1日1小梅さんまとめ(2016年7月31日①)

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はおこっこ @haoblackj

#1日1小梅さん 戦車道に打ち込んだ大学時代を終えて、私は公務員になった。国家公務員総合職試験、いわゆるキャリア官僚になるための試験。それを突破し文部科学省に入省することとなった私は、同期になるメンバーとの飲み会に臨んでいた

2016-07-31 10:58:17
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 「赤星さんは戦車道やってたんでしょ? やっぱ大砲撃ったりするの?」 いかに理解が深いと言っても、所詮は市街地で戦車を動かすことに反対しない程度。戦車の知識が涵養されたわけではない。「私は参謀だったからあまり……」と返すと、露骨に残念がられることにも慣れた

2016-07-31 11:01:31
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 文部科学省が三流官庁と呼ばれていたのも戦前の文部省の時代まで。戦後の学園艦政策の促進に伴い権限を拡大した文科省は、今や経済産業省や総務省と肩を並べる役人帝国だ。船舶を管理する国土交通省を向こうに回した廃校政策を推進できるのだから、その権限は計り知れない

2016-07-31 11:09:20
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj その中ですでに首相秘書官への道を約束されていては、迂闊なことは言えない。生き馬の目を抜くという言葉がぴったりの環境で、周りの人間は全員敵と認定しておくに越したことはなかった。それにしても、このふやけきった同期たちの顔ときたら。いっそ反吐が出るレベルだ

2016-07-31 11:13:37
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 引きずりおろそうと片手を伸ばす傍ら、もう片方の手で器用に揉み手をするというわけだ。生憎、私は実力主義の中で首席幕僚を掴み取った叩き上げ。敵を作ることにも、それを踏み潰すことにも慣れている。どっちつかずの人間を無視することくらい造作もなかった

2016-07-31 11:15:28
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 所詮は勉強ができ、大学で少しの社会勉強に勤しんだ程度。気を抜けば命に関わる戦車道という環境に7年も身を漬けていれば、そうでない人間が平和ボケしたように見えるのも無理はないか。案外、西住の家元が厳格に見えたのもそれが原因かも知れない

2016-07-31 11:17:37
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 民間企業に進んだ戦車道の同期からは、早速『周りと馴染めない』という悲鳴が聞こえてきている。私もだと怒鳴り散らしたいのをぐっと抑えて、とりあえず戦車道方面で官僚経験者を雇っている会社を調べ始めるくらいには、すでに私は疲弊していた

2016-07-31 11:19:40
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 最悪の場合、みほさんに頼るのもありか。屈辱ではあるが、その屈辱を払拭するだけの働きはできる。エリカさんは大学院に進むために浪人していると聞くし、私も有用性を示せば……。本能的に具体的な手順を組み立て始めていた頭を無理やり停止させる

2016-07-31 11:22:08
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 忌々しいことに、親からは『3年はやめるな』とのお達しが来ている。大学は奨学金で賄ったとはいえ、これまで育ててもらった恩もある。3年経ったら好きにするという条件でそれを呑んだからには、今ここで官僚を辞める訳にはいかない。仕事のひとつも開始していないのだから

2016-07-31 11:24:10
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj 3年。係員か係長か、よくて課長補佐までだろう。秘書官からの事務次官コースはおじゃんだな、という苦笑は内心に収めて、私はカルピスの入ったコップを傾ける。やはり私には硝煙と排ガスの中での頭脳労働が似合っている。とりあえず、みほさんとの繋ぎは保っておかなければ

2016-07-31 11:29:11
はおこっこ @haoblackj

@haoblackj それこそ打算的な発想を胸中に秘めて、貼り付けた笑顔を振りまく。一般的な有能な人間とは、やはり決定的に相容れないのだ。その自覚が苦く胸を焼くまでに、私の指はみほさんへのヘルプメールを送信し終えていた

2016-07-31 11:31:07