子育てをするカニ!? 〜植物に住み、子供を守るブロメリアガニ〜
- kinoboriyagi
- 12950
- 42
- 1
- 292
ディーゼル氏挨拶。オスカー賞をもらうみたいだ、と会場を笑わせる。科学の賞というのは少なくて受賞をするのも少ない。また、日本は甲殻類の研究についていいものが多いので、そのような国で評価されて光栄です。
2016-05-22 14:04:13講演会準備でしばらくお休み。懇親会参加しようか、どうしようかな……どんな感じになるか想像もつかないのがな……どうしようかな……来週のお弁当作りもクマヘッドなめしもあとでやるつもりで来ちゃったしな……どうしようかな…… pic.twitter.com/uNWJ5wfe3P
2016-05-22 14:06:39記念講演開始。海から発生したブロメリアガニの祖先がいかにして陸に適応したかが重要な点。カニの祖先たちがいかに上陸し、放散して適応していったか。また少なくとも二種のブロメリアガニには真社会性が認められている。ジャマイカで研究するに至った理由、
2016-05-22 14:11:19海のカニで調査のキャリアをスタートしたが、他の生き物と共生するカニだった。他にも共生するカニがいないか。ジャマイカでブロベニアとカニが一緒に写っている写真を見つけた。カニの形態について書かれている論文と、もう一つ見つけた。これらの情報をまとめると、この生き物は面白いに違いない。
2016-05-22 14:13:16これらのカニはどうやってジャマイカに来たか。カニの系統樹をみると、適応の歴史が非常に短い。来た当初は5種類のカニが知られていたが、よりたくさん発見した。カニが数種類並んだ写真。
2016-05-22 14:16:38まずどうやってカニが陸に進出するか。幼生期のカニがどうやって淡水に適応したかを知る必要がある。ジャマイカにはたくさんの淡水・陸上ガニがいる。あるカニは甲羅の左右が膨らんでおり、肺によく似た器官が入っている。非常によく陸上に適用している。
2016-05-22 14:18:41別の種類のカニ。小さなたくさんの卵をもつ。普段は陸上で生息し、産卵のために大規模な移動をする。線路に引っかかった無数のカニの写真。年間のある時期の月の満ち欠けに応じて移動する。
2016-05-22 14:19:51幼生のカニをプランクトンとして排出。小さなカニの幼生は、稚ガニになるまで非常に長い期間海で過ごさねばならない。陸上によく適応できているが、それでも出産と幼生期には海が必要。
2016-05-22 14:21:337000万年前からこういう生活をしているが、しかし未だに完全に海から離れることはできないでいる。 海カニが陸上に適応するには、マングローブの汽水域を通り抜けねばならない。海水が淡水と混じり合い、薄くなっており、かつ塩分濃度が常に変化する。
2016-05-22 14:23:23ジャマイカ固有のセサミクラブは幼生期を汽水域で過ごす。汽水に適応したカニの研究により、これらの祖先がいかに陸上生活に適応していったかを考える。あるカニは、まさに陸上生活に適応する途中に見える。
2016-05-22 14:25:26セサマクラブ
(セサミクラブ、セサミ属などは表記揺れ)
セサルマ属のカニ。
世界中に分布しており、日本にはベンケイガニ、アカテガニがいる。
今回話題のブロメリアガニもセサルマ属。
時々間違ってブロメニアガニと書いているけど
ブロメリアガニが正解。
このセサミクラブの一種は、系統的にはプロベニアガニ近縁で、海辺の岩のある環境に住んでいる。岩礁はジャマイカ北方で一般的な光景。サンゴなどの石灰質を多く含む。石灰岩にたまるのは海水と雨水が混じった水。こ
2016-05-22 14:27:34石灰岩の穴に入っているカニ幼生の写真。こんな環境に適応したカニがいるのはジャマイカのみ。進化学的にはこのような環境は珍しく、すぐに淡水に適応したカニが生まれると考えられる。
2016-05-22 14:29:02学生の研究で、3ヶ月間の塩分濃度の変動。振れ幅が大きい。降雨量によって、海水がほとんどになったり、淡水になったり、海水よりも非常に濃い濃度になったりする。幼生がこのような環境でどう適応しているかは重要な要素を含んでいる。塩分濃度が一番重要。
2016-05-22 14:31:31塩分濃度と幼生の発達の関係を示したグラフ。メガロパから稚ガニへ。海水では発育は良いが、石灰岩の不安定な塩分濃度でも生育できている。一方海で生息するカニのプランクトンは生き残れない。
2016-05-22 14:33:27カニの発生
一般的には、卵→ゾエア幼生(プランクトン)
→メガロパ幼生(プランクトン)→稚ガニ→カニ。
ゾエア幼生、メガロパ幼生は、昆虫でいうイモムシのような、大人のカニとは似ていない子供時代の姿です。
チリメンジャコに紛れ込むチリメンモンスター略してチリモンの常連でもあります。
カニの幼生はこんな感じ
また、プランクトンとは、水に流されるままにふよふよ漂う生き物のことです。
ミジンコやゾウリムシから、大きいところではクラゲもプランクトンに含まれます。
三種類のカニの幼生時代にどれだけの塩分濃度変化についていけるかのグラフ。海ガニに比べて、石灰岩に住めるカニは明らかに許容範囲が広い。これらアマルサス属のカニは幼生の時期が非常に短い。不安定な関係をで過ごすのは幼生にとって好ましくない。
2016-05-22 14:35:26卵の数と幼生の発生に海がどれだけ関わっているかの表。世界で知られている、汽水域で幼生を過ごす三種類のカニ。海水で幼生期を過ごすカニと非常に近縁。卵の体積をみると、汽水に適応したカニは海ガニに比べて非常に容積が大きい。
2016-05-22 14:37:37卵にどのように資源を割くか。小さい卵をたくさんか、大きい卵を少数か。後者では幼生で過ごす時期を短くできる。汽水域・石灰岩プールはカニにとって好ましいかんきょうではない。一般的には大きい卵を少量うみ、幼生の時期を短くすることで適応したといえる。
2016-05-22 14:39:42母ガニとそれぞれサイズが違う卵のサイクルの図。たくさんの小さい卵と長い幼生期、淡水に適応するうちに卵の数は減り、幼生期も短くなる。淡水に完全に適応した種ではとても大きいわずかな卵からいきなり稚ガニ。
2016-05-22 14:41:28淡水に適応したカニは世界にたくさんいる。7千万年という長い歴史をもち、稚ガニがいきなり発生する。一方セサミクラブは適応の途上にあり、短い幼生期を経て稚ガニになる。
2016-05-22 14:43:05ブロメリアガニは卵黄を大きくして子供を育てるのみならず、世話をすることで子供の生存率をあげている。*ここあやしい
2016-05-22 14:43:50カニが並んだ写真。来た時点でジャマイカ固有種としてしられていたのはブロベニアガニを含んだ5種類。研究を進めるにつれてさらに6種類棲息していることがわかった。ジャマイカは岐阜県と同程度の面積だが、世界で最もカニの固有種の密度が高いとわかった。
2016-05-22 14:45:29ジャマイカ固有のカニ(画像リンク)
洞窟ガニ: Sesarma verleyi
ブロメリアガニ: Metopaulias depressus
カタツムリの殻で子育てをするカニ: Sesarma jarvisi