【備忘録】「東大早野氏誤訳論争」の源であるWHO『福島事故5年目のFAQ』の #甲状腺がん に関する項目6の全訳+「訳者あとがき」+前後の議論
- tkatsumi06j
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WHO:福島事故5年目のFAQ 10項目(英語長文) who.int/ionizing_radia… 「健康調査で多くの甲状腺がんが観測されたのは、放射線被曝よりも高感度検診に拠るものだろうと思われてきた。疫学データの更なる検証が必要」その他避難のリスクなども詳しく記載 *修正版
2016-03-21 08:56:33(修正)早野さんの訳が、①雑な要約で、②文字数が14字も余っているのに後半部分を割愛し、③その後半にかかる重要な前提部分を(意図的であるかは定かでないが)断定的な文言で訳出してしまったこと、を示す私の要約(*指摘反映版)との比較。 pic.twitter.com/ggodvAwbOZ
2016-03-21 10:33:39まだまだインプットあり
@tkatsumi06j さんへ。 「原発事故の影響のない県で、同率かさらには若干高率で嚢腫や小結節が見つかった。」 放射線影響でなく検診の感度により高率になる、ということを示唆して後の文意につながる文章。 それは同意されますか? twitter.com/tkatsumi06j/st…
2016-03-21 19:01:48WHO6. これには、高感度検診でなければ検出されなかったであろう甲状腺がんの症例も含まれています。これに似た数の、あるいは場合によってはこれを超える数の嚢腫や小結節の事例が、原発事故に被災していない他県でも観測されています。
2016-03-19 21:21:03@tkatsumi06j 返事ありがとうございます。 すると「事故の影響を受けていない」等の方が良いのでは?「被災していない」では、いわゆる被災地でない県にまで放射線の影響が出ているとの文意と誤解する人もいるのではないかと・・考えすぎでしょうか・・
2016-03-21 20:48:07@Ccver1Piscc ありがとうございます。ご指摘の点ごもっともですね。全訳のほうに反映したいと思います。感謝。
2016-03-21 20:51:03@tkatsumi06j また、相関関係を比較できる rate を「数」と訳すと分母の大きさが分からなければ比較できないので文意が掴みにくくなるのでは?
2016-03-21 20:48:39@Ccver1Piscc この点は、たしかに原文では"rate"としていましたね。ここまでが「数」だったので(number of incidence等)、ここで急に"rate"表記となったので統一するために「数」としていたのですが、ここは「発症率」でいいですね。重ね重ね感謝。
2016-03-21 20:55:20巻末エッセイ|「誤訳」にたいする考え方
「翻訳に誤訳はつきものである」 book-navi.com/book/syoseki/g… pic.twitter.com/1nScNhqugp
2016-03-23 16:56:05「誤訳」って、本来私たち翻訳者にとっては「忌むべきもの」ではなく「愛すべきもの」。もちろん、仕事の翻訳に誤訳はあってはならない。それはgiven。そして同じプロ同士なら、切磋琢磨する意味でお互いに指摘し合う。あるいはアマチュア同士でも、そうしてお互いを高め合うことができる。
2016-03-23 16:57:13また、今回のように、ある分野において責任ある立場にいる人間が、致命的ともいえる誤訳を行った時には、それを指摘し、正し、修正した訳を世に送り出すのは、もはやノブレスオブリジェといえる。だから多くの有志が集まって正そうとしたのだろう。ただ「祭り」でやってるわけではない。使命感からだ。
2016-03-23 16:57:58だけどそれ以外の場合で、「誤訳だ」「誤訳だ」と指摘する立場には、少なくとも私はない。たとえばメディアが、その能力不足から、あるいは恣意的にどうみても誤訳とみえる報道で誰かを貶めようとしたり事実を歪めようとしたら、それは徹底追求する。一度、『Nスペ』に誤訳を修正させたこともある。
2016-03-23 16:58:44『Nスペ』の場合は、即修正に応じてくれたため、恣意性がないことがすぐに分かったのだが、いわゆる翼賛メディアは、まったく悪びれないで誤訳を垂れ流し続ける。IWJにすら無視されたことがある。それでも、誤訳修正に応じないのは先方の損だと受け止め、受け流している。
2016-03-23 16:59:11私たち翻訳を生業にする者にとって、他人の誤訳は目につきやすい。映画の字幕にはいつも一人文句を言っている(笑)。でも自分でやってみると思いの外難しいことがわかった。時間もかかる。映像翻訳には、通常の翻訳とは違う独特のルールがある。それを守るのも、普通の訳者には一苦労だ。
2016-03-23 16:59:45そういう風に他の翻訳分野を知っていくと、あまり他人の翻訳を批判(OR批評)できなくなる。知れば知るほど、様々な制約の中で、同じ訳者として精一杯やった成果なのだろうな、と思えるようになるからだ。語弊があるかもしれないが、「誤訳」はいわばその人のシグネチャのようなものだ。
2016-03-23 17:00:23一時期、翻訳会社でQAリーダーをしていた時に、私の添削が厳しすぎると、何人かの登録翻訳者さんが登録を解除したことがあった。真っ赤な校正ファイルに、プライドをずたずたにされてしまったのだろう。そういう教訓もあって、私は他者の誤訳を咎めるのではなく、別のアプローチをとるようになった。
2016-03-23 17:01:49ある訳者を同業として、あるいは同じ翻訳者を志す者としてリスペクトするならば、その人の「誤訳」は「忌むべきもの」「糾すべきもの」ではなく、「愛すべきもの」「育てるべきもの」になる筈だ。狭い業界。互いをつぶし合って言っては発展の芽を殺ぐことになる。
2016-03-23 17:00:59今回行った「誤訳」への対応も、その流れを汲んでいる。だから自ら訳案を示し、前後も翻訳し、あとは相手のとりよう(今回のようになしのつぶての場合もあるが)、ネットでは、ギャラリーのとりよう。でもそこで「議論」するつもりはない。自由に解釈する幅あってこその翻訳だからだ。
2016-03-23 17:02:55今日も誰かが呟いてRTしたが、私は翻訳という作業が好きだ。仕事でも趣味でも活動でも翻訳から離れられない。ちょっと外信の速報があるとすぐに要約してTLに流してしまう。ほとんど条件反射だ。そしてマスコミとスピードを競って楽しんでいる。本当に翻訳は、私にとっては娯楽なのだ。
2016-03-23 17:03:39趣味が高じて仕事になったのか、逆なのか。もはやそれすらわからないが、この愛すべき「文明の橋渡し」の世界を、私は「誤訳」で相手を咎めることに執着することで汚したくない。これは私の個人的思いだが、同じく翻訳の世界を愛する同士諸君におかれては、是非ご一考いただきたいのである。
2016-03-23 17:04:02「翻訳不可能性と可能性の間で揺れ動く人こそ、いい翻訳家なんです。「オレの訳は完全だ」なんて態度はありえない。「これはうまく訳せない。困ったなあ」という訳者の表情がうっすらと浮かんで見えるような訳こそが、結果的に、繊細で緻密ないい翻訳になるんです」(沼野充義、近刊書の後書きより)
2016-03-23 08:54:53僕は翻訳が大好きです。とくに遠い時代の遠い国の、宗教もも生活文化も倫理観も、僕とぜんぜん共通点のない人のものを訳すときの「どきどき感」は他では経験できません。自分の常識をいったん全部解除することなしにはそういうものは翻訳はできませんから。その浮遊感がたまりません。
2016-03-18 18:48:37