で、「一度だけの恋なら」に話を戻す。もし本気でボーカルを聴かせようという曲なんだとしたら、ちと2)をやりすぎた感じなのではないかと思っている。サビに入るとストリングスと派手なシンセ音に場を譲るべく、ボーカルが下の方からガッツリ切られている印象を受ける。
2016-05-23 06:02:11結果どうなるかというと、一昨日トラック全体のレベル変化で見た数値以上に、ここぞという場面ほどボーカルが萎縮して聴こえるように思うのです。これはどちらかというとミキシング時に生じた判断で、マスタリング前からそうだったんじゃないかなぁ、とも。
2016-05-23 06:02:53曲中における周波数帯の空白部分について、音楽業界は年々不寛容になっている気がする。常にすべてが埋まっていないといけないとの思い込みが、主役であるべきパートを不自然に大小させていないか? 引き続き、同曲の1コーラス目を例に考察する
2016-05-23 06:09:15イントロ 1-1)ソロ+オケ薄 1-2)ステレオでコーラスパート入る(ラスト2小節 Aメロ 2-1)ソロ+オケ薄 Bメロ 3-1)ソロ+コーラスの掛け合い 3-2)ユニゾン(モノ) サビ 4-1)Vo+オケ落ち(アウフタクト部) 4-2)Vo+下部ハモリ2声部左右PAN
2016-05-23 06:20:37で、順当に構成すれば4-2の頭がクライマックスとしてカタルシスを提供するのが妥当に思われるが、聴感上ボーカルはここが最も小さい。では他のセクション差はどうか?なぜここばかりが目立つのか?
2016-05-23 06:27:01以降、「小さくなる=下の周波数からがっつりカットされて占有帯域が減る」
ただし1-1 → 1-2の移行では、それまでいなかったハモリがステレオで飛び込んでくる上、メイン+ハモリの総和はオケに対してそんなに負けておらず、ボーカルに注目する限り「ドカっと盛り上がってきましたぁ」感はそこそこあるようにみえる。
2016-05-23 06:30:09Aメロは変化がないので特筆することなし。 Bメロも実は少しメインが下がっているのだが「ステレオコーラス→メイン」の順に掛け合いが生じるので、そこまで気にならない。むしろアンセム感の演出としては効果的でさえある。
2016-05-23 06:30:463-2は歌詞でいうと「感じるまま~」「ぎゅーんx3」まで。オケはドラムが中心になり、モノラル感の強い、全員のユニゾンになる。音像のセンターに位置するボーカルは3-1よりも大きくなり、サビにつなぐ。 さて問題はこのあたりから
2016-05-23 06:33:224-1は歌詞でいうと「いちど」の部分。オケが抜けて、コーラス感の強いボーカルがこの単語を強調する。そしてあっという間に、センターのボーカルが一段小さい4-2につながる。PANで左右に振られた2声の下部ハモリはあるが、声の総和は4-1よりも小さい。その結果どうなるかというと、
2016-05-23 06:38:22おそらく、これも順当に行けば、レベル差は本来以下が自然に感じる展開になるだろう -- ぎゅーんx3: 中or大 いちど:小or中 だーけのー:大 -- が、実際は -- ぎゅーんx3: 中 いちど:大 だーけのー:小
2016-05-23 06:41:05になってしまっている。最もカタルシスを感じさせるべき場面で、最もボーカルが小さくなる方に推移している。繰り返すが、これは「レベル」ではなく各パートが占める帯域をいかに表現に使うかという話。
2016-05-23 06:43:50音圧競争の副産物には違いないけど、マキシマイザがどう、ラウドネス/DRの数値がどうという問題ではなく、どちらかという曲中たえず上から下まで全帯域が埋まっていないとダメという脅迫観念によるところが大きいのではないかと思う
2016-05-23 06:45:59締めに入る。 しばらく前に誰が言ったか「DR狭い音楽はそれ自体が問題ではないが、どこで盛り上がればいいのかわからない」 なんだかんだで昔のタイトルは、リスナーの感情を巧みに誘導するようにレベル操作していたのは、一昨日LUFSメータの短期変化をグラフで見て確認したとおり。
2016-05-23 06:50:51今後マキシマイザ/トータルリミッタの過度な使われ方が下火になっても、今回「盛り上がらない理由」として指摘させていただいた(昔は当然のようになされていた)ような細々とした配慮をなおざりにすると、音楽離れを加速させるのではと懸念します
2016-05-23 06:52:49