また明日

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1 眠い。 ライブ前や本番中はええねん。 終わった後どっと来る。 飯食って、風呂入って、寝よう思てもなかなか寝付けんし、ふと夜中に目を覚ましてまう。 それを繰り返して、朝。 酒飲んだらマシかもしらんけど、そういうわけにもいかんし。 ほんま、ホテルって苦手やわ…。

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2 （すばる、大丈夫か？） 椅子に座って目閉じてたら、ヨコに声かけられた。 俺の癖知っとるのに言われるゆーことは、そんなヤバそうに見えるんやろか。 「…」 まあ、返事するん億劫なんも確かやけど。 （もう帰って寝ーや） 寝れへんねんて。

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3 それでも、体を引っ張られて渋々立ち上がる。 重い体を引きずって、部屋へ向かった。 （寝ーや！） わかったって。 扉を開ける。 …明るい？ 誰かおるんか？ おいちょっとやめてくれよ…。 恐る恐る中を覗く。 『あ…おかえり…』 …え？ 「…何してんねん、お前…」

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4 バツが悪そうな顔。 来る言うてへんかったやんか。 スーツ？ 仕事？ どゆこと？ 疑問符ばかりで、怒ってるように見えたんか。 『…ごめん』 顔を伏せて謝る。 「何してんねん」 『…あの…』 「どうやってここ入ってん」 『…マネージャーさんが…』 「ああ？」

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5 どういうことや？ 『横山君から電話あって…』 「はあ？」 ヨコから？ 『すばる、寝れなくてしんどそうだから来てくれないかって…』 「…」 『迷惑になるって言ったんだけど、マネージャーさんにも頼まれて…』 あいつら…。

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6 『遅くなるかもしれないけど、部屋で待っててって…』 「…」 『仕事終わってから…来た…んだけど…』 少しずつ消え入りそうな声。 『…ごめん』 ベッドから立ち上がる。 『やっぱ、帰るね。勝手に仕事先に来ちゃって、ごめん』

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7 ドアに向かう体を引き留める。 不安げに見上げる顔。 ギュッと抱き締める。 「…ちゃう」 そんなんちゃうねん。 吃驚しただけやねん。 久しぶりの匂いを、体いっぱいに吸い込む。 手が背中に回る。 あったかい。

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8 急に体が重くなる。 眠い。 せっかくこいつが隣におんのに、めっちゃ眠い。 ベッドに二人倒れ込んだ。 心地いい疲労感と、安心感。 抱き締めて、目を閉じる。 『おやすみ』 遠くに声が聞こえる。

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9 …ヨコ…あいつ、寝ろ寝ろって言ってたん、このことやったん…。 明日ニヤニヤしてんやろな…。 でもまあ、今日のとこはありがとう言うとくわ。 てか、俺こんだけで寝れんねんなあ…。 あー…寝て起きたら目一杯こいつんこと…。 でもライブ前やしなあ…。 あー…きもちええなあ…。