マンガ展の全国巡回の仕組みと課題
最近はもう、日本じゅうあちこちで魅力的なマンガ展覧会が目白押しで、観に行くのもままならず、まして巡回誘致できるものなどほんの一握り…。デパート並みに1~2週間のサイクルで回せば扱い数はかなり増えるのですが、かんべんしてくださいしんでしまいます。
2016-08-26 02:32:23ついでにお詫びしておきますが、展覧会観に行きましたとか呟くと、おっ巡回するのかな、とご期待くださる方が有難いことにいらっしゃるのですが、すみません!ほとんどの場合は勉強しに観に行ってまして、回ってきませんのです。本当にごめんなさい。
2016-08-26 02:35:25巡回展というのは本来、開催館の共同出資でプロジェクトを立ち上げるべきもので、開幕時には巡回日程が(たまに追加開催も一部あるとは言え)決まっているのが本来なのです。が、マンガ関係はなぜか、東京の単館開催で企画制作してしまうことが多く、後付けの巡回誘致となり、色々難しいのです。
2016-08-26 02:40:48難しいというのは、原画の借用期間や図版使用の許諾期間の延長交渉が煩雑、東京開催の時点から地方の巡回会場を探しても美術館・博物館系は2年先くらいまで予定が一杯、大型展示物や展示ケースが運搬に向いていなかったり巡回先の会場に入らなかったりする…などなど、色々あるわけです。
2016-08-26 02:47:59出資だけして誘致する買い取り巡回展は、手間は比較的かからないがお金が結構かかる。逆に、自館単館で立ち上げる企画は、経費は節減できるが手間がとにかくかかる。他館と共同し自分たちで巡回展を立ち上げるとその中間で、経費も手間も助け合って多少節減できる。直近では「描く!」マンガ展がそう。
2016-08-26 03:00:13だから美術館も博物館も基本的には、複数の館で共同企画を立ち上げるのがベター。知恵を出し合い、かつ、参加各館の特性に鑑みて調整しながらの展示制作だから、突貫工事という訳にもいかず、3年なり4年なりかけてじっくりと進めていく。美術館や博物館の会場が急には空いていないのはそういう事情。
2016-08-26 03:05:08で、東京単館開催で立ち上がった展覧会を後付けで誘致して巡回すると、経費は通常の買い取り企画展と同様にかかる上に、ローカライズに手間暇が結構かかって、コスト面で割高になってしまう。魅力的な展覧会であればこそなおさらに。そのへんで躊躇してしまうことも少なくない。
2016-08-26 03:09:04そして、最初に東京で開催すると、コアなファン層は全国から東京へ駆けつけてしまうので、後付けで地方巡回をすると、集客面で結構ハンデを負ってしまう。隣の県くらいならいいが、隣の隣の県に足を延ばすよりは東京へ行く方が何かと便がいい、なんてのは全国どこでもよくある話だ。
2016-08-26 03:15:33そんなこんなで、魅力的なマンガ展覧会が、ひと昔前に比べると飛躍的に増えていて、それは感慨深いものがあるけれど、だからと言って巡回展がしやすくなったかというと、必ずしもそうでない。東京でしか観られないものは相変わらず多いのだ。色々変えていく工夫をしたいといつも思っている。
2016-08-26 03:21:19どなたかマンガ展覧会が最初から全国展開できてない事情について北九州市漫画ミュージアムの表さん @miche_r がおっしゃってる一連のツイートまとめて下さらないか…。ファンの不満もよくわかるので、知って欲しいし。でも普通の絵画展のようなスタイルに向けて前に進んで欲しいと思います。
2016-08-26 10:19:15地方のファンからしたら、地元に来るんなら、わざわざ東京行かないよ…って思うでしょう。萩尾先生の40周年原画展の時のことを思い出します。後から決まって、じわじわと地方巡回してくんだよ…。でも、単館での企画でなければ、もっとパワーもお金もつぎ込めるかもしれないのに、もったいない。
2016-08-26 10:21:55マンガ展の共同開催と巡回実現は、今の場所に移ってから5・6年ずっと主張し続けてきてやっと少し実現の道がみえてきたかな…という案件です。> twitter.com/hrhtm2011/stat…
2016-08-27 08:07:49「マンガ展の全国巡回の仕組みと課題」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1016779
2016-08-26 22:12:28>「『描く!』マンガ展」は、手間はかなりかかっていますが、マンガ専門のキュレーターにまかせて、マンガ自体を掘り下げることに予算をかけると、造作(アトラクション)に予算をそれほどかけなくてもいい展示ができる、ということを知ってほしいと思っての展示です。>
2016-08-27 08:15:52>これは、マンガ展の巡回の話だけでなく、まず最初は共同する同士の信頼関係、それからシステム、システムができてしまえば、最初ほど人がみえていなくても、担当者が変わっていってもできるようになると思います。>
2016-08-27 08:22:55>「『描く!』マンガ展」がよかったのは、立ち上げ館が県立の美術館で、予算をある程度潤沢に準備してくださり、自館の展示を作り全国巡回させるという経験が普通にあるキュレーターさんが担当だったことが大きいです。>
2016-08-27 08:27:22>担当さんは、マンガ展の実現が想像以上に大変で驚かれたことと思いますが。また、巡回という観点からはずれますが、監修の伊藤剛さんが、最初から、田中圭一さんという批評的目線を娯楽にかえることができる人に各作家さんの描線の掘り下げをしてもらうという案をもっていたこと>
2016-08-27 08:31:21>伊藤さんは、出展各作家さんに関する専門家の知見を入れるということを最初から希望されてもいたのもよかった。これは、私以外の各担当が、マンガ研究的目線のある巡回館のキュレーターが担当するという方向に集約されていきました>
2016-08-27 08:35:13>いずれにせよ「『描く!』マンガ展」は、踏襲されるにせよ、批判的に乗り越えられるにせよ、今後のマンガ展の基準のひとつになる展示になったのではないかな、と思います。本当によかったです。>
2016-08-27 08:37:39>いずれにせよ「『描く!』マンガ展」は、踏襲されるにせよ、批判的に乗り越えられるにせよ、今後のマンガ展の基準のひとつになる展示になったのではないかな、と思います。本当によかったです。>
2016-08-27 08:37:39@yamatomo413 ここでの「私以外」は私にマンガ研究的目線が無いということではなく(謙遜しません)、巡回館のキュレーターじゃないのが私だけということです。
2016-08-27 08:42:42@yamatomo413 ここでの「私以外」は私にマンガ研究的目線が無いということではなく(謙遜しません)、巡回館のキュレーターじゃないのが私だけということです。
2016-08-27 08:42:42>お手伝いさせてくださって、本当にありがとうございます。マンガ展の巡回と「『描く!』マンガ展」についてのツイートおわり。
2016-08-27 08:44:35>お手伝いさせてくださって、本当にありがとうございます。マンガ展の巡回と「『描く!』マンガ展」についてのツイートおわり。
2016-08-27 08:44:35>おわり、と書きましたがもうひとつ大事なこと。伊藤剛さんのサポートとして、若手マンガ研究者を監修アシスタントとして呼んだことも大きかったです。三輪健太朗さんは展示経験は全くない方でしたが、伊藤さんの意図を確実につかみ、現場と繋ぐ役を見事にこなして下さいました。
2016-08-27 10:35:53