テレビを観ながら過ごせる? 歴史大好きな人が自宅に設けた「平安時代撮影セット」が大河ドラマそのもの

自宅に平安時代を再現!
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1月に放送開始したばかりのNHK大河ドラマ『光る君へ』がトレンドになっている最中、自宅に「平安時代撮影セット」を丸ごと再現した人がX(Twitter)で注目を集めている。

組み上げた「平安時代撮影セット」。中央におわすは左近太夫さん

「平安時代撮影セット」を自作したのは、刀や甲冑装束などの収集を趣味にしている左近大夫☆浜次郎(@sakone_shogen)さん。装束甲冑(かっちゅう)系VTuber「左近少将★今若」としても活動するほど大の歴史好きだ。

左近大夫さんが投稿した画像に写っているのは、平安時代の貴族たちの寝所などで知られる「帳台(ちょうだい)」を再現したような一室。周囲に並べられた装飾品が当時を思わせる雰囲気を醸しだしており、中央には装束をまとい能面をつけた左近太夫さんが鎮座している。

まるで博物館の展示か大河ドラマのワンシーンを思わせる1枚だが、この光景をたった1人の歴史好きが作ったというのだから驚きだ。

普段、「平安時代撮影セット」は片付けており、撮影のたびにセッティングする作業は「めっちゃ大変」なんだとか。たしかに、細かな装飾品の数々を定位置に配置するのは、想像するだけで手間がかかりそうだ。

御簾を下ろすとやんごとなき感も高まる

左近大夫さんによると、「平安時代撮影セット」の原点は大河ドラマだという。特に『太平記(※)』が大好きで、のめり込むうちに公家の文化や装束に興味を持つようになり、狩衣(かりぎぬ)という装束を購入したのが始まりだったそうだ。

X(Twitter)ユーザーからは「自宅でこれができるのがすごい」「羨ましい限り」といったコメントが寄せられている。やはり自宅に平安時代を再現した左近大夫さんの情熱に圧倒された人が多いようだ。

今回は左近大夫さんからお話を伺い、「平安時代撮影セット」についてさらに掘り下げてみた。

(※)1991年放送のNHK大河ドラマ。足利尊氏の生涯を中心に描いた。

通過儀礼や絵巻を再現してみたいです

自宅に「平安時代撮影セット」を作ろうと思った経緯を教えてください。

大河ドラマをきっかけに狩衣を買ったは良いものの、活用できる機会がほぼなく、当時はオフ会をする同好の士もいませんでした。そこで考えたのが、憧れの大河ドラマのようなセットを自宅に揃えて撮影するというものでした。

最初は「壁代(かべしろ)」という現代で言うカーテンのような物から手に入れました。それからオークションサイトを覗いたり自作したりして、少しずつ平安調度品を揃えていきました。

「平安時代撮影セット」でこだわったポイントをお聞かせください。

こだわったポイントはいくつもありますが、畳には特にこだわりました。あの畳は本式の「有職畳」と呼ばれるもので「有職故実(※)」に従った作りになっています。

装束や小物にも当然こだわっています。私が装束を着て撮影する際は必ず能面を被るのですが「若い公家が着る装束には今若(いまわか)の面」あるいは「身分の高い公家の場合は中将(ちゅうじょう)の面」といった具合に、着る装束によって能面の種類を変えています。

(※)朝廷や公家などが行う昔からの行事や慣例、またはそれらを研究する学門。

能面や装束を着けて公家になりきる投稿主

今後「平安時代セットでこれがやりたい!」という構想があれば教えてください。

これからの構想としては、装束仲間と協力して公家の通過儀礼や歴史的な出来事、絵巻物などを再現した動画を撮影したいです。ゆくゆくは「平安貴族系VTuber」として活動している私のYouTubeチャンネルにアップしたいと考えています。

また、いずれは平安装束と甲冑の写真集やポーズ集も出したいと考えています。それによって少しでも古典や歴史への理解を深め、興味を持ってくれる人が増えれば良いなと思っております。

「平安時代撮影セット」の中で大河ドラマを観る左近大夫さん。究極の贅沢

歴史を題材とする大河ドラマをきっかけに、精巧な「平安時代撮影セット」を作り上げた左近大夫さん。

作品から受け取った情熱を30年以上絶やすことなく燃やし続け、ひとつの作品に昇華させる…これもまた、昔と今を繋げる歴史のパワーかもしれない。

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ハチミツ

副業WEBライター。Twitterで初見実況ばかりやってます。