SCPとインセインとCreativeCommons: 情報社会論の側面から

「インセインSCP」に絡むCCライセンス問題について、主にCCの成り立ちやTRPGとオープンライセンスの関係史などを。
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tricken @tricken

ともあれ会社法などにおいて、「複数のオーナーがはんこ持ってるので個別に許可を取りに行かないといけない」状態から「法人格ひとりにハンコを押してもらえばともあれ許可は得られたことになる」への変化、みたいなものが、Creative Commonsの(実体としての)使い方になると思います

2016-04-06 18:05:51
tricken @tricken

ある種の「捨印」なんですが、捨印するにしても、「こういう利用法をしないと改めてハンコをもらいにくることになるよ」と、多様な「待った!」を掛けられるシステムになってるのがCreative CommonsほかSome Rights Reservedな文化圏ですね。

2016-04-06 18:06:52
tricken @tricken

ともあれ、Creative Commonsの発起人の一人であるローレンス・レッシグが言ったように(『CODE ver 2.0』)、社会内の裁量や秩序は[法]だけでなく、[慣習]や[市場]や[アーキテクチャ]の釣り合いで成り立っているので、そのへんを考えるきっかけもCCの役割ですね

2016-04-06 18:10:20
tricken @tricken

僕らにとって馴染みのある「All Rights Reserved」と「Public Domain」の両極の間に挟まれた “Some Rights Reserved”に関して、具体的にどういう風にお互いに“捨印”しているのか、というのは、共有度を高めていけるといいですね。

2016-04-06 18:11:17
tricken @tricken

そういえばインセインSCPはメタデータによる許諾書表示がないんだな、という話も思いましたが、それ以外は基本的な派生利用に関して手堅く守られていると思うので、とりあえず僕的にはCCの模範的な活用例としていいなと思っています。画像の許諾がネックなのが多い中、そこはうまく回避してるし。

2016-04-06 18:14:02
tricken @tricken

昼にながれてきたこの判断も参考になりました。>「インセインSCPのライセンスについて整理する 」『妄想科學倶楽部』(2016.04.06)docseri.hatenablog.jp/entry/2016/04/…

2016-04-06 18:18:03
tricken @tricken

追記:互換ライセンスについて自分でも混乱していたのですが、CC 2.0 (by-sa) 以降であれば、2.0ないしそれ以降のby-saライセンスと compatibleみたいです(自分の誤読でなければ)。creativecommons.org/compatiblelice…

2016-04-06 18:30:31
tricken @tricken

ですから、あくまで事例ですが、たとえばインセインSCP (CC 3.0 by-sa) と嵯峨崎地域新聞(CC 2.1日本 by-sa)とを、by-saルール下でクレジットさせつつ自分の派生作品自体はCC 4.0 (by-sa) で取得する、というのは、適法だ、と解釈しています。

2016-04-06 18:31:58
tricken @tricken

追記2。前半はやや語用に混乱がありましたが、「GNU」と言ってるところは「GPL」と適宜読み替えて読んでください。そのままでも意味は通じなくもないですけど。

2016-04-06 18:53:23
tricken @tricken

昨日の補足ですが、CC(Creative Commons)の実運用については、以下の三段組を考えるとわかりやすい: (a) 各ジャンルの文化慣習に応じた“フェアユース” (b) CCの中での「適法な利用」 (c) CCにおいて適法でない利用 見逃されがちなのは、a,cです。

2016-04-07 09:17:20
tricken @tricken

各文化慣行ごとの“フェアユース” というのは、明文化された法的構成とは限らず、むしろ法社会学的に「現場のコミュニティの日常的判断=実践」が遡及的にその文化慣習内での法的事実を構築する資源になっていくんですよね(社会構築主義の考え方です)。

2016-04-07 09:20:58
tricken @tricken

Creative Commons というのは、その“フェアユース” という[慣習]の柔らかな側面と、[法](この場合、伝統的著作権法)という、あまりにも堅牢で動かしがたいAll Right Reserved な発想とを、とりもつ側面がある。

2016-04-07 09:22:10
tricken @tricken

したがって、Creative Commons License を適用する際は、(細かな実務面でも、映画末尾のクレジットや、論文での引用元を漏らさず書誌データにするような、なかなか面倒な)実務を要るのとは別に、抽象的にも、各ジャンルの[慣習]と[法]の間を考えぬくことが要求される

2016-04-07 09:23:51
tricken @tricken

(もちろん「フェアユース」も、[法](法的な根拠を持つ利用)に属しますが、個々のジャンルに分け入って行くとそこには[慣習]、この場合、著作権法に関わる諸個人の sanction が常に呈示されているわけですね。

2016-04-07 09:25:35
tricken @tricken

ちなみに、インセインSCPに関連してSCP原著のAll Rights Reserved部分を確認したんですが、SCP-173の“画像”に関するものだけが扱いが難しく、文章はCC 3.0 (by-sa)であると明示されていました。つまり文章のみCC(by-sa) で商用OK。

2016-04-07 09:30:59
tricken @tricken

原著ライセンスガイド scp-wiki.net/licensing-guide の “A Word Or Two On SCP-173” が、{例外則として、画像のみ、’NC’相当}という説明で、ほかは原則CC 3.0 (BY-SA) という呈示をしている。

2016-04-07 09:33:57
tricken @tricken

もちろん、その他の記事における画像のライセンス確認不備、あるいは元ネタのパクリ具合の酷さ(日本のMMD動画の一部等とかなり近似した問題)などは、各記事の吟味が派生著作者によってなされるべきですが、SCP-173の例外条項を読み違えて「SCP全体が商用利用不可」という解釈は出せない

2016-04-07 09:36:07
tricken @tricken

先日の追伸: GPLとCC(by-sa)の“運用上の”差については、氷川さんの話が示唆的です。twitter.com/kilica/status/… 「範囲指定」の書き方次第で、GPL的にも修正BSD的にも、by-saの係る範囲を制御できると解釈できる、と読みました。

2016-04-08 09:39:21
氷川霧霞 @kilica

GPLだと一部でもGPLコードを使ってしまうと全体がGPLになるけど、CC BY-SAはどうなんだろう。以前、つぎはぎさんのイベントに招かれた詳しい人に聞いたところ全体を BY-SA にする必要はなく章単位とか、小さい単位で適用できるという回答だった

2016-04-06 21:51:07
tricken @tricken

先日の第二回の補足も: ここ twitter.com/tricken/status… に書いた通り、(a)「その文化領域の伝統著作権法的フェアユース」(b)「個別のCCを遵守した時に得られる拡張フェアユース」(c)「前二者いずれでもない違法ユース」それぞれの実体との対応を取るのが実は面倒

2016-04-08 09:42:25
tricken @tricken

特に、「各ジャンルの文化慣習」には、各国のグレイゾーン、例えば日本語圏の同人活動があります。この辺の伝統的著作権感覚により各国の創造性の立ち上がり方が異なるという話は小田切博『キャラクターとは何か』という新書などが参考になり、その点では著作権法も文化創造と無縁な話ではありません。

2016-04-08 09:45:11
tricken @tricken

あと、「CCは法的にハッキリしてない」と誤解されている方もいらっしゃるようですが、そこは法学者の関わっている以上仕組みがあります。CreativeCommonsは{コモンズ証,許諾文,メタデータ}の三重構造を取っており、第二の許諾文は国際著作権法に対してほぼ整合的です。

2016-04-08 09:59:52
tricken @tricken

この三重構造を取るに至った理由は、それぞれ[慣習][法][アーキテクチャ]に対応する法的声明を書こうぜ(そうしないと今後のインターネット社会では意味ないぜ)とCC団体が考えたからです。見逃されやすいですがこれも公式サイトに説明があります。理屈はレッシグの『CODE2.0』おすすめ

2016-04-08 10:02:05
tricken @tricken

もちろんCC3.0非移植やCC4.0国際(ともに日本国著作権法にportedされていない国際的標準化を目指された法文)の解釈はやや面倒ですが、そういう国際法から各国法への解釈は(税理が税理士の仕事であり丸投げしていいのと同様)裁判所の仕事ですので、裁判所の方に丸投げするつもりで。

2016-04-08 10:08:39