艦乗りのプライド

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次です! 今回は香港近辺にいる金剛型&あたご型、あきづき型護衛艦と深海棲艦の抗戦のお話。ぜひおたのしみください! ご感想などは、竹村京さんor#落ちぬいタグへ。 続きを読む
7
前へ 1 2 ・・ 8 次へ
竹村京 @kyou_takemura

あたごとてるづきが選ばれたのは、あたごの備砲が対地攻撃を主眼に置いたものであること、高い対潜能力、そして攻撃目標が飛行場であることから二隻共に防空艦であるためだ。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:24:30
竹村京 @kyou_takemura

金剛型の艦娘は全4名を動員したいところだが、金剛型は香港の守りである。その全員を留守にすることは中国共産党も香港政府も同意しなかった。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:25:55
竹村京 @kyou_takemura

原理原則で言えば金剛型は日本海軍の所属なのだから運用についてどうこう言われる筋合いはない。だが、重要な金融の中枢である香港の守りを捨てるのかと国際社会で言いふらされては日本政府も困る。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:26:11
竹村京 @kyou_takemura

加えていわゆる思いやり予算も受け取っている手前、向こうの意見を無視する事はできない。要するに政治的に動かせる最大が2名だったのだ。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:28:00
竹村京 @kyou_takemura

あたご艦橋にて。艦長と副長が同行する艦娘について話し合っていた。 「随行する艦娘は金剛型の二名、ですか」 「ああ。金剛と霧島だ」 「霧島は少し前に退役したと聞きましたが」 「いや、その霧島ではない。別人だ」#落ちぬい二次

2016-07-06 23:29:45
竹村京 @kyou_takemura

同じ艦をベースにした艦娘が複数いることは、特に有力な戦艦では少ない事ではない。だが、その全員が同じ艦の名前で呼ばれるため混同されやすい。加えて霧島は、所属していた鎮守府が抹消されるのと同時に退役したという不可解な経歴が様々な噂を呼んでいた。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:31:02
竹村京 @kyou_takemura

「あ、霧島デカかったっすね。背も乳も」 艦橋に入ってきた先任伍長がいらぬ口をはさむ。艦の長は艦長だが、艦のヌシは先任伍長だ。ある程度フランクに幹部に意見するのが役目である。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:31:19
竹村京 @kyou_takemura

「それは楽しみだが、霧島はなかなかの武闘派と聞く。それは鉄拳制裁も覚悟の上の発言か?」 「おっかねえ!っと、艦娘両名とのブリーフィングの準備が出来ましたんで、公室までお越し願います」 「わかった。副長、後は任せる」 艦の指揮を副長に委任し、艦長は士官公室に向かった。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:31:41
竹村京 @kyou_takemura

士官公室には二人の艦娘と、てるづき艦長が揃っていた。三人はあたご艦長が入室すると、椅子から立ち直立不動の姿勢を取った。真ん中に立つ長い栗毛の艦娘が口を開く。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:33:40
竹村京 @kyou_takemura

「英国で生まれた帰国子女の金剛デース!」 「生まれも育ちも日本の、生粋の日本人ですので真に受けないようお願いします。私は霧島です」#落ちぬい二次

2016-07-06 23:35:12
竹村京 @kyou_takemura

元の性格がそうなのか、艤装記憶の影響なのか、金剛はだいぶエキセントリックな性格のようだった。しかし香港を守る金剛型のネームシップとして相応の武勲も上げている。容姿や性格だけで判断は出来ない。対して霧島は落ち着いた性格らしい。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:36:38
竹村京 @kyou_takemura

「よろしく。私はあたご艦長、倉橋です。飯島中佐とはもう挨拶を済まされましたか?」 倉橋が目配せすると、てるづき艦長である飯島が頷いた。 「はい。お二人の武功話を伺っておりました」#落ちぬい二次

2016-07-06 23:37:08
竹村京 @kyou_takemura

「いえ、そんな、武功なんて……こほん。この度は護衛艦と艦娘の協同作戦に加えていただき、光栄です。よろしくお願いします」 倉橋は三人に着席を勧め、本作戦の全体的な打ち合わせを始めた。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:38:45
竹村京 @kyou_takemura

出席するのはわずか4名である。通常、複数の護衛艦が艦隊を組んで作戦を行う場合は群司令レベルの海将補が艦隊司令として幕僚を引き連れて乗艦するのが常識だ。しかし本作戦では艦隊司令の任をあたご艦長倉橋大佐が兼任し、幕僚はいない。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:39:15
竹村京 @kyou_takemura

なにも作戦を軽視しているとか将軍レベルが怖気づいたというわけではない。それだけの人員を割けるほどの余裕が、今の艦艇部隊にはないのだ。それだけに、あたごと艦隊の指揮の両方を執らねばならない倉橋の双肩には大きな責任がのしかかっている。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:40:54
竹村京 @kyou_takemura

倉橋は大きな重圧に押しつぶされそうなどと弱音を吐くつもりはない。この一戦で海軍艦艇部隊の行く末が決まるかもしれない。むしろ『俺がやらねば誰がやる』と、大きな責任に使命感を燃やしているのだった。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:42:57
竹村京 @kyou_takemura

本作戦の主目的は敵航空基地の撃滅。その手段としては護衛艦を主とし、艦娘を従とする。主従の分担については単純に射程の違いもあるが、それ以上に政治的な意図が絡んでいる。要するに護衛艦が戦果を挙げるためだ。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:43:14
竹村京 @kyou_takemura

相手が深海棲艦ならば通常の兵器では効果が薄い。大戦期の艦艇と同程度の防御力をフィールドと呼ばれる力場で実現している深海棲艦に対抗するには、彼我ともに軽装甲を前提とした現代の対艦兵器は単純に威力が足りないのだ。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:45:36
竹村京 @kyou_takemura

だが、相手が地上施設ならば話は違う。 例え地上施設にフィールドがあったとしても、対地攻撃の威力については大戦期と現代で差があるわけではない。深海棲艦の地上施設に対してなら現代の兵器が通じるのだ。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:45:49
竹村京 @kyou_takemura

あたご型およびあきづき型の主砲はBAEシステムズのMk.45 mod4 62インチ単装砲。37kmという往時の戦艦なみの最大射程と最大毎分20発という発射速度を備える、対地攻撃に威力を発揮する砲だ。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:46:06
竹村京 @kyou_takemura

おそらくは三式弾を装備した戦艦や重巡の艦娘を用いればより簡単に攻略できるのかもしれない。しかし、敢えて艦娘を二名に留めて艦艇を使う事にも意味がある。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:49:14
竹村京 @kyou_takemura

現在、海軍はその軸足を艦娘戦力に置いている。しかし艦娘戦力を過度に重視するあまり艦艇を疎かにしては旧来の任務に支障が出る。深海棲艦があまり出ない海域では海賊が暴れているし、国と国の戦力バランスを保つことは艦娘ではできない。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:49:31
竹村京 @kyou_takemura

軍艦は政治的に対立している国の港にも平然と入り、相手国海軍と交流を持つのが当たり前だ。結局は一人の人間でしかない艦娘はいくら戦力に数えられようと、海軍外交には使えない。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:50:40
竹村京 @kyou_takemura

つまり、軽視される風潮にある戦闘艦でも使い方と相手次第では深海棲艦に対する有効な手段となり得る事を政治家や国民に再認識させる。卑俗な言い方をすれば予算を勝ち取る。それが今回の作戦の意図である。 「うー、私ももっと活躍したいデース」#落ちぬい二次

2016-07-06 23:52:49
竹村京 @kyou_takemura

不満げな金剛の言葉に、倉橋はうそ寒いものを感じる。護衛艦の防空体制は万全であると自負している自分でも敵航空優勢下に入るのは、はっきり言って怖い。それなのに艤装を着けるとはいえほぼ生身で敵勢力下に突撃するだけでは飽き足らず、もっと戦果を挙げさせろとは。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:54:48
前へ 1 2 ・・ 8 次へ