消費税増税の妥当性についての一連の検討

消費税は、今般の経済状況の観察とはまったく逆に、「痛税感が低い」「経済的な負影響が小さい」と経済学的に評価されたから増税されてきた。 それがいかに間違っているかについて、また消費税周辺の他の議論についてもまとめた。 参考拙記事 『主流派経済学はなぜ消費税増税を解として導くのか』 ⇒ http://amba.to/1McC5bV
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

税の効果は消費と貯蓄[投資]のバランスを変えるだけなので、貯蓄[投資]を促す消費税の経済パフォーマンスが比較的改善してもおかしくない。 もし何らかの原因による消費の縮小で生じる不況であるなら、消費に対する課税はむしろ経済に厳しい影響を与えるだろうが、

2016-03-14 18:02:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そのことについて検討された形跡もないし、おそらく今般の財政学者は(その言行を鑑みるに)その可能性をほとんど考えたことはないのではないか。

2016-03-14 18:03:24
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

>稼得された所得はいつかは消費されるとの考えに立てば、消費 は「一時点の所得」よりも生涯を通じた経済力をより正確に反映 していると考えられる。 貯蓄[投資]の相続を無視しているし、流動性制約についても検討していない。導入の講義だから簡略化されたとして、留保もないというのは…。

2016-03-14 18:04:05
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

>世代間不公平の改善 >高齢(退職)世代にも課税 社会保障費高騰は高齢化によるものなら、この補填のために「高齢者に課税する」というロジックはおかしい。「高齢者に課税する」なら、そもそも給付を削るべき。

2016-03-14 18:06:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

給付を削らないなら、その一貫性からは「高齢者には課税しない」「現在所得に課税する」という方針を導くべきなので、論理が破綻している。

2016-03-14 18:06:23
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

>今日増税しないことの機会コスト=将来を見据えた視点(フォワードルッキング)が重要 増税することによる機会コスト(過少需要による過少生産がもたらす失業の履歴効果、過少投資による将来所得の減少エトセトラ)を無視している時点で説得的ではない。

2016-03-14 18:06:36
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

…どこの大学の財政学講義資料なのか知らないが(わざわざ一橋大学教授という自己紹介をしているので、一橋大学以外の大学での訪問講座であると思われる)、このような教育を受けた経済学徒がまともな政策判断ができるとは思えない。 悪く言えば、経済学徒を欺くものでしかない。

2016-03-14 18:07:02
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

消費税増税派、財政学者の奇妙な主張として、「世代間負担格差の是正のために消費税増税すべき」というものがある。 つまり、今借入支出を行い、後に徴税償還した場合は、今生きてるけど将来には死んでいる高齢者が得してしまうというもの。

2016-03-16 15:47:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

向井文雄氏がここらへんの議論については論じ尽くしているので私が繰り返すのも滑稽ではあるのだが、上記の財政学的見解の誤りとしては ①相続を無視している ②そもそも債務が継続的に拡大していくのが普通である(何故ならば国債は通貨供給手段なので)ことを無視している などが挙げられる。

2016-03-16 15:48:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そして、もっと奇妙なのは、「分配は常に各期の生産を配るものに過ぎない」ということが抜け落ちていることである。 どういうことかというと、財政学的見解では現在と将来が不気味にいっしょくたにされているが、実際には現在と将来では異なる生産が異なる分配を受けるということだ。

2016-03-16 15:49:21
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

特に、将来の生産を高齢者が受けることはできないし、債務とその支払いが、将来の生産を不自然に減らしたりすることもない。 となれば、将来の生産はどのように分配されるのだろう? 上記の財政学的枠組みでは理解しづらいポイントだ。これを理解するにはラーナーの機能的財政論を参照するとよい。

2016-03-16 15:49:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

機能的財政論に従えば、政府の借入支出や徴税償還は、貯蓄者(投資者)とそれ以外の所得移転に過ぎなくなる。徴税償還の場合、国民から国債投資者への所得移転になるわけだ。この時点では、将来生産の分配がどうなるかは不定である。

2016-03-16 15:51:18
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

民間投資が増えるならその支出先に分配は集中するし、政府支出を再び行う可能性もあろう。何にせよ、何らかの形で、既に退場した高齢者以外の人々に将来生産は分配されるのであって、将来の人々につけが回るという事態は訪れない。

2016-03-16 15:52:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

財政学的見解が辻褄を合わせるには、増税の先送りが将来生産を引き下げる必要がある。しかし実際には、総需要の減退が、失業の履歴効果、生産投資の停滞を招くことは論をまたないのであって、むしろ消費税増税の方が将来のつけを生むように思える。

2016-03-16 15:52:45
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

少なくとも、財政政策が総需要に強いインパクトをもち、金融政策に限界がある流動性の罠ではそうなる。 また、財政学者の論法として「相続を認めるならバローの等価命題が成り立つのだから財政無効」というものがあるのだが、これも各期の生産と分配が独立であることを忘れた間違った議論。

2016-03-16 15:54:48
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

バローの等価命題は、想定として現在の借入支出を将来の納税から調達していると考えているのだが、実際には現在の借入支出は現在の貯蓄から調達しているのであって、古典派的な生産資源のクラウディングアウトが最終的な制約になるし、逆にそれ以外は制約にならない。

2016-03-16 16:00:22