片岡K (kataoka_k) さんが語る『文學ト云フ事』

1994年にフジテレビの深夜に放送された『文學ト云フ事』について、その演出を手がけた片岡Kさんのツイートをまとめてみた。
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片岡K @kataoka_k

ボクの作った番組の中に、いまだに当時の視聴者から熱い想いをぶつけられる「文學ト云フ事」という番組がある。もう17年も前に放送された深夜番組だが再放送を熱望する声がやまず、CSで何度も再放送されている。それでもDVD化には至らない。一番大きな理由はやはり「売れないから」だ。

2011-02-12 14:23:14
片岡K @kataoka_k

「文學ト云フ事」はもともと関東ローカル枠で、放送時の最高視聴率は2.2%、平均視聴率は1.8か1.9%だったと記憶している。深夜に女の裸を出せば数字が取れる時代だから、視聴率10%を超える深夜番組も少なくなかった。そう、あの番組は深夜でも特に人気のない番組だったのだ。

2011-02-12 14:24:18
片岡K @kataoka_k

1.8%の人たちを熱狂させた「文學ト云フ事」。しれは逆に捉えれば、98.2%の人はその時代にそんな番組が放送されていたことさえ知らずに過ごしていたということである。しかしテレビの力の恐ろしさを実感するのはまさにここなんだ。わずか1.8%の少数派が熱ければ、その声は確実に届く。

2011-02-12 14:26:21
片岡K @kataoka_k

ここからは単純計算だ。全国ネットにおける視聴率1.8%を、人口に換算してみると216万人。映画で216万人も動員したら大ヒット作品。演劇の動員数ではもうあり得ない数字だ。それを98.2%の人がまったく知らない「文學ト云フ事」が、30分間で成し遂げる。これがテレビのすごさである。

2011-02-12 14:27:49
片岡K @kataoka_k

もちろん実際にそんなうまく行くはずない。昨夜もツイートしたが、あんな番組をうっかり放送してくれちゃう放送局、うっかり見てしまう視聴者、その出会い頭の衝突みたいなところにボクはテレビメディアの価値や可能性をずっと感じているし、それがテレビメディアの魅力だと思う。

2011-02-12 14:29:10
片岡K @kataoka_k

「文學ト云フ事」から17年。番組の顔として画面の中に輝いていた当時17歳の少女は2倍の年齢となり、ボクの妻として家庭を守ってくれている。今年のボクのテーマは「原点回帰」。twitterで番組ファンの声が聞こえてくるうちに、あの頃の気持ちに戻るのも悪くないなとボクは思った。

2011-02-12 14:30:44
片岡K @kataoka_k

今のテレビは視聴率を1.8%しか取らなかった「文學ト云フ事」など見向きもしてくれない。放送局を頼ることができないなら自分で始めるしかなさそうだ。そう思って今年の元旦から始めたボクのプロジェクトが、自主映画「ツイルム」だ。 http://www.twilm.com/

2011-02-12 14:33:12
片岡K @kataoka_k

その辺の事情も当然ある。原作権や音楽著作権の問題もある。RT @yomoyomo とても大きな影響を受けた番組で、DVDがなぜ出てないのかずっと疑問で、ご本人に尋ねていいものか悩んでいたんですが、出演者の権利関係かと自分を納得させていたのですが……ううっ、悔しいです

2011-02-12 14:41:56
片岡K @kataoka_k

17年前じゃ忘れちゃうよね。第1回を武者小路実篤「友情」に決めた会議室でボクだけ読んだことないってのは強烈に覚えてるけど。で、次回までに読む約束が忙しくて読めず会議前にCXの階段で読んだの。会議で吉クンにどう?武者小路と聞かれ「これなら俺でも書けるな」って言ったら皆が笑ったんだ。

2011-02-12 19:44:55
片岡K @kataoka_k

それ以来、漱石読んでも太宰読んでも「これもまあ書ける」とか「女書かしたら俺は漱石よりうまい」とか文学作品読むたび勝手なコト言ってたんだけどさ、アレ半分以上マジだったよ。笑 で初めて「コレは書けない。すげえ」って言ったのが川端康成「みずうみ」。読んだ場所の風景まで鮮明に覚えてる。

2011-02-12 19:54:41