茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1859回「レスリングと、プロレスの、行動様式から見た違い」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１８５９回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

先ほど、リオ五輪のレスリング女子４８キロ級の決勝で、登坂絵莉選手が終了まであと数秒のところから逆転して金メダルをとった試合を生で観ていた。凄い試合だった。登坂選手、おめでとうございました！　感動しました！

茂木健一郎 @kenichiromogi

レスリングを観ていて、真剣勝負の厳しさを見た。なかなかどちらも仕掛けられない。一瞬の隙をみて、タックルをしたり、抑えたり。ほんとうにぎりぎりのところで闘っているということが、伝わってきた。

茂木健一郎 @kenichiromogi

動物行動学で面白い研究があって、動物たちも闘うが、その際、真剣勝負と、遊びで闘うことがある。それで、遊びの闘いにおいては、いくつかの特徴があるのだけれども、一つには、「攻撃」と「防御」のターンがはっきりしているというのだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

つまり、遊びで闘っている時は、動物たちは、「今は俺が攻撃な」「わかった、オレ、防御するわ」「今度、お前、攻撃しろよ、おれ防御するから」「わかった、じゃあ、オレ、行くね！」と、かわりばんこに闘うというのだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

一方、真剣勝負、ガチの闘いの時には、どちらがどのような時点で攻撃するか、防御するか、ずっと「オン」で、要するにいつでも行っていいし、行く可能性がある。攻撃と防御を、交代しつつやる、ということはないのだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

真剣勝負の闘いは、だから、いつでも相手が攻撃してくるから、防御の方も切れ目がなく、表面的には動きがない時間帯が続くことがある。先ほど観ていたレスリング決勝がまさにそうだった。勝負は、最後の数秒の逆転まで、あまり動かなかった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

一方、鍛え上げた肉体、技を駆使して、お互いにあうんの呼吸で「攻撃」と「防御」のターンを繰り返すプロレスは、高度な遊び、pretend playであり、だからこそ観ていて面白いし、派手でもある。ガチな勝負とプロレスは、肉体の鍛錬は共通だが、turn takingが違うのだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

もちろん、プロレスも、大技をかけたりかけられたりするには、日々の大変な肉体の鍛錬があるわけで、そうでなければ大怪我する。それも一つの文化だし、ガチな勝負のレスリングも一つの文化である。どちらも、観ていて、人間の存在を感じて、心が震える。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート１８５９回「レスリングと、プロレスの、行動様式から見た違い」をテーマに、８つのツイートをお届けしました。