- shitaratsukushi
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@ts_p 四六時中オカルト話さえしなければ、少しはましなのにと葉子は思っていた。 しかし、小西のことが好きだった裕香はもういない。小西と楽しげにオカルトの話をしていた少女は死んでしまった。
2011-02-16 18:05:42@ts_p 部室に入ると小西がパソコンでインターネットのサイトを見ていた。葉子に気がつくと小西は軽く右手を上げた。 「顔色悪いけど大丈夫?」 小西は眼鏡越しに葉子を見つめ心配そうに訊ねた。 葉子はあまりよく眠られなかったが力なく微笑んでみせ、「大丈夫」と答えた。
2011-02-16 18:06:01@ts_p 小西はあまり信じていないようだった。しばらく葉子を見つめたあと、パソコンのモニタに視線を戻した。 葉子はそんな小西の横顔を見ていたが、小さな声で告げた。 「小西先輩、好美が死にました……」
2011-02-16 18:06:22@ts_p 小西はサイトの話を読むのに集中しているらしく上の空で「ああ」と答えたあと、怪訝そうに振り返ってもう一度聞いた。 今度はもう少し大きい声で言った。 「好美が死んだんです」 「江藤さんが……? なんで?」
2011-02-16 18:06:35@ts_p 小西は信じられないという顔つきで問い詰めた。 昨夜刑事に事情聴取されたときも、家に帰り独りになったときも、葉子の感情は死んだように静かだった。
2011-02-16 18:07:19@ts_p しかし、裕香や好美のことを知っている小西の声を聞いたとたん、葉子は今までせき止めていた感情が、一気にあふれ出してくるの感じた。「わ、わからないけど……」 いきなり葉子の両目からぽろぽろと涙があふれた。
2011-02-16 18:07:55@ts_p 昨日まったく涙が出なかったのに、いまは話すことができないほど感情が高ぶって嗚咽が漏れた。 小西はいきなり泣き出した葉子に驚き、慌ててティッシュの箱を持ってくると数枚手に取り、彼女に渡した。
2011-02-16 18:08:11@ts_p しばらくスンスンと鼻を鳴らして泣いていたが、何度も深呼吸して高ぶった気持ちを落ち着かせた。 「ごめんなさい……あ、あの、ありがとう……」 葉子は感情的になった自分をはじめて小西に見せたことが恥ずかしくて、顔を真っ赤にしてうつむいた。
2011-02-16 18:08:40@ts_p 「そうか……江藤さんまで……」 小西はどっかといすに座り込むと、マウスを手でいじりながら、言いにくそうに話し出した。 「俺さ、思うんだけど……いや……こうなると確信、と言えるかな。篠田と江藤さん、二人に共通してることがあるんだ」
2011-02-16 18:09:06@ts_p 急に何を言い出すのだろうと、葉子は小西を見た。 「共通してること?」 「うん。ほら、篠田が斎条に『話したら死ぬ都市伝説』っての話したろ?」 葉子は怪訝そうに眉を寄せた。 「でも、話したら死ぬなんて……そんなんで本当に人が死ぬなんて、先輩は信じてるんですか?」
2011-02-16 18:09:21@ts_p 「信じてるよ」 あっさりと小西は認めた。 「そんな……」 葉子は呆れて言葉をなくした。 「裏づけって言うかな……まさか篠田と江藤さんが該当するとは思わなかったからな……知ってたら俺もこの話は封印したよ」
2011-02-16 18:09:43@ts_p そういって小西はパソコンのマウスを動かして、あるミラーサイト、データのみを保存しているサイトを開いた。 そして何度かリンクしてあるページをクリックして、プリントアウトしてくれた。
2011-02-16 18:10:04@ts_p 「これ、知り合いのサイトであった実話なんだけど、たまたま概略まとめてたから読んでもらえる?」 葉子は小西から数枚の紙を受け取り、読み始めた。 (改行2) *** (改行2)
2011-02-16 18:10:57@ts_p (改行3) 二〇〇X年七月二十五日 投稿者:実験者 この話は人に話したら七日後に死ぬといって友人が教えてくれた話です。人に話さなければ死なないのか、掲示板などに文字にして書き込んだ場合はどうなのか確かめるために、この話をこの掲示板に書き込みます。
2011-02-16 22:56:08@ts_p この話を聞かせてくれた友人はこの間なくなりました。だから死にたくない人は絶対にこの話を他人に話さないでください。 もし私がこの話を書き込んでから七日後に死んだら、友人にそのことを書き込んでもらうように頼んでいます。
2011-02-16 22:56:34@ts_p もし私が死んだらこの話を読んだ人はこの話をほかの掲示板に書いたりしないでください。 ようこさんは大学生になって、初めて一人暮らしを始めた。 そのうち恋人ができて、大学生活を満喫していた。 しかしそのころから知らない男に見張られていることに気がついた。
2011-02-16 22:56:55@ts_p そのうちようこさんが二股をかけているといううわさが広まった。 どうやら言いふらしているのは例の知らない男のようだった。 ようこさんは恋人に頼んでその男に近寄らないようにしてもらった。 しかし、あいかわらず付きまとわられた。
2011-02-16 22:57:17@ts_p ようこさんは警察に通報したが取り合ってもらえなかった。 とうとうようこさんはノイローゼになってしまった。 ノイローゼになったようこさんは彼氏に愛想をつかされてしまった。 ようこさんは付きまとう男におびえて、外出もできない生活をするようになった。
2011-02-16 22:57:31@ts_p ある夜、玄関のチャイムが鳴った。 ようこさんは恐る恐る玄関に立ち、覗き窓から外を覗くと宅配便だった。 ノイローゼのようこさんは夜中の十二時の宅配便がおかしいと思わなかった。 玄関を開けると宅配の男はそのまま部屋の中に押し入って、ようこさんの首を絞めて殺した。
2011-02-16 22:57:45@ts_p 例の男が宅配便を装って、ようこさんを殺したのだ。 男はようこさんをばらばらにして、首を切った。 それから、ようこさんを料理して食べた。 男はそれで満足したのか、玄関で首をつって自殺した。 さてこの話を口にすると、殺されたようこさんが夜中の十二時にやって来ます。
2011-02-16 22:58:04@ts_p そのときようこさんを殺した男の名前を三回唱えてください。 そうすれば死なないですみます。 だけどもし名前が言えなかったらようこさんと同じ死に方をします。 私はこの書き込みをした後、ようこさんを殺した男の名前を調べてみます。
2011-02-16 22:58:22@ts_p もしわかって、七日後に死ななかったら、男の名前をここに書き込みます。 二〇〇X年八月二日 投稿者:実験者の友人 僕は口にしたら殺される話を書き込みした実験者の友人です。この話はマジでやばいです。友人は書き込みをして七日後に死にました。
2011-02-16 22:58:57@ts_p この書き込みを読んだ人は絶対にこの話を人に話したり、掲示板に書き込んだりしないでください。 マジで死にます。 (改行3) *** (改行3) 葉子はここまで読んで顔を上げた。 「これ……」
2011-02-16 22:59:29@ts_p 「まぁ、ようこって言う名前はたまたまと思うけど、この話しの大筋は事実じゃないかと思う。それに、これは本当かどうかの裏付けがまだだから何ともいいがたいんだけど、学校裏サイトの書き込みで気になるものを見つけたんだ。
2011-02-16 23:00:00