フォルダ

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1 もうすぐ年末。 すばるも私も忙しくて、最近じゃ、余り二人でゆっくりする時間もない。 今朝も、私が起きるより早く出て行った。 顔を合わせてないわけじゃないけど、ちょっと寂しい。 ね。

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2 コーヒーを飲みながら電話を触る。 …。 っ！うえっ！？ 口の中を思わず吹き出しかけた。 え？ちょっと何これ…？ 壁紙が変わってる。 寝てる私とカメラ目線のすばるの2ショット。

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3 え？すばるの自撮り？ 勝手に？ 中身いじった？ そんなことする？ ぐるぐる疑問が渦巻いて、頭の中がハテナばっかり。 そのうち、笑いがこみ上げてきた。 何考えて撮ったんだろ？ すばるの携帯は？ 同じ？

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4 滅多にない2人での写真。 正直、嬉しい。 見られたら困るから、すぐ変えるよ？ …寝癖ついてる(笑) すばるも寂しいのかな。 今日は帰ってくるの、寝ないで待っていようかな。 一人頬杖をついて。 時間を忘れて、いつまでも画面のすばるを眺めていた。

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1 師走に入って、忙しい日々。 すれ違う毎日。 今日は私が先に家を出る。 ふと思いついて、すばるの携帯を手に取る。 この間の仕返し。 寝てるすばると写真を撮って、壁紙に設定…。 あっ、やば。 うっかり違うフォルダ開いちゃった。

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2 …？ …！ 何これ！？ フォルダいっぱいの私の寝顔。 慌てて画面を落とす。 携帯を置いて、その場を離れた。 何だったの、あれ？ すばる、いつの間に…。 顔が熱くて胸がドキドキ苦しい。 やだもう…。 なにしてんの、すばる…。

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3 「…おはよ」 『きゃっ！』 一人悶絶してたら、声をかけられて飛び上がった。 「何してん？」 『べ、別に。おはよ』 恥ずかしさと後ろめたさですばるの顔が見れない。 逃げるように出かける準備をする。

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4 「もう行くん？」 『う、うん』 ほんとはまだ少し早いけど。 玄関へ向かう。 靴を履いて、ドアに手をかける。 『じゃ、行ってきます』 「なあ」 『っ、何？』 心臓が跳ね上がる。

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5 「ちゅー」 『えっ？』 「行ってきますの、ちゅー」 真顔で。 少し背伸びして唇を合わせる。 すぐに離れようとした私の頭を掴んで、侵入してくる舌。 熱く滑ったソレに口内を犯されて。 最後、私の唇をぺろりと舐めて、チュッと音を立てて離れていった。

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6 「ん。行ってらっしゃい」 『…行ってきます』 少し力の抜けた体で外に出る。 師走。 風が冷たい。 でも、私の顔も体も恥ずかしいほどに熱くて。 隠すように、マフラーに顔を埋めて、駅までの道を歩き出した。