【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第10部
すっごく危なっかしいトリックが用いられている第一の殺人は、先行作「金貨の首飾りをした女」の趣向を加えることでそのザルッぷりが緩和させ、また第二の殺人で犯人が犯すイージーなミステイクに「コイツだったらしゃあなしだな」という説得力を与えている。緻密で大胆なんだけどおマヌケな犯人だぁ〜
2016-07-06 03:11:49今現在の視点で見てみると第一の殺人で用いられたアリバイトリックはあまりにわかりにくい内容なのかもしれない(なので殺人予告を絡めた第二の殺人の心理トリックが際立つ) しかしながら第一の殺人があるからこそ、技巧を駆使してるがプロットの箱書きに近い「霧の夜」が小説として膨らんでるんよね
2016-07-06 03:12:04そんなに上手く隠れられるの? えっ、言うことホイホイ聞いちゃうの? 鬼貫警部「誰の死体か」事件の内容忘れちゃってるの? 等々ツッコミ箇所は割とあるけど、謎解きにあまり思考を巡らさない読者にとっての面白要素が盛り沢山なのとエピソードでつくる起伏の巧妙さは、やはりオススメの一作だ
2016-07-06 03:12:35というわけで『鍵孔のない扉』でございました。 そして、次回も同様の短編→長編作品である『風の証言』をやってしまいましょう♫ ではでは〜〜 ( ´ ▽ ` )ノ
2016-07-06 03:12:50昨日は一日『ゴーストスナイパー』を読んでいた。 ライムシリーズ10作目にして初めてどんでん返しの大半を見切ってやったぜ ( ´ ▽ ` )ノ
2016-07-07 13:07:07さて、名探偵図鑑完読作戦スペシャル「あゆてつのあは、アリバイのあ」であります。 本日は短編その23「城と塔」と、同短編の改稿作品である長編その7『風の証言』をお送りします。 「城と塔」→1971年「小説サンデー毎日」4月号掲載 『風の証言』→1971年11月・毎日新聞社より刊行
2016-07-08 02:52:26……『風の証言』を読んだのは遥か昔。そのときの印象はあまり良くなかったということをおぼろげな記憶として残していたけど、今回の十何年かぶりの再読もあまり楽しいものではなかったというのが本音。 次の『朱の絶筆』までの5年の間、氏に長編作品を書く機会がなかった、その事実が暗示的である
2016-07-08 02:53:20⚪︎風景画のトリックがあまりにショボい (´Д` ) うっうっうっ ⚪︎鮎川哲也の名作長編の名作トリックを安易なカタチで再利用している (´Д` ) うっうっうっ ⚪︎……泣きたくなるような写真トリック (´Д` ) うっうっうっ ここらへんが『風の証言』の難点
2016-07-08 02:53:36そして困ったちゃんなのが、これまでの短編→長編を辿った改稿作品は「短編で繰り広げられた事件をブラッシュアップしつつ、気の利いたアリバイトリックを使用した別の死体をプラスミックス」することでお話を膨らませていたのだが、今作の改稿前短編「城と塔」は『風の証言』とほぼ内容が一緒なのだ
2016-07-08 02:54:22「城と塔」には『風の証言』のアリバイトリックの要となる風景画や時計の写っている写真だけではなく、この短編の段階でレコードの薀蓄や産業スパイや目ざとい女将はすでに存在し、容疑者の一人がバニラアレルギーで苦しんだかと思うと、雑誌のグラビアを見てモヤモヤしたりもするわけなんだよね
2016-07-08 02:54:49『風の証言』のバットな点も「城と塔」からすでに存在しているわけで、長編化に際してリカバリーは施されなかったりするの、、、(´Д` ) むしろ、後半の写真トリックに関しては少し手が入れられてたりするんだけど、そのプラスワンが更に救い難い事態を作り出しているのよね、、、(´Д` )
2016-07-08 02:55:54「城と塔」の写真トリックは鮎川哲也の某短編作品から衝撃度とい脂分をヘルシーに抜いたヘルシオな再利用だったのに対し、 『風の証言』はトンデモナイ小道具を利用することにより成立する写真トリックになっているのでもうトンデモナイ。こんなの、本当に、あるの???
2016-07-08 02:56:14その小道具の特性がさりげなく描写されてるので、『風の証言』の写真トリックは作中のデータから鬼貫警部より先に犯人の作為を見破ることが可能な本格ミステリにはなってるんだけど、その導き出さた特性がソンナノ有リ? ワタシ呆レマシタワ級なので、今作は意地悪な推理クイズにもなってないのよね
2016-07-08 02:56:30そんな長編化際して増えたトンデモ小道具に、これまた追加要素である双子が絡んでくるのよ。 ……。 ……あはっ (>人<;) かつて二つのトランクを変幻自在に操った本格の鬼とは思えない、理解に苦しむ双子運用だったりする。
2016-07-08 02:56:59鬼貫警部の違和感への気づきの前に、あの床屋でかつてトラブルがあったなどの些細なエピソードを伏線として配置しておけば、うーん、ナントカまとまりよくなるんじゃないのカナ? なんて考えたけど、その程度の気の利かせ方の付与だけでどうにかなる程度のシロモノじゃないわけで……。うーむ
2016-07-08 02:58:09鮎川哲也といえど人の子だった! そういうことですね、ということで、、、「城と塔」と『風の証言』はおしまいです ♫ これ以上は血が流れる。これ以上はいけない。 …… そんなこんなで鬼貫短編マラソンは残り五本! 次回は「殺意の餌」 ではでは〜( ´ ▽ ` )ノ
2016-07-08 02:59:37さて、名探偵図鑑完読作戦スペシャル「あゆてつのあは、アリバイのあ」でございます。 本日は短編その24「殺意の餌」、その25「わらべは見たり」、その26「MF計画」をお送りしますぞい ( ´ ▽ ` )ノ 顎の張った警部の登場する倒叙ミステリ三連発だぞい
2016-07-10 02:55:54「殺意の餌」 →1970年「小説宝石」3月号掲載 「わらべは見たり」 →1971年「オール讀物」2月号掲載 「MF計画」 →1974年「週刊小説」3月15日号掲載 鮎川哲也の短編の比重が三番館シリーズ(第一弾「春の驟雨」は1972年発表)にシフトし始めるそんな頃合いの作品ね
2016-07-10 02:56:13鬼貫警部短編マラソンなので三番館のマスターはスルーなわけですし、短編→長編改稿作品なのにちょっとザンネンな仕上がりだった『風の証言』、その『風の証言』の後に発表された長編作品で見られる「良い仕事」ぶりも紹介できないわけなのですよね (´Д` ) いずれ別の機会を、、、
2016-07-10 02:57:04「殺意の餌」 えーと、ぶっちゃけ言っちゃうと推理クイズです。五分間ミステリなのですよね。 作品の大半の記述が、どうしてホステスを殺さなければいけない羽目に陥ったのか? にあてられています。この主人公(=犯人)がとんだクソ野郎なのですが、あゆてつの筆致なのでどこかしらユーモラスです
2016-07-10 02:57:46