アルカさんの片道勇者☆オンライン！～ロスタイム！～

🐸あめおりんは十輝のモンペ🐸 @ameori_z

@ameori_z 「おぉ、みなさん！　ありがとうございます！」 前線をツクネとシンノジが固め、アルカとクレアが後ろから攻撃を当てていく！ それでも相手は山程ほどの大きさだ。効いているのかもわからない……

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@ameori_z 「はぁッ！！」 横から現れた漆黒の影が、横合いから斬りつける！ 「……！　黒騎士さん！？」 「剣士だ！　……俺もやる。俺達の世界のことは、俺達でケリを付けるべきだ」 「……そうですね。お願いします！」 隣でクレアが味わい深い表情をしていたが何だろう。

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@ameori_z 「ふははははは！　こういう祭りなら我も呼べよアルカ！」 背後から声がした。嫌な予感がする。恐る恐る後ろを向くと、金の長髪にカッコイイマント、眼帯をした見た目だけなら誰しもはっとするような美女。 「ゲ、ゲェ～～！！　マオさんじゃないですかァ～～！」

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@ameori_z 「ゲーとは何だゲーとは。せっかくこの我が、力を貸してやろうと思ったというに」 「へ？　マオさんが、何でまた……」 「そりゃあ私は混沌とか好きだぞ？　カッコイイ故な。だがここぞという時に手を貸すライバルって……人気が、出るだろ？」 何を言ってるんだコイツは。

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@ameori_z 「でもなー我ライバルだし？　そう簡単に手を貸すわけにはいかないっていうかー」 何を言ってるんだコイツは。（二回目） 「でもなーアルカには我に命令できる権利があったはずなんだよなー。それを行使されたら？　我も？？　約束は破れないし協力せざるを得ない的な？？？」

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@ameori_z 命令を行使できる権利？　何のことだろう。 「……ほら！　覚えておらんのか！？　あの……最後別れる前に賭けしたろ！！」 「……あぁ、勝ったほうが負けた方の言うことを聞く」 「それだ！！！」 「あー。じゃあマオさん、今から私のペットになって下さいね」 「！！！？」

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@ameori_z 「行けっマオ！　かえんほうしゃだ！！」 「ちょっま……！　おま！！　後で話があるからな！！！　マジでお前そういうところ良くないぞ！！！」 「マオさんはその自分のこと棚に上げる感じ直して下さい！！」 マオが黒竜戦に参加した！！

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@ameori_z 「はぁーっはっはっは！！　こうして古い知り合いがどんどん出てきて戦線に加わっていくと、最終決戦感出てくるだろう！？」 「うっさいですよマオさんは！　あぁもう緊張感ないなぁ……！」 本当にコイツが出てくるだけで一気にラスボス感が激減である！　どうしたものか。

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@ameori_z というか馬鹿なことを言っている場合ではない。 続々と加勢が来てくれているが、それでも黒竜の攻撃は激しさを増すばかりだ！ むしろこちらの手が増えるほど、ヤツは強くなっているような気がする…… 「このままどうにか、押し続けられればいいんですが……」

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@ameori_z 「うーむ、少しマズイかもしれぬなぁ……」 「え？」 理力を放ちながらのマオの呟きを、アルカは聞きとめる。 「手負いの獣は恐ろしいというだろう？　こうして半端に追い詰めると、もしやアレも……な？」 「ちょ、恐ろしいこと言わないでくださいよ！！」

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@ameori_z マオに文句を言うが早いか、竜の咆哮が轟く！！ 先ほどのそれとは違い、今回のそれは聞くもの全ての恐怖を呼び覚ます……！ 全員が思わず身をすくめると、同時に竜の炎があたりを襲う！ 「「うわあぁぁああああ！！？」」 誰のものともわからない悲鳴が響く！　ピンチだ！！

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@ameori_z 炎が引いて、周囲を見回す余地が出てくる。 前衛で攻撃を引きつけてくれていた騎士たちも、先ほどの炎にやられて一旦こちらに下がってきた。怪我が酷い。これ以上無理をさせるわけにはいかないだろう……彼らにも帰る世界があるのだ。この世界の戦いで死なせることはできない。

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@ameori_z 至近距離で炎を浴びたツクネたちをクレアに任せると、アルカは何かを決意した顔で決然と竜を睨めつけた。 「……行くのか、我がライバルよ」 「えぇ。マオさんはここでみんなを守ってあげて下さい」 「……待て、アルカ」 マオと話していると、黒騎士が声をかけてくる。

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@ameori_z 鎧は一部砕け、ふさふさの耳としっぽの白い毛は所々焦げている。 本人も剣を杖代わりにしないと立てないほど消耗しているようだ。 「俺も……行くぞ」 「ダメです。ひどい怪我じゃないですか！ そんな人を気にしながらアレと戦うなんてできません！」

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@ameori_z 「だが、お前一人に任せるなど……」 「大丈夫です」 黒騎士の言葉を遮り、アルカは懐から一本の巻物を取り出した。 他の世界の勇者候補たちはそれを見てみんな何かを察した。 「コレで戦いも最後ですから……私も切り札、使いますよ！」

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@ameori_z 自信満々のアルカと、周りの勇者たちの顔を見比べ、 「……本当に大丈夫なのか？」 怪訝そうな声を出す黒騎士。 「大丈夫ですよたぶん。すごい強くなる巻物だって聞きましたよ？ ね、クレアさん！」 「ｱ､ﾊｲｿｳﾃﾞｽ」 「目を合わせて言え！」

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@ameori_z クレアの煮え切らない様子に珍しく声を荒げる黒騎士。 「まぁまぁ、落ち着きなよ」 その様子を見て、ツクネが声をかける。 「その巻物、アレだろ？　だったら大丈夫だ。アタシも一度使ったことあるしさ。タイマンでもアレ、倒せるかもしれないぜ？」 「何？　それほどの……」

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@ameori_z 実際に使った、という言葉を聞き何事か考える黒騎士。 「………本当に、大丈夫なんだな？　何か後遺症があったりだとか……」 「ないない何もないよ。アタシを見てみろよ、キレーな体だろ？　それにさっき隣で戦ってて、どっか庇ってるような動きしてたかい？」 「む……」

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@ameori_z 黒騎士はアルカに一言「死ぬなよ」とだけ告げると押し黙った。 「はい、後は私に任せてください！」 親指をおっ立てるとアルカは黒竜の方へ走っていった。 「ふふふ、これは面白くなるぞ……」 マオはにやにやしていた。クレアはあわあわしている。

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@ameori_z ひとり、黒竜の前に立つアルカ。 周囲には砂塵が舞い上がり、視界が悪い。 竜の口元には炎がくすぶり、いつでもアルカを焼き殺す準備はできていると言いたげだ。 ……しかし、今はアルカのターンである。 アルカはにぃ、と口元を歪めると、手にした巻物の力を開放した――！

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@ameori_z 「闇に打ち勝つ力をここに――ゼヌーラ！！」 アルカが開放の言葉を口にすると、突如として天空から光の柱が降り注ぐ！ 「アルカ！！」 誰かが呼ぶ声がする。しかしアルカは振り向かず、光の奔流にその身を任せた。 天より来た光はそのまま、あたりへと散っていく。

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@ameori_z ――光が晴れた時、そこにいたのはまごうことなき「勇者」の勇姿。 左手に聖弓ル・アルシャを携え、腰元には矢筒。 頭部にはこの旅で苦楽を共にしてきた、黒いネコミミが揺れている。 一糸まとわぬその姿、胸元と腰まわりでは謎の光が、乙女の尊厳を守るように輝いていた。

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――何もかもが遠く感じる。 誰かが叫んでいるような気がする。誰かが祈っている気がする。誰かが頭を抱えている気がする。誰かが大爆笑している気がする。 ――マオあとで覚えてろよお前、火星に代わって折檻だからな？ 今のアルカに雑念はない。ないったらない。

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今の彼女はただ、魔を討つための機構である。 ……事ここに至って、アルカの心は妙に静かであった。少し高揚しているが、いつものように騒ぎちらすようなそれではない。 追い出すべき焦りではなく、受け入れるべき戦意、とでもいえばいいだろうか……とにかく、すべきことはわかっている。