アンエクスペクテッド・ゲスト #8

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!…急いでますって!イヤーッ!」スポイラーは通信機に短く吐き捨てた。二人の瀕死者を抱えながら走り、中庭のバスケットゴールを跳び渡り、半壊した総合棟医務室へ着地!「アイエエエエエエ!」この状況でなお献身的に負傷者の手当てを続けていた看守マッポが驚き、悲鳴! 22

2016-01-21 22:42:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ!手当しろ!センパイが心停止状態だ!」彼は頭から血を流し叫んだ。「わ、私には無理です!そんな高度な手当…」「ARRRRG!」ナカジマは獣めいて吠えた!「何とかするんだよ!」「アイエッ!そ、そうだ!」看守マッポは閃いた!「偉大なる医師が!カブセ医師が!アドミン棟に!」 23

2016-01-21 22:42:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

熱を帯びた看守の言葉は、スポイラーに一縷の希望を与えた。身の危険も顧みず、またマッポの杓子定規なルールにも反抗し、医師として、人間としての責務を果たそうとする男がいる!そのような男ならば、きっと、デッドエンドを!「イヤーッ!」彼は瀕死者2人を抱えたまま、窓から飛び出した! 24

2016-01-21 22:47:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『ドーモ!こちら49課!カブセ=サンはいるか!?』スポイラーはインカムのIRCをアドミン棟館内放送に切り替え、叫び、混沌とゴアの中を駆ける。後方では山の如く巨大な影がよろめき歩く。バスケットコートに魔法陣を描き暗黒神に祈りを捧げていたブラックメタリスト達が無残に踏み潰された。25

2016-01-21 22:53:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

怪物の巨大な拳が囚人棟の屋上を砕く!「グワーッ畜生!」足場を砕かれ落下するタフガイ。苦戦!本来ナカジマはデッドエンドを諦め、一刻も早く彼を加勢せねばならぬ。だがあと少し、スポイラーは、この希望に縋りたいのだ!『心停止者!これより医務室に運ぶ!準備を!蘇生させてくれ!頼む!』 26

2016-01-21 22:59:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、アドミン棟電算機室!「アイエッ!?」イシカワの応急手当を終えた直後、カブセは館内放送で名前を突如呼び出され、まず取り乱した!(クソッ!何故私がここにいると解った。まさか看守が?まずい、まずい、まずいぞ!)「ARRGH!」全身から汗が噴き出し、カブセは頭をかきむしった! 27

2016-01-21 23:06:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼だけではない。電算機室のならず者全員が、ゴクリと唾をのみ、館内放送に耳を澄ました。心停止者。蘇生。医務室。ニューロンが回転する!「…よし!」カブセが額の汗を拭った!「バレたわけではないぞ!」「おい、医務室に居ないとヤバイんじゃねえのか!?」「ああ、そうだ、そうだとも!」 28

2016-01-21 23:12:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カブセは応急キットを纏め始めた。「しばしお別れだ!私は医務室に行く!いなければ怪しまれる!ジェイク=サン!君は患者だ!患者もいないとバレる!来い!」「マッポ服を着ちまってるが……」「ファック!時間がない!」「取り乱すなオラー!……患者役は誰でもいいのか!?」ヤマヒロが問う! 29

2016-01-21 23:22:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あ……ああ、この際誰でもいい!」「なら俺が行く!イシカワも治療途中だろ?連れてくぞ!脱走したらしばらく医者にかかれねえ!サイモンジここでハッキング続けろ!タロ!ここで万一に備えろ!」「アッハイ!」「その坊主に、万が一の時、撃てるかね?」ジェイクが散弾銃を握る。「俺も残るよ」30

2016-01-21 23:30:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よし急げ!今ヘマしたら脱出できんぞ!カイジュウがすぐそこまで来てるんだぞ!」カブセは聴診器を振り乱し駆けた。ヤマヒロがイシカワを担いで続く。タロは頭を掻き、必死に考えた。ここに残って役に立つのか?そして決めた。「カブセ=サン!」「何かね!」「俺も行ったら、手伝えますか!?」31

2016-01-21 23:35:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァ!?手伝う!?」カブセは後ろも振り返らず返す!服から薬剤瓶や注射器がこぼれ落ちる!「どうでもいい来るなら来たまえ!」(よし!ボーイ!行け!)ジェイクは心の中でガッツポーズを作り、冷や汗を拭った。伝説のハッカーと自分2人ならば、万が一の時のフットワークが最高に軽くなる。 32

2016-01-21 23:43:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイ!もしかして!心停止デッカーを助けられたら!あのカイジュウを倒……!」追いすがるタロ!「ザッケンナコラータロテメッコラー!」ヤマヒロが駆けながら激昂する!「俺の言ったこと忘れてんじゃねえぞコラーッ!銃構えて残ってろッコラーッ!カイジュウなんざどうでもいんだコラーッ!」 33

2016-01-21 23:52:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アッ……」タロは震え上がった。グレーターヤクザの剥き出しの憤怒を浴びたのだ。刑務所に来てから、これほどの罵倒を受けた事は無かった。だがヤマヒロの声は、怒りだけではない、どこか苦しげであった。きっと何か考えがあるのだ。タロにはそう思えた。「……ハイ」また遠く、見えなくなった。34

2016-01-22 00:01:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんだ、結局残るのか、ボーイ」スゴスゴと戻ったタロに、ジェイクは微笑みかけた。「まあ、気を落とすなよ。あのヤクザの判断は間違っちゃいないさ。こんな時は、俺といた方が絶対安全だよ」「どうしてです?」「俺はツイてるからさ」「アー……」後方ではサイモンジがタイプを開始していた。 35

2016-01-22 00:04:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「……ハァーッ!……ハァーッ!」」」一方、3人は一路、医務室へと向かう!背負われたイシカワが、傷の熱にうかされながら、うわごとめいて言った。「タロも……来るべきだった……」「あいつが来たら!バランスが悪いんだよ!いいから!お前は黙ってろ!」「カンゼンタイ……」「アアッ?」36

2016-01-22 00:10:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その名前を地下で……誰かが叫んだ……カンゼンタイだ……。戦う運命なのか……」イシカワが投獄されるハメになったのは、カンゼンタイ計画が原因なのだ。「おい、イシカワ!おかしくなったか!?」「ノープ。正気……あれを、止めないと……ここで、止めないと、世界が……常識で考えなよ……」37

2016-01-22 00:17:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いいから!寝とけ!大丈夫だ!大した傷じゃねえ!」ヤマヒロは息を切らし、走る。医務室は目前。ペースを落とし、息をつく。ふと、視界の端、職員用の公衆電話機列。いてはならない者。受話器を差し出すオーディン神。ヤマヒロは歯を食いしばった。「消えろ」『彼を呼ぶのだ!』「消えてくれ」 38

2016-01-22 00:25:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「消えろ……?」イシカワには不可視。怪訝な顔で振り向くカブセにも。「クソッタレが、何でもねえよ……とっとと中行こうぜ」ヤマヒロは幻覚に背を向け歩き出す。横にジーザスが現れ問う。『なぜヤクザの使命から逃げ続ける?』「俺はヤクザだからファミリーを守るンだよ…折角育てたんだぞ…」 39

2016-01-22 00:34:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『違います』ブッダがピンク色の光とともに現れる。『彼を呼び、ニンジャハントを依頼する。それがあなたの役目です』「おい、ラリってんじゃねえよブッダ……消えろ!スッゾコラー!」ヤマヒロは医務室に入って目を閉じ、もう一度叫んだ。目を開くと、ピンク色の光は消えていた。「フゥーッ」 40

2016-01-22 00:40:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いいかね、君たちは重症だ!」カブセが2人を指差し、医療寝台に横たえ、フートンをかけてカーテンを引いた。「いいか!そこから動かずに!」SMAAAAAASH!蹴破られる窓!「「「アイエエエエエエ!」」」「49課だ!頼む!」間一髪!スポイラーの到着だ! 41

2016-01-22 00:44:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スポイラーは大型注射器を持つカブセ医師を見た。看守の言葉通り、壮絶ななりだ。スポイラーはデッドエンドとコーゾを手術台の上に仰向けに横たえた。「心停止者は?」「彼女だ!」「よし……!では、そのジェットパック男は!?」カブセが問う。「ウッ!」カーテンの向こうで、ヤマヒロが呻いた。42

2016-01-22 00:59:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……この事件の重要参考人物だ!ワイヤーで縛り付けておく!危険人物だが…この男も…生かしてくれ!」スポイラーは歯ぎしりしながら言った。激情に任せ、内なるニンジャソウルに従えば、彼は即座にコーゾをカラテで叩き割る。だがそうすればデッカーではなくなる。彼は踏みとどまっていたのだ。43

2016-01-22 01:05:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「無論だ、危険人物だろうが囚人だろうが、助けるさ」カブセは汗を拭い、聴診器をデッドエンドの胸にあてながら、スポイラーを見て頷いた。「私は医者だからな」『オイ!ナカジマ!まだか!火力が足りねえ!ドーゾ!』無線機からノイズ混じりの声!「今……行きます!ドーゾ!」とスポイラー。 44

2016-01-22 01:12:48