沖縄の先住性と権利をめぐる、言語学・文化学の研究者やドキュメンタリー作家の意見。まとめ。
新聞記事で読む限り、国連の人種差別撤廃委員会などが琉球住民を「先住民族」としたのか「先住民」としたのかは必ずしもはっきりしない(ぼくは原文に当たっていない)。琉球の人々が「民族」かどうかはともかく「先住民」の定義には該当すると思うが。m.huffpost.com/jp/entry/97918…
2016-05-01 01:47:37俺は英語はからっきしダメなのだが(こういったからと言ってフランス語や中国語ができるわけでもない)、peopleという言葉は「民族」という意味でも使われるのかな?…だとすれば、原文でも「先住民族」と「先住民」(民族定義を回避するための概念と理解)を明確に区別していない可能性がある。
2016-05-01 02:01:03昨夜来いろいろ考えているのだが、人権の文脈で論じるときには、indigenous peopleは「先住民族」ではなく「先住民」と訳すべきではないかと思えてきた。きっかけはハフィントンポストのこの記事である。m.huffpost.com/jp/entry/97918…
2016-05-01 08:26:50この記事を読む限り、国連が沖縄の人たちをヤマトとは異なる「民族」だと認定していることになるからだ。それには違和感が拭えなかった。ウチナンチューがナイチャー(ヤマト)と同一民族だと主張したいわけではない。国連であれ日本政府であれ、当事者の意向を無視して決めることには疑問があった。
2016-05-01 08:35:02昨夜紹介したぼくのブログにも書いたことだが「民族」の定義はなかなか厄介で、客観的な要件だけでは決められない。最後は当事者のアイデンティティの問題である。そして、言うまでもないことだが、当事者の意向も一様ではない。ヤマトと同じ日本人であるというアイデンティティを持つ人もいるはずだ。
2016-05-01 08:42:45だから、国連が沖縄の人たちを「先住民族」だというなら、それはずいぶん押しつけがましい話だと思ったのである。しかし、「先住民」である(ゆえに相応の権利を尊重せよ)と勧告したというなら話は別である。実にもっともな話で、一部の人たちが主張するような「分断工作」でも何でもない。
2016-05-01 08:47:06ぼくが理解する限り、indigenous peopleの国際的に認められた定義は、ざくっと書けば「近代国家の成立時点で、それ以前からその土地に居住し、国家内において被支配的な立場に置かれた人たち」である。琉球処分の経緯ひとつをとってみても、沖縄の人たちはこの条件に合致するはずだ。
2016-05-01 08:52:06だから、この際、indigenous peopleは「先住民」と訳した方がいいのではないか。民族か部族か、「○○系日本人」ではないか、などというおよそ不毛な議論をする必要がなくなる。民族であろうとなかろうと、彼らの先住性に基づく権利は尊重されるべきである。
2016-05-01 08:57:46日本政府が琉球を、あるいは公式に「先住民族」だと認めているアイヌを、いつまでも「被支配的な位置」に留めておくことは許されることではない。そして、ぼくたちマジョリティは、彼らがいまでも様々な局面で差別的な扱いを受けている現実に目をつむるべきではない。
2016-05-01 09:03:23もちろん、民族概念の曖昧さを回避して「先住民」として再定義することは、当事者が「民族」であると自己認識することをなんら否定するものではない。そのことは確認しておきたい。
2016-05-01 09:06:35アイヌ近現代思想史研究者。訳書シドル著『アイヌ通史』(岩波)共編著『アイヌ民族否定論に抗する』(河出)論文「いま、戸塚美波子『一九七三年ある日ある時に』を読む」「佐々木昌雄とアイヌ近現代思想史における贖いの政治」論考「アイヌ」『思想史講義 明治篇I』(ちくま新書)ほか。博士(社会学)。
正式には、自決権を持つとされている国連憲章と同じpeoples(sが大事)ですから、先住人民となります。上村英明さんはよく「先住住民」とでも訳していいのではと言っています。twitter.com/toriiyoshiki/s…
2016-05-01 09:28:20ただ、日本語では訳語として「先住民族」が定着していて、当事者団体もそれを使っていますから、誤解される以外には問題はありません。元が「peoples(国連憲章の日本語訳語では人民)」であることを留保することが求められるだけ。twitter.com/archerknewsmit…
2016-05-01 09:38:44この場合に言っている民族もこのぐらいのニュアンスで。宣言に謳われている民族的アイデンティティ。 twitter.com/archerknewsmit… twitter.com/minor_u_threat…
2016-05-01 10:18:07それに、アイヌ差別とそれに対する民族としての抵抗の歴史も先住民族運動へともつながっていますから。その辺はここて詳しく。crac.jp/post/123452292… twitter.com/archerknewsmit…
2016-05-01 10:07:13専門家からの大変有益な指摘。ぼくも北海道時代、上村先生の論考から多くを学んできたが、なにせ20年近く前の話なので知識が一寸錆びついているところがある。indigenous peopleをindigenous peoplesに訂正。 twitter.com/archerknewsmit…
2016-05-01 09:39:005/6追加
民族の一体性を否定するレトリックへの反論
これとも関連する話で、小林よしのりによるのや、その他のアイヌ民族否定論が同時に先住民族否定論であるということにも関わる話で、これまであまりはっきりして言って来なかったことに気づいたので、少しツイートしておく。togetter.com/li/969650?page…
2016-05-06 13:02:08まとめに書いてあるように、先住民族の英語のpeoplesは国連憲章におけるのと同じく自己決定権self-determinationをもつ。先住民族の自決権を否定したければ、まずはその民族としての一体性を疑う、一体性を否定することが否定論者の第一ステップとなる。わりとどこの国にでも
2016-05-06 13:11:45nb. その一体性を奪う目的のあらゆる行為に対する防止や救済の義務が国にあることも権利宣言第8条にあるとはこれから何度も言ってきた。
2016-05-06 13:15:11その民族の一体性を疑うために特に持ち出されてきた手口の一つは用語の使用法や定義。小林の場合だと、彼はネーションを民族として国家を形成するポテンシャルを持つものとして規定する。アイヌはエスニックかもしれんが、ネーションではない、と。 pic.twitter.com/3nW3g18P7J
2016-05-06 13:28:10当然、日本語では民族もずっとエスニック/エスニシティの訳語として使われてきたし、権利宣言でもethnic identityは民族的アイデンティティになっている。香山さんも対談などでずっと言ってきた、「小林さんの理解は古い古い」と。そして俺様定義だと。
2016-05-06 13:33:00一方、アイヌはネーションではないというと、それもまた違う。そして、これも小林のネーションに関わる理解がなぜ古いのかに関わる。国家を形成しない、国家を持たない自決権を持つネーションも存在するというのがまさにここ40年ぐらいの先住民族の政治の挑戦だからだ。
2016-05-06 13:39:21自決権を持つ国際法上のpeoplesはnationsと実質的に変わらないわけで、ポイントはself-determinationで、カナダのようにファースト・ネイションズとまで言わなくても、ポイントは変わらない。別に独立国家を作りたいわけではない。
2016-05-06 13:43:52一つの国家に、自決権を持つ複数のpeoples、複数のネーションが存在しうる。小林らはここ40年もの国際了解を拒否しているから「古い」。
2016-05-06 14:00:07