沖縄の先住性と権利をめぐる、言語学・文化学の研究者やドキュメンタリー作家の意見。まとめ。
これに関して、96年に書かれたリチャード・シドルの『Race, resistance and the Ainu of Japan』のためになる一説があるので、後ほど紹介する。
2016-05-06 14:02:28Richard Siddle, 1996, “‘Race’, ethnicity and the Ainu ”, Race, Resistance and the Ainu of Japan, Routledge 訳:yoko_counter
2016-05-06 14:23:48「1980年代までに、アイヌ活動家たちは北極から南太平洋まで2億以上の人口が見積もられる先住民族を代表する先住民族組織のグローバルなネットワークの一部となった。これらのグループは固有の文化的・歴史的アイデンティティの感覚と自決の政治的アジェンダを共有している。」
2016-05-06 14:24:38「これらの先住民族の運動において、民族(ethnicity)はネーションであること(nationhood)と同等と見なされるようになってきた。」
2016-05-06 14:25:27「すなわち、市民的共同体というよりも民族的な共同体として理解されている[集団としての]「民族」(a ‘people’)は、祖先の領域内で、その自らの政治制度を決定すべきであるという考え方である。」
2016-05-06 14:26:01「先住民族の活動家のレトリックでは、侵略者たちが来る前、これらの人びとはすでに領域的に「ネーションズ」であったのだと強調されている。この「ファースト・ネーション」としての先住民族の再確認は単にノスタルジアという以上のものであり、明確な政治的なメッセージである。」
2016-05-06 14:27:09「すなわち、現在の国際法では、国際人権文書を反映して、(国連によって未定義のままの)「人民(peoples)」は自決権を持っているが、マイノリティはもっていないと。」
2016-05-06 14:27:40「国連の年次の先住民作業部会のような国際的な会合は、明確な表現のための討論の場を設けており、これらの考え方をさらに発展させ、世界中の他の先住民族に影響を拡大している。」
2016-05-06 14:29:42「条約の協定に参入する機会を決して持たなかった人びとが「ネーションであること(nationhood)のコンセプトを採用している。そのコンセプトは現在、否定され続けているが、運動が領域的土地の権利と政治的自決の問題に焦点を当てるよう導いている。」
2016-05-06 14:30:29「アイヌ活動家は1981年まで大きな国際的な先住民族の会合に参加しなかったが、その指導者たちはいまや先住民族の自決の国際的運動にはっきりと同一化している。彼らの目からみると、アイヌもまた先住民族(indigenous nation)なのである。」
2016-05-06 14:31:33あ、これがまさしくグローバルなネットワークだったことや、権利宣言が何一つ欧米を念頭においているわけではないことかな。それも宣言自体の前文に明記されている。twitter.com/archerknewsmit…
2016-05-06 18:57:31「地域ごと及び国ごとに先住民族の状況が異なること、並びに国及び地域の特殊性並びに多様な歴史的及び文化的背景の重要性が考慮されるべきであることを認識して、パートナーシップ及び相互的尊重の精神をもって達成すべき基準として、先住民族の権利に関する国際連合宣言を次のとおり厳粛に宣言する」
2016-05-06 18:58:18で、もう、これとかがデタラメだというのもわかるよね。まず、日本語喋ってないから笑 twitter.com/ainu_bot_/stat…
2016-05-06 19:04:31【peopleの訳に関するまとめ】
①勧告の「先住民族」の「民族」は、「people」の訳語
②元は国連憲章の「peoples(日本語訳は人民)」
③したがって、英語で「an indigenous people」という場合、「民族か否か」はあまり問題にならない
以上の理由から、「an indigenous people」」は「先住人民」あるいは「先住民」と訳す方が原文の意味に近い。更に、
④日本語の「民族」は、英語の区分(nation, people, ethnosなど)と一致しない
⑤日本の法ではnation以外の「民族」が規定されていない
⑥一般には①~⑤の齟齬が一般に知られていない
などのことから、国連勧告をめぐる議論は、「沖縄人は民族か否か」にスライドし、民族否定論に有利な状況が生まれる。
しかし、本来の意味に照らし合わせれば、国連勧告は「先住の人民にどんな権利があるか」だけを問題にしている。
【結論】
国連は、「先住する人民」の権利の侵害について勧告しており、「差別撤廃条約」を批准する日本は、勧告を受け入れ、権利を持つ個々人への差別を解消する責務を負う。