「完全に人生狂わされてます」伝説の魚「タキタロウ」の正体を追う人の投稿に反響 

正体不明の巨大生物ってロマンがある
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「タキタロウ」をご存じだろうか。山形県鶴岡市の山奥にある「大鳥池」という池に生息していると言われているイワナに似た「幻の魚」の名前で、UMA(未確認生物)として知られている。

タキタロウについては伝承や目撃情報などが数多く伝わっているが、その正体は現代も謎に包まれている。そんなタキタロウに人生を狂わされた、というXユーザーの投稿が話題だ。

1985年個体のはく製

投稿者の「にの(@2NoThree8)」さんは、大学で魚やプランクトンの研究室に所属。あるきっかけからタキタロウに関する卒論を書くことになり、現在もイワナ養殖場で勤務しながら、イベントでタキタロウについての研究成果を発表するなどライフワークとしてタキタロウ研究を続けている。

投稿された写真に写るのは、鶴岡市の施設「タキタロウ館」に展示されている、タキタロウ(とされている魚)のはく製だ。

にのさんは「(タキタロウに)完全に人生狂わされてます」と書きつつも、「生きてる内にコイツの正体はどうにか暴きたいと思います」と決意をにじませる。

タキタロウの正体を追うようになった経緯について、くわしく伺った。

タキタロウの研究を始めたきっかけと、ライフワークになった経緯を教えてください

他大学の幼馴染のタキタロウをテーマにした卒業研究(民俗学)の手伝いで、調査を始めたことがきっかけです。

大学では魚やプランクトンの研究室に所属していたのですが、当時は私自身がタキタロウを卒論研究のテーマにするつもりはなく、それとは別の趣味の一環でタキタロウの調査をしていました。しかし、担当教授とタキタロウについて話した際に、「卒研のテーマにしても面白そうだ」と言って頂けたので、生物学的立場からタキタロウをより本格的に調べることになりました。

卒業後はタキタロウ調査の際にできた縁から「サケ科魚類研究会」の出版する電子書籍でタキタロウについて執筆したりしています。また、現在もタキタロウに関する書籍や文献を調べてまとめることが日課になっています。

現時点での「タキタロウ」という存在の定義・学術的な位置づけは?

 2024年現在、タキタロウという生物が実在する証拠はありません。また、タキタロウは時代と共にその姿を変えて現在まで伝わってきています。(詳細は電子書籍『サケ科魚類研究ノートvol.1 活用される伝承とその背景についての研究』)

よって、現状タキタロウの定義や学術的立ち位置というものは存在しません。 一般的には「未確認生物(UMA)」と呼ばれるものに該当するのではないでしょうか。

タキタロウの正体を突き止めるためには、今後どのような情報が必要なのでしょうか

先に述べた通り、タキタロウの定義が存在しないため「タキタロウの正体を突き止める」のは非常に困難です。

一番わかりやすいのは、姿形がタキタロウと似た巨大魚を大鳥池で捕獲し、遺伝子解析などの調査を通じて既知の「イワナ」などの魚類と区別ができれば「それがタキタロウである」と言えると思います。

しかし、例えばその魚が生物分類学的には「イワナ」であった場合、「タキタロウの正体はイワナである」と言えるのか、また「あくまでタキタロウはタキタロウでありイワナとは別。よってこの魚はタキタロウではない」となるのかは、意見が割れると思います。これはタキタロウの定義・解釈が人それぞれ異なるために起こりうる問題です。

少なくとも私の考えでは「タキタロウの正体を突き止める」ということは、「タキタロウを実際に捕獲する」か「誰もが認めるタキタロウの定義付けをする」ということかと思います。

にのさんが論文を寄稿した『サケ科魚類研究ノートvol.1 活用される伝承とその背景についての研究』には、タキタロウの伝承の移り変わりや、「冒頭のはく製が本当にタキタロウのものなのか」という調査を行ったレポートなど、タキタロウの正体に迫る研究者たちの熱意が伝わってくるお話が掲載されている。電子書籍で無料公開されているので、気になった人は読んでみては。

『サケ科魚類研究ノートvol.1 活用される伝承とその背景についての研究』
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