Xで賛否両論の「ひき肉そのままステーキ」実際に作って食べてみた

「食の何に重きを置くか」で評価が分かれそう
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Togetterオリジナル編集部のふ凡社です。

ひき肉をそのまま焼く「ひき肉そのままステーキ(以下、ひき肉ステーキ)」なる料理について、X(Twitter)で賛否両論の議論が巻き起っているらしい。

レシピに対する主な反応を見ると「ひき肉をそのまま焼くだけでは、肉汁や旨味が出てしまってあまり美味しくはないのでは」という疑問・懸念、「いや、ひき肉をそのまま焼くだけのメニューは元々存在するれっきとした調理法である」という指摘、「美味しくなるかならないかの差は食材や調理技術によるところが大きいのではないか」という考察、といった具合に分かれているようだ。

筆者は日常的に自炊をし、ハンバーグなんかもよく作る。そんな人間の個人的な予想としては「でもやっぱ、ひき肉ステーキはあんま美味しくないんじゃないかな」と思ってしまう。実際どうなんだろう。

百聞は一見に如かず、ということで、実際に作って食べてみた。

塩コショウをして焼くだけ

レシピは、料理雑誌『レタスクラブ』のHPで公開されているパッカンステーキの作り方を参考にする。

いつもお世話になっているひき肉

1食分180gの牛豚ひき肉を用意。こちらは解凍ひき肉で、行きつけのスーパーで売ってるオーソドックスなひき肉である。

パックのまま全体に塩コショウを振り、ラップを被せて、中の空気を抜くようにして手で軽く押し固める。下準備はこれだけ。

塩コショウはお好みで

フライパンにサラダ油を敷き、中火にかける。フライパンが温まったところで、ひき肉をパックごと「パッカーン」と投入すればいい…はずだった。

できなかった

あっ…。

ひき肉の一部が決壊した。ひき肉を押し固める出力が足りなかったのだろうか。いやでも、割としっかり抑えたつもりだったのに。お前はいつもそうだ。誰もお前を愛さない。

初手でテンションが地に落ちてしまったが、ここで諦めてはいけない。フライ返しで形を整え、調理を続行する。

とはいっても、ここから先の工程は至ってシンプル。片面を中火で2分焼いたら、裏返して蓋をして6分蒸し焼きにするだけで完成だ!

つけ合わせは玉ねぎとマイタケのバター醤油炒め

見た目は表面がカリッと焼けていて、確かに「ステーキ」っぽい見た目である。果たして、お味はいかがか。

まずは、何もつけずに素のまま一口。

フォークだと崩れやすいので注意

「…う~ん……う~ん。

懸念点として出ていた「肉の臭み」は思ったよりも強くない。しかし、やはり味付けが塩コショウだけなので、加工された肉ならではの独特の雑味のようなものはどうしても感じてしまう。

味よりも、注目すべきはその食感だ。火加減、調理時間もきっちり測ってレシピ通りに作ったが、フライパンに残った油の量を見ると、肉汁や脂がかなり抜けてしまっている気はしていた。いざ食べてみると、ハンバーグに比べるとしっかり歯ごたえが残っていて「肉感」はあるが、噛むごとに歯が「ニギニギ」ときしむような心地がする。

抑えきれない肉汁の損失

ここにソースが加わるとどうだろうか。市販のステーキソースをかけてみたところ、ソースの水分によってシズル感がやや復活し、味も数段アップした。しかし…

ステーキソースをがっつりかけると美味しい

これではもう、ソースによる味がほとんどではないか?

という気は、ど~してもしてしまうのだ。

ひき肉のランクを上げたらどうなるか

全体的に「う~ん」という所感だが、Xで寄せられた反応の中で気になるポイントがあった。

「肉の味がダイレクトに出るタイプの料理だから、シンプルに肉の質に左右されるのでは」

という声だ。確かにそれはあるかもしれない。

ということで、「和牛一頭買い」をウリにするお肉屋さんに行って買ってきました。

「国産黒毛和牛ひき肉」。

量り売りのいいひき肉

今度はこちらを使い、同じ条件で焼いてみる。できあがったものがこちら。

これが国産牛100%ひき肉ステーキだ

見た目に大きな差はない。味は果たして…。

「あ~なるほど、しっかり肉の味だ」

当たり前体操という感じではあるのだが、シンプルに牛100%の新鮮なひき肉を使ったことで、初回に感じたひき肉独特の雑味のようなものはほぼなくなっている。純粋に牛肉の味わいを感じられる。

しかし、やはり肉汁や脂は焼いている間にかなり抜けてしまっていて、食感はパサパサになってしまった。

お肉の味が全面に出るメニューということで、より良い食材を使うことで味わいに明確な変化が生まれることは分かった。しかし、やはり「ただ焼く」だけではどうしても「メチャクチャ美味い!!!!」という感じにはならない。

「食の探求」に新たな1ページを刻んだ

2種類のひき肉で試してみた個人的な感想としては

「ひき肉ステーキは不味くはないが、決して心が豊かになるタイプのメニューではない」

という結論に至った。決して料理として破綻しているというわけではないが、やはり気になるポイントのほうが多い。

明確なメリットを挙げるとすれば「自炊の工程としては圧倒的に楽で、コスパも良い」という点だろうか。なんせこのメニュー、ひき肉に塩コショウを振ってフライパンで焼くだけである。ひき肉の質を考えなければ安価に作れるし、忙しい毎日の中でほぼ焼きの工程だけで調理が済むと考えると、トータルのコスパは決して悪くないだろう。

一方で「ひき肉ステーキだけじゃ物足りないから、つけあわせも用意しよう」とか「もっと美味しく仕上がるように焼き加減を追求しよう」とか、「ソースの可能性をいろいろ試してみよう」といった+αのこだわり要素を少しでも入れようと考えると、あっという間に「通常の自炊コスト」に近づく。となると

「そこまでやるなら、もう普通にハンバーグ作ったほうがいいのでは?」

「普通に出来合いのハンバーグ弁当とか買ったほうがいいのでは?」

となっちゃう気もする。

やっぱハンバーグって偉大だな、って思う

また、Xでは「ひき肉ステーキ自体はハンバーグとは全然別のメニューだから、比較するほうがおかしい」という声も出ていた。それもそうだ。

しかし、ハンバーグを筆頭に、ひき肉を美味しく食べる方法は他にもたっっっくさんある。個人的には「数多の選択肢の中から、あえてこの食べ方は選ばなくていいかな」というのが正直な気持ちだ。

もちろん、今回の食レポはあくまで私個人の感想であり、「ひき肉ステーキ」というメニューそのものや、それを愛する人たちを否定するつもりは決してない。

人生における食の探求とは「自分の中で、食のどこに重きを置くか」「自分はどんな食を通じて幸せを感じられるのか」をトライアンドエラーで確かめていく営みだと思っている。今回、ひき肉ステーキに関しても一つ大きな指標を得ることができて良かった。

この記事を読んで「ひき肉ステーキ」が気になった人は、私の書いたことはいったん置いておいて、ぜひご自身で試してその味を確かめてみてほしい。

ー追記ー

本記事の執筆と時を同じくして、ちょうどTogetterのほうでも料理研究家のリュウジさんはじめ、いろんな人がひき肉ステーキを作ってみた感想を集めたまとめもできていた。改めて「ひき肉そのままステーキ」は人の数だけ評価・向き合い方があるんだなぁと思った。こちらも参考にされたし。

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ふ凡社

Togetterオリジナル記事編集部員。平凡から非凡へ向かう道を探す男。

Twitter:@Hubonsya