 01:32:34