《友達の恋》つづき

しんごのやつのつづきです
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hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《友達の恋》side-B 126 帰国して3日目。 スマホのアラームで起きたら、大きなベッドの真ん中に自分が居て、ちょっと笑っちゃった。 信ちゃんとはすれ違いで、ずっと会えてない。 まあこれまでだって同じ家に住んでるのに一週間顔合わせないなんてザラだったし、今さらだけど。

2015-11-06 22:59:14
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《友達の恋》side-B 127 ...ほんとにたまーにだけど、疲れて帰ってきたひとりの夜、虚しくなる。 ルームシェアしてるんじゃないんだからさ...って。 お互い仕事最優先だし、そんなこと思うなんて恋愛脳の若い子みたいで恥ずかしいから絶対言えないけど。

2015-11-06 22:59:28
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《友達の恋》side-B 128 「...今日も働きますかねっ」 勢いよく布団をはねのけて、ベッドから降りた。 ひとりごと、多くなったなぁ...。 昔に戻ったみたい。 信ちゃんと住む前...。 そう言えば同棲始めたの、付き合って2週間も経ってなかったんだっけ。

2015-11-06 22:59:38
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《友達の恋》side-B 129 シャワー浴びながら、ぼんやり思い出した。 付き合い始めて最初のデートのとき。 デートって言っても、友達の期間が長過ぎて、急に恋人っぽくもできなくて、いつもの天ぷら屋さんでいつも通り食べて飲んでってしてたら。 「手、出して」

2015-11-06 23:00:00
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《友達の恋》side-B 130 信ちゃんに言われるがまま、手を出すと...鍵とカードを渡された。 「下のオートロックはこっちで、暗証番号これ。上は鍵と...同じ番号な」 たらの芽の天ぷら食べながら言う。 「暗証番号は三か月にいっぺん変わりますんで、都度教えます」

2015-11-06 23:00:12
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《友達の恋》side-B 131 なんか他人行儀な感じで続けた。 これって...好きなときに部屋に行っていいってこと? そう聞こうとしたら。 「んで、いつ引っ越し?」 管理会社に言わなあかんからなーって言って、ビール飲んだ。 「ひ、引っ越し?」

2015-11-06 23:00:22
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《友達の恋》side-B 132 面食らってる私を見て、ニヤって笑った。 「お前、今月休み何回あった?」 休み...フルの休みは...。 確か、3回。 「俺1回」 ビールをぐいって飲み干すと、信ちゃんは続けた。 「な。一緒に住まな次いつ会えるかわからんやん」

2015-11-06 23:01:25
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《友達の恋》side-B 133 まあ、事実その通り、だったんだけど。 そんな流れでだいぶ強引に、一緒に暮らすことになった。 それでも信ちゃんは、忙しいのにわざわざちゃんと実家まで来てくれて、両親に挨拶してくれて。

2015-11-06 23:02:05
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《友達の恋》side-B 134 私が電話で話したときはぶつくさ言ってたお父さんも、ものの5分で気を許した。 オヤジ殺しの信ちゃんからすれば、下町の定食屋のオッチャンを手懐けることなんて、きっと朝飯前だったんだろうなぁ...。

2015-11-06 23:02:22
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《友達の恋》side-B 135 もうどのくらいになるんだっけ。 あれ、何月だったかなぁ。 たらの芽食べてたってことは...? そこまで考えてまた、笑っちゃった。 こーゆーの、普通は女が覚えてなきゃいけないんだよね。 ほんと、信ちゃんもアレだけど、私も大概なんだよな。

2015-11-06 23:02:34
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《友達の恋》side-B 136 充実してるとか恋してるとか最近嫌なことあったとか。 職業柄、髪の感じや肌のハリでなんとなくわかる。 だから、化粧品メーカーのレセプションパーティでパンフレット配ってた少し疲れた肌のその女の子に、なんとなく話しかけちゃったのかもしれない。

2015-11-08 21:22:40
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《友達の恋》side-B 137 「よくわかんないんです。何考えてるか」 聞けば、彼氏は関西人なのに無口で照れ屋で、色が白くて業界の人で...ってなんかその人知ってるような...。 「言ってみたんですけど。一緒に住みたいなって」 キレイなその子は悲しそうに目を伏せる。

2015-11-08 21:22:52
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《友達の恋》side-B 138 あぁ、絶対そうだ。 前に信ちゃんが、たまたま偶然裕くんと彼女がデート中のとこ会っちゃったって。 彼女のこと、「めっちゃ美人やねん」ってちょっと興奮気味に言ってたことあったもん。

2015-11-08 21:23:01
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《友達の恋》side-B 139 あまりにしつこく騒いでるから、はいはい、めっちゃ美人じゃなくてすいませんね、なんてかわいくないこと言って、プチ喧嘩になったんだ、確か。 「もうすぐ更新だからって言われて」

2015-11-08 21:23:14
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《友達の恋》side-B 140 それって私と一緒に住みたくないってことですよね。 めっちゃ美人は自分に言い聞かせてるみたいに言った。 裕くんて、相変わらずしょーもないな。 今度ひとこと言ってやらなきゃ。

2015-11-08 21:23:25
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《友達の恋》side-B 141 聞いちゃった手前、美人さんを慰めてる途中、仲良しのスタイリストさんに肩を引っ張られた。 「ねえ、あんた知ってんの?」 彼女...彼?...まあ、身体は男で心が乙女な種類の人...は、目をらんらんとさせてる。 やな予感。

2015-11-08 21:23:39
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《友達の恋》side-B 142 「しんごにヤリ捨てされたってあっちこっちで言ってる女がいるらしいじゃん」 耳を疑った。 ヤリ捨て? っていう単語が若者過ぎて、自分がその噂話の登場人物だなんて到底思えなくって。

2015-11-08 21:23:53
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《友達の恋》side-B 143 彼女...彼...もうどっちでもいいか...は、少し楽しそうな感じで。 なんでイキイキしてんだか。 「ほら、あんたがグアム行ってたくらいの時」 グアム...一週間前...か。 「いやいや...人違いじゃないの?他のシンゴじゃない?」

2015-11-08 21:24:09
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《友達の恋》side-B 144 そう。 だって信ちゃん忙しいもん。 そんなことするヒマ...ないはず。 「いーや、あんたのしんごだよ」 ソースの怪しい噂話を本気にするほど、私だってバカじゃないし。 「あのねぇ。忙しくたってね、男は浮気するんだよ」

2015-11-08 21:24:17
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《友達の恋》side-B 145 彼女...もとい彼...は少し、同情したような顔で言う。 そんなこと言われたって...。 「どーすんの?」 どーするもこーするもこんなバカバカしい...。

2015-11-08 21:24:25
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《友達の恋》side-B 146 ショーケースの中のリップスティックがキラキラ反射して、目を背けた先に鏡があった。 ひどくくすんだ肌の自分と目があった。

2015-11-08 21:24:31
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《友達の恋》side-A 179 あれ以来、きれいさっぱり相手の子とは絡みなかったし、なんならちょっと忘れかけてたくらいの時。 朝、ようやくあいつと一緒になった。 「おはよ。ごはん食べる?」 起きたらあいつはちょうどメシ食うとこで。

2015-11-09 22:41:07
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《友達の恋》side-A 180 大盛りのサラダと紙パックの野菜ジュースみたいの。 「手抜きだからこれしかないけど」 珍しいな。 こいつはどんなに忙しくても朝ごはんだけはちゃんと作って食べるのに。 なんとなく、冷蔵庫からジュースだけもらって、正面に座った。

2015-11-09 22:41:26
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《友達の恋》side-A 181 「なんか...久しぶりやなぁ...」 こいつがグアムから帰ってきてもずっとすれ違いで、俺が帰る頃には寝てて、起きたらもう出てるってのが続いてた。 「元気?」 「まあまあ。そっちは?」 「ぼちぼち」

2015-11-09 22:41:39
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《友達の恋》side-A 182 パリパリ健康的な音させながら、サニーレタスを口に突っ込んでる。 口の動きが、急に官能的に感じた。 ............。 そーいや最近...してないなぁ...。 相性ええ方やと思うんやけどな。 ...俺のひとりよがりやなかったら。

2015-11-09 22:41:55
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