誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

1. 『初めまして…』 桜が咲き乱れる頃やったな 俺はお前に恋をした 「村上くん」 そう呼ばれるのは 恋をしたのは俺だけやったからな それは仕方ない 元々、人のもの 奪うとか、そういう事やない お前が笑ってりゃそれで良かったから… #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

2 友達に誘われた飲み会で彼女と出会った 以降、そのグループでの飲み会にちょくちょく行くようになって 彼女は何でも真っ直ぐな子 恋愛に対しても… 本当に彼氏の事が大好きで、恋してて、だからいっぱい悩んで、泣いて、喜んで… #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

3 そんな彼女は、俺から見ても キラキラしてて... あかんな、、 そんなん見てるだけでええって 思ってしまうって事は 惚れてもうたんやろか？ #誰より君が好きだから pic.twitter.com/v6CTmSDcsS

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きき @Kikisubasan

4. 「村上くん飲んでる？」 『ん？…あぁ、』 俺なんかを気遣わんでもえぇのに… 彼氏の横でニコッと笑えば …なんや、俺の胸がズキッと音を立てる あかんやろ 人のもんや、…こんな気持ち 「…ん？」 せやから、笑うなって… #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

5 しばらくして… 「村上君、やっぱり何かあった？」 笑顔から一転、今度は心配そうに聞いてくる 『え、俺？何もないで？』 "お前のせいや"って心の中で叫んでる俺を無視して、取り繕う 「そっか、いつもよりペース遅いから、気になっただけ…」 #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

6 『明日早いねん... 少し控えな、起きられんとあかんやん』 笑いながら言えば 「じゃ、あたしモーニングコールしてあげようか？、、あ、余計なお世話だね...ちゃんとしてくれる人居るよね」 『居らんわ、そんなん...』 「え？そうなの？」 #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

7 『アホかお前… 俺なんかより…その、あれや 彼氏にちゃんとしたらなあかんのちゃうんか…』 「あら？何、あたし達を気遣ってくれてるの？」 くすくすっと笑う …当たり前の事やん #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

8 必死でお前の幸せを願う努力しとるのに… 「でも、意外… 村上くんにはきっと素敵な人がいるって思ってた」 畳み掛けてくる彼女 「好きな人いないの？」 『…おらんわ、、 もう、恋愛にあーだこーだ言う歳やないんねん』 「えー、こんなに楽しいのに…」 #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

9 『ああ、うっさいなぁ、、』 彼女はクスクス笑いながら 俺からスマホを取り上げると 勝手に番号を登録すると自分のスマホを鳴らして 「これで、明日起こしてあげられるね」 『お前...、、』 「嫌だった？」 じーっと見つめる彼女、、 #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

10 勘弁してくれ 勿論、俺の気持ちが若干揺らぐとか…そういう事も含め …これはあかんやろ 『電話なんかいらへんよ』 「…そうなの？」 『あぁ、そうや』 残念そうな顔をして俺を見る 彼女にしたら冗談なんかもしれん やのに、揺さぶられてる俺 #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

11 「そっか…じゃあ… いい子がいたら、その番号にコッコリ連絡するね」 いたずらっ子のように微笑む彼女 …"コッソリ"とか、、 いろいろあかんやろ、、 俺が悶々としとる間に、彼女の興味は彼氏のもとに戻っていて… もう俺の方へは来んかった #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

12 その後は仕事が忙しいからと 飲み会の誘いを断った... 事実は彼女を見とるのが辛かったから 幸せそうな彼女の顔を見るのは... 彼女からも連絡は無かった 期待は...してたんやろか、、 そんなある日、偶然見かけた その2人は... #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

13 彼女の彼と…知らない女 俺は彼の仕事や付き合いは わからへん でも…、 そういう関係か、そうでないか それくらいは何となく分かる …声を掛ける訳にもいかない 一瞬過った 彼女に… いや、それはあかんやろ #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

14 たまたま見かけた二人 それ以上は推測でしかない …俺は確信しとるけど…… 彼女には何が起こったのか 彼女は何を知っているのか …俺は何も知らん だから… 久しぶりに飲み会に参加してみることにした …ほっとく事はできんかった #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

15 [お、むっちゃん久しぶりやん] 入った瞬間声を掛けられ そのグループの中に入る 目の端に彼女の彼と...先日見かけた女 その視線を追ったのかその中の1人が [あの子がほんまの彼女なんやって... 今まで連れて来てたんは浮気相手らしいで] #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

16 『…え？』 理解するのに少し時間が掛かった 待ってくれ、彼女…浮気？ 仲良くしている 俺の視線の先…どういう事やねん 『そんな訳ないやろ…』 2人はお似合いやったんちゃうんか …俺が入り込む隙も無い程に、、 #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

17 『彼女は…前来てた子は…この事知っとるん？』 自分でも驚くほどの掠れた声で尋ねる [知ってる、、 バレてすぐに別れたらしい…] 『彼女…大丈夫なん…？ だいぶ仲良かったやん…』 沸々と沸き上がる怒りに、思わず拳を握り混む #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

18 [あー、わからへんな、、あの彼女に結構酷い事言われたらしいんは聞いたけど...] 『悪い、帰るわ...』 [あ、むっちゃんどないしたん？] 引き留める声を後に店を出て 彼女に電話を掛ける 永遠に続くかと思う程の呼び出しの 音が続く #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

19 『ﾁｯ…なんやねん』 酷い事…、何言われたんな …何があったんや 鳴らし続けるけど… でも、彼女は電話には出なかった 家で泣いてるんかも知らん 俺は心配でたまらなくなっていた 『…出らんのか、』 #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

20 できることなら… すぐに彼女のもとに駆けつけたい… けど、俺は何も知らん… 彼女がどこに住んでるかも… どこで働いているかも… 今どこで何してる…何考えとる？ 俺と彼女を繋ぐ唯一の手がかり… それはあの時交換した番号だけ #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

21 鳴り続ける呼出音 もう、諦めてしまおうかと思い始めた時 「...は...い、、」 彼女の力ない声が聞こえた 『あ、俺やけど、、久しぶりやね...』 「...」 『あのさ、飯...行かへん？』 「...」 #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

22 『なぁ…返事しろ、しないんなら出るなよ』 「…ごめんなさい」 電話の向こう やっと聞こえた声は 泣いているだろう声… 『…泣くな、怒ってるんやないんや お前とご飯、、食べたいだけや…な？』 「…うん、」 #誰より君が好きだから

りいろ @EIGHT_SS_RIRO

23 『今から出てこれるか？』 「…今…から…？」 『今、会いたいねん』 「……分かった…」 俺の馴染みの店に来るように伝える 電話の向こうの彼女は消えてしまいそうな程、弱々しくて… 『待っとるから』 そう念押しして、電話を切った #誰より君が好きだから

あみ @ami_qitt25

24 馴染みの店の個室でほんまに彼女が 来るかイライラしながら待ってる 店の従業員が気にして 飲み物を何度も替えに来るのすら 苛つく... [お連れ様ですが...] その声に、顔を上げれば 入口に...彼女が、、 『入り...』 「はい...」 #誰より君が好きだから

きき @Kikisubasan

25 少し腫れた目を引き摺って 「どうしたの？…随分強引な誘いだったけど」 そう言って笑う彼女の笑顔が 痛くて痛くて…堪らんかった …無理すんな 『まぁ、ほら、飲みもん頼み』 「…はい、」 俺、今どんな顔してる？ 彼女を真っ直ぐ見れなかった #誰より君が好きだから