- love_kamome
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《友達の恋》side-A 183 「信ちゃん、浮気してるの?」 「はぁっ!?」 ジュース吹きそうになる。 ...何で知ってんねん...。 言うたまんま平然とサラダ食べてんのがめっちゃ怖い。 しらを切り通すべきか? それとも潔く認めるか。 一瞬でめっちゃ悩んで...。
2015-11-09 22:42:07《友達の恋》side-A 184 「ごめん」 深く、頭を下げた。 顔上げたらあいつはもぐもぐしながらこっち見てる。 あかん。 バレてる。 知ってる顔やもん、全部。
2015-11-09 22:42:22《友達の恋》side-A 185 「いや...ごめん、ほんまごめん。ちょっと...や、かなり酒入ってて...あんま記憶もないねん。ただ流されたっていうか...雰囲気に負けただけで...」 無表情のまま、ゆで卵口に入れた。
2015-11-09 22:42:38《友達の恋》side-A 186 「その日だけやで?ほんまに。事故...みたいなもんで...」 「そっか」 「え?」 「わかった」 ゆで卵もぐもぐしながら野菜ジュース飲んで、言った。 「そんなことよりさ、裕くんのライブいつ行くの?」
2015-11-09 22:42:56《友達の恋》side-A 187 そんなことよりって...。 「あ...来週...まだ言うてないけど」 「今日撮影で会うから言っとこうか?」 紙パックぺこってつぶして、捨てた。
2015-11-09 22:43:05《友達の恋》side-A 188 「ごちそーさまでした」 いやいやいや.........。 こんな、浮気しといてあれやけど、もっとなんかないん? なんでそんなフツーにできんの?
2015-11-09 22:43:12《友達の恋》side-B 147 なんか脱力しちゃって、オフィスのソファに身を沈めた。 もう11時かぁ...。 泊まっちゃおうかな。 信ちゃんは...どうせ気づかない。 信ちゃんの性格だから、もし噂が本当なら、認めるだろうなってそんな気がしてたけど。
2015-11-10 22:37:35《友達の恋》side-B 148 あそこまであっさり認められるとな...。 別に、信ちゃんは絶対浮気しない!なんて思ってたわけじゃないけど。 なんでこう...私って、すぐ浮気されるんだろう。 今まで付き合ってきた人、ほとんど浮気されてる。
2015-11-10 22:37:43《友達の恋》side-B 149 普段は気にならない壁の時計の音がやけにうるさく感じて、秒針を意味もなく見つめてみる。 あーあ。 いつもより苦いな。 オフィスの自販機で買った、ザラザラしたコーヒー。 一気飲みして、誰もいないのをいいことに、ソファに横たわってみた。
2015-11-10 22:37:57《友達の恋》side-B 150 私にも問題あるんだろうなぁ...。 なんか、物足りなくなっちゃうのかな。 こいつなら許してくれそうとか思われてるのかなぁ...。 浮気を追及した時。 今までの人は、慌てたり嘘をついたり、逆ギレしたり、泣き出したり...。
2015-11-10 22:38:13《友達の恋》side-B 151 まあ、いろいろだったけど、あそこまで潔くあっさり謝る人は初めて...だなぁ...。 うん。 どうしよう、私。 浮気くらい別にいーよ、たまには外で遊んできなーって。 言えたらいいのになぁ...。 なんかやっぱり...ダメ。
2015-11-10 22:38:23《友達の恋》side-B 152 嫌だ嫌だ。 自分の中に眠ってた、ドロッとした女の部分を揺さぶられてる気がする。 あー、なんで訊いちゃったんだろう。 ただのウワサだって、知らんぷりしとけばよかった。 あそこで何言われたってモヤるだけだってわかってるのに。
2015-11-10 22:38:32《友達の恋》side-B 153 認めて欲しかったんじゃない。 最後まで嘘ついて欲しかった。 もし決定的な証拠があったとしても、どんなに滑稽でも、違うって言い続けて欲しかった。
2015-11-10 22:38:54《友達の恋》side-B 154 謝って欲しかったんじゃないよ。 ただ...。 俺が好きなのはお前だけだって言って、抱きしめてくれればそれでよかったのに。 あーあ。 なんか...思った以上に...。 「辛いなぁ...」
2015-11-10 22:39:02《友達の恋》side-A 189 あいつはそれっきり、その件については何も言わんかった。 表向きは何もない、いつも通りのふたりやけど...。 タブーができた...ような気がして、居心地が悪い。 って、間違いなく全部俺のせいやし...。
2015-11-11 22:46:46《友達の恋》side-A 190 ちゃんと話、せなあかん。 とは思ってんけど...。 そのまま、時間だけが過ぎて、季節は夏に変わり...。 夜遅く帰ったら、あいつはもう寝たみたいで。 そっとベッドに入る。
2015-11-11 22:46:57《友達の恋》side-A 191 なんか気配で...起きてんのかなって。 向こう向いてる背中に、そーっと話しかけた。 「...起きてんの?」 「............おかえり」 あいつはゆっくりこっち向いた。 「早かったね」 言うてももう12時過ぎてるけど...。
2015-11-11 22:47:05《友達の恋》side-A 192 いつもこーやって真っ暗な部屋で、でかいベッドでひとりで寝てるんやなぁって。 今さらやけど...。 「信ちゃん」 ああ、この感じやな。 この距離でしか聞こえない、小さな声。 なんか、懐かしい...なんて。
2015-11-11 22:47:12《友達の恋》side-A 193 「あ...起こしてもーた?ごめんな」 「ううん」 何か、言いたそうな顔で。 「......なに?」 「......しよっか」 ずーっと時間合わんかったし...。
2015-11-11 22:47:20《友達の恋》side-A 194 って言うよりむしろ、あいつはわざと夜と朝の時間を一緒に過ごさんようにしてるような気が...してた。 気のせいかもしらんけど、そう...なんのを、避けてるような。 「...お前なぁ...もっとこう...ロマンティックにやなぁ...」
2015-11-11 22:47:29《友達の恋》side-A 195 「ぷっ...今さらそういうの気にする?」 吹き出したあいつを腕ん中に閉じ込めて、キスした。 「ヤるか」 「ふ...ロマンティックだねぇ」 「せやろ」
2015-11-11 22:47:34《友達の恋》side-A 196 ひとつ唇を重ねる度に、甘くなる。 友達から恋人になるための儀式。 許された、と思った。 相変わらずアホやな、俺は...。
2015-11-11 22:47:45《友達の恋》 side-B 156 久しぶりに帰った実家は、昔と変わらない、バターとデミグラスソースの匂いがして懐かしい。 忙しく働く両親の気配を階下に感じながら、たぶん新入りのホール係がオーダーミスってダブった...オムライスの卵にスプーンを入れた。
2015-11-12 23:43:42《友達の恋》 side-B 157 優しかったな。 昨日の信ちゃん...。 いつもは結構激しくって、終わったら立てないくらいガクガクにされることも珍しくない、のに。 なんか昨日はすごく...甘い感じだった。 だから...。 辛くなった。
2015-11-12 23:43:49《友達の恋》 side-B 158 信ちゃんはどんな風に、相手のひとを抱いたんだろう。 そんなことが頭を回って、なんか集中できなかったんだ...。 ノックもしないで乱暴にドアが開いて、デミグラスソースの匂いが濃くなる。 「おい、信ちゃんどうした信ちゃん」
2015-11-12 23:43:58