ハコスタアイドルフェスティバル　Ep0

雑草先生 @t7s_masarugi

「！」 「テストプレイをナナスタのアイドルたちにやってもらってそれを放送すればそのゲームの知名度もナナスタの知名度もアップするんじゃないかという作戦なのだよ！」 「すごいじゃないですか！　でもテストプレイって大丈夫なんですか……？」

雑草先生 @t7s_masarugi

「ナナスタのみんながプレイする前に社員のみなさんがテストプレイしてるから安全面とかの大きな問題はないらしいず！　ナナスタのみんながするテストは『楽しいかどうか』とか、『小さな不具合がないか』だず！」 「なるほど……」 「それに支配人は忘れてるけど、ハコフェスは２回目だよ？」

雑草先生 @t7s_masarugi

「え……？」 「前回のハコフェスのゲームを改良して、さらに今回テストプレイをする。つまり今回のハコフェスは２回目なんだず！」 　……コニーさんの顔はいたって真面目で、嘘を言っている雰囲気ではない。まさか本当なのか……？

雑草先生 @t7s_masarugi

「前回のハコフェスも見てて面白かったしみんなも楽しそうだったし！　今回のハコフェスはライブとかモデルの仕事とかで来れない子が多いのが残念だず……」 「……」 　僕のいた世界でライブをしたりモデルの仕事があったり入院していたりしていた子は、こっちの世界でも仕事や怪我があるようだ。

雑草先生 @t7s_masarugi

僕が頭を打った理由も恥ずかしながらこの世界と元いた世界で違いはない。 　この世界と元の世界で違う部分は、『ハコフェス』があったかどうかだけだ。 「マツリちゃん悲しんでるだろうなー……」 「ああ……風邪引いちゃったんですよね……マツリさんはゲーム好きだし……確かに悲しみそう……」

雑草先生 @t7s_masarugi

「うん……それにマツリちゃんは前回の優勝者だしね……」 「だと思いました……」 　マツリさん……三森マツリさんはゲームを通して場を盛り上げることが大好きな人だ。それにゲームがとても上手くて、僕はゲームで彼女に勝ったことがない。 　ゲーセンでマツリ姉さんと呼ばれるほどの実力者だ。

雑草先生 @t7s_masarugi

優勝するのも当然だろう。 「コインを飛ばすだけの能力で優勝したのはスゴかったず……」 「さっきから当然のように話題に出てくる『特殊能力』ってなんですか？」 「ああー……話してなかったね……。えっとね、このゲームは頭にヘルメットみたいな装置を被ってプレイするんだけど……」

雑草先生 @t7s_masarugi

そんな感じのアニメをモモカが観ていた記憶がある。本体の身体は眠ったような感じになるのだろう。 「そのヘルメットが被った人の性格や記憶を読み取って、その人にあった特殊能力をプレゼントするんだず。氷を操るとか、持っているステッキからビーム砲を撃てる、とか」 　なるほど……。

雑草先生 @t7s_masarugi

「じゃあそんな支配人に問題！　ハルちゃんの特殊能力はなんでしょう？」 「いきなりですね……」 　ハルの方を見る。目が合う。 　彼女はニコニコという擬音が浮かぶような明るい表情をしている。 　いつもみんなを照らす太陽みたいな笑顔をしているハルの能力は……。 「炎を操る能力！」

雑草先生 @t7s_masarugi

ハルはいつも明るくて元気だし、メラメラって感じに燃えているから炎って感じだな。それ以外が浮かばない。 　それに彼女が選抜された４人組ユニット、『WHICH NUMBER ４』でも彼女は『炎の魔女、HAL』というキャラクターを演じている。 　もう炎以外の答えはないと言っていい。

雑草先生 @t7s_masarugi

「正解！」 「やりましたね支配人さん！」 　いや……これ外したら最早支配人失格と言ってもいいレベルだと思う。 「この流れで行ったら『水の魔女』のロナは水を操る能力で、『森の魔女』のモモカは木を操る能力なんでしょうけど……『月光の魔女』のヒメはどんな能力なんですか？」

雑草先生 @t7s_masarugi

「ノノヒメちゃんの能力は……秘密だず！」 「なんでですか！？」 「本人のいない所で言うのもなんだし、多分いつか分かる時がくると思うず！」 「まあ、そう言うなら……」 　彼女は元いた世界で『家族が風邪を引いてしまったからレッスンを休んで店番をやらなければならない』と言っていた。

雑草先生 @t7s_masarugi

こちらの世界でも店番でハコフェスには出られないらしい。 　マツリさんも風邪を引いてしまったし、なんだか風邪が流行ってしまっている。体調管理には気を配った方がいいな。 　月光の魔女だから月を操るわけでもないだろうし……光を操る能力でも目眩まししかできない。

雑草先生 @t7s_masarugi

どんな能力だか気になっていたのだが……仕方ないか。 「そろそろハコフェスの準備をしてこなきゃ！　失礼します支配人さん！　コニーさん！」 「うん！　ハルちゃんも頑張って！」 「よくわからないけど……ハルも頑張って！」 「はい！　私燃えてます！　メラメラって感じです！」

雑草先生 @t7s_masarugi

ちなみに他のみんなはハコフェスの前のトークや準備などをしている。 　他のみんなも心配してくれていたらしいのだが、ハコフェスに支障が出てはいけないと、みんなのまとめ役のハルだけ様子を見に来てくれた。 「コニーさんと支配人と身体が弱いチャチャちゃんは見学だず！　移動するぞー！」

雑草先生 @t7s_masarugi

「ま、待ってくださいよコニーさーん！」 ―――――――――― 　移動中にコニーさんに今回のハコフェスに欠席するメンバーを聞いてみると、元いた世界より仕事で来れないメンバーが増えていることがわかった。 　多分、前回の『第１回ハコフェス』の効果で人気も仕事も増えたのだろう。

雑草先生 @t7s_masarugi

例えば、『Le☆S☆Ca』がライブをすることになったことなんかは、元の世界ではなかった。 　Le☆S☆Caはナナスタの『キョーコ』、『レナ』、『ホノカ』の高校生３人で選抜された『十代の甘酸っぱい青春の日々』がテーマの微炭酸系３人組青春ユニットだ。

雑草先生 @t7s_masarugi

彼女たちが人気が出てくれたのは嬉しいが、前回のハコフェスでどんな活躍を彼女たちがしたのかが気になるところである。 ―――――――― 　他にも休むことになったのは、マドカ、シラユキ、アユム、ミワコさん、ムラサキ、シャオ、ミウ、エイ、モナカ、ジェダ、ターシャ、リシュリ。

雑草先生 @t7s_masarugi

さらにカヅミ、ミミさん、スミレも休みとなっている。 ―――――――― 「そう考えると休みがやけに多いですね……」 「うん……なんか多いよね……まあ仕方無いか……あ、控え室についたよ」 　扉を開けると、目の前に大きなモニターが、あった。

雑草先生 @t7s_masarugi

「また無様に転んだみたいですね、主さま」 　と、僕に声を掛けてきたのは鳳チャチャ。 　悪気はなくこんな風にさらっとヒドいことを言ってしまうのが彼女の個性である。 「うう……」 　確かに無様に転んだのは事実なので何も言い返せない……。

雑草先生 @t7s_masarugi

「そのモニターにハコフェスの様子が映るみたいですね」 　と、控え室にある大きなモニターを見ながらチャチャが言う。 　こんなものまで見せられて僕は確信していた。これはドッキリじゃない……本当だ！ 　だとしたら僕は本当に記憶喪失か平行世界にきてしまったというわけなんだが……。

雑草先生 @t7s_masarugi

そんなことは気にしていても仕方がない。解決策もないし……。 「ん……？　あれは……」 　ハコフェス前のトークを見ようとモニターに視線を移すと、柔らかな笑みを浮かべながら毒を吐く、見たことのある少女が映っているような……。 「ってあれは『４Ｕ』のエモコちゃんじゃないですか！？」

雑草先生 @t7s_masarugi

どうしてここに！？ 「あー……そういえば支配人は忘れてるんだっけ……」 「？」 「ゲストとして今回は『４Ｕ』の３人を招待したんだけど、ウメちゃんが風邪を引いちゃったらしくて……ヒナちゃんはその看病、で、これるのは結局エモコちゃんだけになっちゃったんだず……」

雑草先生 @t7s_masarugi

風邪、流行ってるなあ……。 「エモコちゃん曰く、『あのキャンキャン娘、久しぶりにゲーセンに行ったら楽しかったとか馬鹿なことを言ってキャンキャン騒いで、その挙げ句にそこで風邪を貰ってくるとはチンパンジー以下の知能ですね』だってさ！」 「……」

雑草先生 @t7s_masarugi

マツリさんが風邪を引いたのも多分ゲーセンが理由だろうし、ノノヒメちゃんの家族(多分弟か妹だろう)が風邪を引いたのもゲーセンが原因だろう。 　彼女たちの中に風邪を引いた人がいたのか、それとも他の人が風邪を引いたのかは定かではないが……。