GC大戦EX・ライオネル襲撃２－⑨

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 「ほぼ互角。といった所かね」 両軍は対峙する。 両軍ともほぼ同数。 両軍とも士気は十分。 装備だって備えられている。 ただ一つ違うとすれば、それは両軍の兵士達の表情だろうか。 どこか誇らしげな顔を浮かべるエレン、ケイン軍と、無心である様な表情のライオネル軍。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 ひたすらじっと、兵士の目でライオネル軍の兵士達は目前の軍勢を見据えていた。けして粗野でなく、それはどこか、プロとしての矜持を思わせる様な表情。 どちら側にも、それなりの事情があり、また、信念がある事を思わせる。だが、その信念は互いに決定的に違う。

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#ライオネル襲撃 広い平原を挟んで、両軍はその場に対峙していた。距離にして、数百メートルほどの距離。ほとんどギリギリ、戦闘可能距離ではないといった所か。ライオネル軍が近くに現れ、この布陣を整えるまでにおよそ30分。それからずっと、その場の全員が互いを睨み合っている。

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#ライオネル襲撃 暫くの静寂、その後、エレン領の中でも、特に遠目の聞く一人が叫んだ。 「何か近づいてくるぜ！」 見れば、小さな一団が、君達の軍勢へと歩み寄っていた。その旗手は、使節である事を示す旗をはためかせて、エレン達の軍勢の下へとゆっくりと進むゆく。 ⇒ZMT

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 エレン「来ましたか……こちらも出向きましょう」 そう言い、エレンもまた僅かな供を連れて軍勢の先へと向かう。 エレン（使節、ですか……今度はライオネル自身は出向かないでしょう……） 硬い表情を見せ、兵士たちの前へと進んだエレン。 ⇒GM

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 軍勢の前にエレンが現れると、使節らしき集団はぴたりとその歩を止めた。 その大部分は、護衛の傭兵。それぞれ思い思いの装備を身にまとっているが、サーコート付きの甲冑は、使節らしく、正装の様な振る舞いを思わせる。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 その中から現れた使節は、いつかに見たか、あのザックスの聖印の光から、主君を守り通した、金髪碧眼の青年騎士だった。こちらも、使節に相応しい装備で、エレンの前に踊り出る。すると、恭しく、「とても形式張った様子」で、彼は目前の君主に対し、一礼した。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 「これより先の地の領主、エレン嬢であらせられるか」 その問いに反論が返ってこなければ、彼は手に持った羊皮紙を広げると、高らかに声をあげて宣言する。 「男爵位、ライオネル卿からの伝令である!　貴君の領土につき、数箇条の告発があるので、それをここに述べる」

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 それはエレンやメイベルなら知っているだろう。今ではそう使われる事もなくなった、伝統的な開戦の作法だ。数箇条の告発といっても、その内容は形式的なもので、言ってみれば言いがかりに近いものも多い。 だが彼の入れ知恵か。青年騎士は、その告発に、以下の点を付け加えていた。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 一つ、前回使節を殺害した事に対する罪 一つ、正式な手続きに則って取得した街道使用権について、近隣に軍事拠点を築き、兵を配備する事で無用な緊張を産んだ罪。 「そして最後に− 、不当に現状の魔術士協会が監督する諸侯秩序を脅かす食客を匿う事に対する罪!」

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 終始、青年騎士は毅然とした態度でそれを読み上げた。 「これにより、貴君の行動を当領は不当と判断し、此処に前項の解消を求めるものである!　以上!」 堅苦しい態度で、青年騎士は読み上げると、その後、朗らかに微笑んだ。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 「よろしくお願いします」 それは、どのような意図で現れた言葉だろうか。だが、どこか世間離れした口調から、一気に崩した言葉で彼はそう言い放ち、そして、形式に則り、彼は読み上げた書類をエレンへと渡した。 ⇒TZM

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 ピクリとケインが反応する部分もあれど、エレン側の反応は無く、淡々と受け止めていた。 使節が差し出した文書はケインが受け取り、それをエレンに渡す。 その内容を不服である、とそう告げ、戦闘を開始する旨を伝えればそれで良い。それだけのはず。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 しかし、エレンが耐え切れずに問う。 エレン「『よろしくお願いします』とはどの様な意図を以て発言されたのでしょう？」 まるで模擬戦を挑む時の様な気軽な口調にエレンはそう問うてしまった。 ⇒GM

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 「あっ……」 ぽつり、若さの残る声が、その場に響いた。そう問われる事を、あまり考えていなかったらしい。 だが、彼は表情を変えなかった。 「書状を、お目通しください。それが我が主の真意、との事です」

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 その書類には、何も無かった。 形式ばった、今となっては読みにくい書体も、今風の、手紙に使われるような筆記体も。きらびやかな装飾の挿絵も。 あるはずものが、ない。 それは、ただの羊皮紙。何も記されていない、ただの、羊皮紙だった。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 だが、君たちは、その羊皮紙に、なんと記されているか、はっきりと感じる事が出来るだろう。 「言葉は不要、形式など形式にすぎない」 その何も書かれていない書状には、そうした、ライオネルらしい圧迫が、込められていた。 ⇒TMZ

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 エレンは、その白紙の羊皮紙を眺め、 エレン「対外的な面を考え、一応形式的に行ってはおくが、本質的には「力でやり合おう」と。そう言っているのでしょうか……？」 仲間に細い声で尋ねる。エレンの考える策士たる彼とは全く別の戦略に戸惑ってしまった。 ⇒M

まちるだ／メイベル@条約 @matilda25160

#ライオネル襲撃 「そうなるかしらね」 はじめは怖かったものだ。 「使者殿。 男爵殿にお伝えくださいまし。 私たちは、そして貴方は、知っています。 さきほどの告発に正当性など、ないと」 あったら即刻、周囲の領主全員を味方につけて攻めてこいというものだ。(続)

まちるだ／メイベル@条約 @matilda25160

#ライオネル襲撃 「貴方がたにあるのは唯、戦意のみ。 私たちにあるのは、無用な戦を収める意思のみ。 なれば」 湖の瞳を煌めかせ、薔薇の唇で魔女は謳う。 「その剣、お向けなさい。お気の済むまで。 潰えることのない夢の盾、とくとご覧に入れましょう」⇒GM

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 「はい、そう主に伝えます」 元からの性格なのだろう。青年騎士は、どこか朗らかに、そう応えた。青年騎士は、今度はフランクに会釈を返す。それもまた、ライオネルの仕組んだ「演出」のような、そんな感覚。 使節が小さくなっていく。ライオネル軍の下に帰っていく。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 ライオネル陣営。 使節となった青年騎士は、その大任を果たして、ようやく幻想卿の下へ帰る。 「ご苦労」 ライオネルは、その青年騎士の話を、メイベルの言葉を、そのまま耳に聞いた。 そして、何も言わなかった。 そんな彼の陣に、一人の、いや、一匹の影が歩み寄る ⇒N

猫憑ノコ @okurisuzume

＃ライオネル襲撃 「……ライオネル、お前一体あれに何を書いたんだ？」 青年騎士の声、そして微かな会話の声を聴いたのか、虎の耳がぴくぴくと動いていた。 相手の軍勢を前にし、また自らも軍勢に紛れながら、彼女は忠犬のごとく静かにライオネルに歩み寄る。 ⇒GM

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 「さて。何も書いてないよ」 幻想卿は、おどけたように舌を出す。この軍場で、その様な事をするのは、彼だけか。 「少しばかり悪戯をしたっていいではないか。私は格式というものが、これでも少しは「好き」だし、「尊敬」もしているのだよ」

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 そこにきて、カッツェはその表情を見た。ひっそりとほくそえむ。下衆の顔。 なんだか、全てを嘲笑っている様に見えるだろうか。 それは、誰もが分別と言う名の諦念を抱くこの世界で、誰よりも早く、諦めと怠惰の渦へ堕ちていってしまった様な、そんな表情だった。 ⇒N