アルカさんの片道勇者☆オンライン！～ロスタイム！～

🐸あめおりんは十輝のモンペ🐸 @ameori_z

アルカは黒竜をじっと見つめると、弓を構える。す、と右手を空高く掲げると、世界の端々からゆっくりと光が収束していく。 人々の祈りが、人々の戦意が、――闇を払いたい、という強い意思が！　いま光の矢となってアルカの元に集いつつあるのだ！！

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それを脅威と見たのか、黒竜が息を吸い込み炎のブレスを吐き出す！！　今のアルカにそれを防ぐ術はない……！ 迫りくる炎。しかしアルカは何かを信じているかのように、光の収束を続けている。 目前まで来たその時、炎とアルカとの間に金糸の髪がゆらめき立ちはだかった。

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「ふん、我以外の攻撃で落ちるなど――許さんぞ！　我が好敵手！！」 マオであった。しかし残念ながらマオは既に好敵手ではなくペットである。いや、そもそもアルカ的には好敵手であった過去もない…… やはり妄言の多い厨二美女であることだ。 彼女はありったけの魔力で、結界魔術を行使した！

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しかし大陸を食らうほどの竜の発するブレスである。その威力は生半可なものではない。 ぱりん、ぱりん、と何かが割れる音が連続して響き渡り――しかし、炎が止んだその時まで。マオはアルカを守り抜いた！

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だが自身に付与していた結界まで破壊されきっていたようで、彼女自身も満身創痍といった風情である。 「ふ……これで私の好感度もウナギのぼり……貴様を抜いて人気投票第一位も、夢ではない、な……」 こんな時までふざけたことを呟いて、そのまま崩れるように倒れ伏した。

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――マオの働きによって、光の矢はつつがなく完成した。 アルカはそれをル・アルシャにつがえ、ただ黒竜に向かって放つ。 ひとすじの光はやがてすべてを飲み込む津波となって、黒竜の漆黒を塗りつぶしていく――。

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……光が晴れた時、黒竜の姿は影もなく消え去っていた。 「やった……のか……？」 呆然と黒騎士がつぶやく。 それとほぼ同時に、対峙していたアルカがどさりとその場に崩れ落ちる。 「アルカ！！？」 黒騎士をはじめ、後方で趨勢を見守っていた他の勇者候補たちが駆け寄っていく。

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アルカは全裸でうつ伏せに倒れていた。斬鬼さんかお前は。 その光景を前に何故か黒騎士は固まってしまったので、クレアが抱き起こし声をかけた。 「アルカさん！　アルカさんっ、大丈夫！？」 「ぐおー……すぴー……」 「……寝てるだけだ。よかったぁ……」

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帰ってきたのは盛大ないびき。一月以上もの間、十分な休息を取れないまま旅を続けていたのだ。緊張の糸が切れたらこうなっても仕方あるまい。 「おいー……私の心配は誰もしてくれんのかぁ……？」 アルカの近くで倒れ伏していたマオが声を上げる。

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「……アンタ魔王だろ？　何の気まぐれか知らないが、攻撃されないだけありがたいと思ってほしいもんだがね」 ツクネが肩をすくめて答えた。 「魔王？　何のことかわからんなぁ。今の私はマオ。そこで寝ている――この世界を救った勇者の、ただのペットであるぞ？？？」

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「ライバルじゃなかったのかい？　調子のいいやつだねぇ…… ま……この世界のことはこの世界のヤツらに任せるとするか。アタシらはもう帰る時間みたいだし」 ツクネやクレアを始めとした勇者候補たちの姿は、光に包まれていた。

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友情テレカの効力が切れたのだろう。この世界が救われた今、もう会うことはないかもしれない。 「アルカによろしく、色々楽しかったって伝えておくれよ！」 彼らは口々に祝いと別れの言葉を残し、それぞれの世界に去っていった。 「あの！　えっと……リィドさん？」

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最後に残ったクレアが黒騎士に向かって言う。 「！！？？？　なっなななにを言っているお前っ、」 「あ、時間無さそうなんでそういうのはいいです。 えっと……何で顔隠してるのかとか、戦えることアルカさんに秘密にしてるのかとか、僕にはわかんないけど」

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そこで一度区切ると、何かを思い返すようにしながら言葉を続けた。 「どんな事情でもアルカさんは、受け入れてくれると思うよ？」 「………そう、だろうか」 「えぇ。何だかんだ、アルカさんは困ってる人放っておけないタチだろうな―って。 アルカさんにおめでとうって、伝えておいてください！」

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「……きっとまた、お会いしましょう！」 「あ、いや、待って……！」 引き止める言葉を待たず、クレアも帰っていった。

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……残ったのは、盛大ないびきをかいて眠るアルカ。 あちこちに焦げ目がつきながらもどこか晴れやかな表情のマオ。 砕けた鎧を身に着けた黒騎士――もとい、リィド。 この世界の住人たちだけだった。

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マオは全裸のままのアルカにマントをかけると、リィドに声をかけた。 「お前は、これからどうするのだ？」 「どうって……言われても」 リィドはほとんど用をなさなくなっている兜を外した。ひょこりと跳ねる白い犬耳。 「……アルカさんについていくよ。いいって言ってもらえたらね」

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「そうか。だがペット枠は譲らんぞぉ～？？」 「ここに至ってもまだ、キミのキャラがつかめないよ……。というかそれでいいのか！？　元魔王なんでしょ？」 「アルカは終ぞ信じてくれんかったがな。だがいいのだよ。その御蔭で今の私がある。私はマオ。世界を疲弊させるものではなく、ただのマオだ」

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「――あぁ、怨嗟の声が聴こぬというのは何時ぶりだろうか。なんていい気分なのだろうなぁ……」 しみじみと呟くマオの意味深な言葉にも、これ以上突っ込む気力はないリィドであった。 「そう……まぁ、深い事情はいいや。ぼくも、何だか疲れちゃって……」

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「あぁ、寝ろ寝ろ。存分にな。此度の戦い、只人には辛いものだったろう」 「もう全部終わったっていうのに、どうしてそういう伏線めいたこというのかなぁ……」 「全部終わった？　まったく……違うだろう？」 マオはニヤリと笑うと、拳を高く突き上げて高らかに宣言した。

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「我々の冒険は、今この時、ここから始まるのだからな！！」 彼女の清々しい大きな声は、闇の晴れた世界の隅々まで響き渡るようだった。

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アルカさんの片道勇者☆オンライン （一年越しで）おわり！！！！！

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一年越しで完結！！！　一年越しでも俺はやったぞ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

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アルカ・セプター 人間/女/狩人/南大陸 LP：38→33 DK：28→（なし） 伝P：34→4 オプション：伝説の武具・聖弓ル・アルシャ＋２、覚醒の石 とうとう闇を打ち払った系女子。 最後まで締まらないのはらしいっちゃらしい。 実はビビりなのによくやった。ネコミミもありがとう！

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目覚めたらきっと、半獣人の青年と耳長族の女性と三人で、明るい世界を旅して行くのだろう。よきかな。