当たる金額をスマホで操作できる!?「お年玉ルーレット」高額お年玉回避を目指した製作者に聞いた

キッズたちよ、だまされてくれ!!
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プログラミング技術を駆使して製作された、当たる金額をスマートフォンで決められる「お年玉ルーレット」がX(Twitter)で話題だ。

おしい!隣のマスは十万円なのに!!(したり顔)

このルーレットを自作して動画を投稿したのは、ソフトウェアエンジニアのKazumasa Kusaba(@KazumasaKusaba)さん。

来たる新年に向け、親戚の子どもたちに高額のお年玉を渡さずに済むよう作られた「お年玉ルーレット」は、ルーレットの針の目をスマホ側で任意で設定できるというもの。

ルーレットには「五百円」から「十万円」まで5段階の金額が書かれているが、スマホ側を「五百円」に設定しておくことで、何度ルーレットを回しても「五百円」のところで針が止まる様子が動画で映し出されていた。

大人の英知をもって作られたルーレットに対し、Xユーザーからは「画期的な発明だ!」「ワクワク感のあるものすごい発明ですね」との称賛の声や、「キッズたちよ、先に気付いてスマホを取り上げるのだ!」と子どもサイド(?)を応援する声も集まっている。

「お年玉ルーレット」を制作したKazumasa Kusabaさんに、制作の裏側を聞いた。

「仕組みを見破られない絶対の自信があります」

出目を操作できる「お年玉ルーレット」を思いついたきっかけを教えてください。

もともとお年玉の金額を決めるつもりはなく、必ず指定した位置で針の止まるルーレットとして、子どもから大人まで親戚の皆さまに遊んでもらおうと思っていました。

しかし検討の過程で、「もしかして、お年玉の金額をこれで決めたら盛り上がるんじゃないの?」とひらめきました。

実際、今年(2023年)初めの新年会では、1作目のルーレットで大人たちを巻き込み大変盛り上がりました。

実は「お年玉ルーレット」の1作目は2023年2月に作られ、子どもたちだけでなく親族の間で注目を集めたそう。その後3カ月の期間をかけ、改良されたのが動画で紹介している2作目だ。

遠隔操作を実現すべく、メカもソフトも一から作り直した

前作からの改良点は?苦労したことがあれば教えてください。

改良した点は、以下です。

① スマートフォンを使って遠隔で針が停止するマスを操作できるようにしたこと 

…これは今作の肝となる機能です。

② リアルタイムで遠隔操作できるようにしたこと

…針が回転している途中でもスマートフォンから操作できるようになっています。「簡単じゃないの?」と思われるかもしれませんが、スマートフォンから動きを指示しつつ、位置を制御するセンサーとボタンの状態を確認しながらモーターを回転させる必要があったため、制御(プログラミング)の難易度は高かったです。

幸いにも今回使ったマイコンはCore(命令を処理する装置)を2つ持っているタイプだったので、片方にネットワーク系の制御、もう片方にルーレットそのものの制御と役割分担することでなんとか解決できましたが、最後まで頭を悩ませた部分です。

③ スマートフォンから設定変更をできるようにしたこと

…2作目の仕様変更では、スマートフォンからルーレットのマスの設定を行えるようになりました。

今はマスの配置がお年玉専用になっていますが、別の用途で使う場合でも、ルーレット本体のファームウェア(ハード面を制御するためのソフトウェア)を書き換えずにスマートフォンから設定できます。

④メカの堅牢性・メンテナンス性の向上

…前作はプロトタイプだったので、部品同士を固定するのにマスキングテープを使っており、メンテナンス性も悪く脆弱なメカ設計となっておりました。

しかし、今回のルーレットは部品同士を固定するのにネジを使っているので、メンテナンス性と堅牢性が飛躍的に向上しました。 また、バッテリーの取り外しがしやすい構造になっています。

前回1作目を体験した親族の反応はいかがでしたか?

前回は、小学生から高校生までの4人の子どもにプレイしてもらいましたが、小学生は針が「五百円」で止まっても、まったく疑う素振りはありませんでした。

しかし、中学生と高校生は4連続で針が「五百円」で止まったのを見て「あれ、なんかおかしくない...?」という素振りを見せたので、「はい、これで終わり終わり!!」という感じで、ルーレットを取り上げて終了としました(笑)。少し怪しいと思ったかもしれませんが、「インチキだ」とは確信できていないはずです。

ルーレットで額が確定した後、さすがに可哀想なので一人ずつ事前に用意していたお年玉5000円を渡しました。もちろん子どもたちは喜んでいましたよ。

新作ルーレットの仕組みを見破られない自信はありますか?

見破られない絶対の自信があります。

前回のルーレットは、一度設定してしまうと針が「五百円」のマスにしか止まらない仕様でした。しかし、今回のルーレットはスマートフォンから遠隔で針が止まる位置を(リアルタイムで)指定できるようになっています。 なので、怪しまれてもその場で設定を変え、「五百円」以外のマスにも止めて見せることができます。

怪しまれたら設定を変えて周りの大人たちに試してもらうか、あるいは子どもたちに「練習」といって試してもらっても良いかもしれません。

ただ、ここに来て予想外だったのは、 投稿に思った以上の反響があったことです。もしかしたらこの投稿を親戚の子どもたちが見ているかもしれませんね…。 この記事も、親戚の子どもたちが読まないことを祈るばかりです(笑)。

万全の改良を施し帰ってきた新「お年玉ルーレット」。「販売して欲しい!」との声も多くコメントが寄せられていたが、広く流通してしまうと仕組みがバレてしまうという、悩ましい発明品のようだ。

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