- Huge_Kamaitachi
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姫騎士(52)。少女の時分には言い交した王子もいたが、相手は龍退治のときに受けた毒がもとで若くして死んだ。最期は腕に掻き抱いて看取った。
2016-09-04 22:53:12姫騎士(52)。一線を退いた騎士の初孫に名付け親になる。 「さ、抱いて下さいませ。姫様の手にとられれば、きっと勇ましい子に育ちます」 「む…わらわは、いささか赤児の扱いなぞ知らぬが」 「どうぞどうぞ」
2016-09-04 22:58:59姫騎士(52)。一線を退いた騎士の初孫に名付け親になる。 「さ、抱いて下さいませ。姫様の手にとられれば、きっと勇ましい子に育ちます」 「む…わらわは、いささか赤児の扱いなぞ知らぬが」 「どうぞどうぞ」
2016-09-04 22:58:59姫騎士(52)。向こう傷だらけの顔に、赤ん坊がにこにこ見つめてくるので、目じりに少し皺を作って微笑み返す。 「生きて、このような孫を得て、そなたは幸せものぞ」 とかつての部下に言うと、涙もろくなった相手ははらりと落涙。 「ありがたきお言葉」
2016-09-04 23:01:04姫騎士(52)。向こう傷だらけの顔に、赤ん坊がにこにこ見つめてくるので、目じりに少し皺を作って微笑み返す。 「生きて、このような孫を得て、そなたは幸せものぞ」 とかつての部下に言うと、涙もろくなった相手ははらりと落涙。 「ありがたきお言葉」
2016-09-04 23:01:04姫騎士(52)。馬にはモテモテ。たまに厩舎にあらわれると皆鼻づらを押し付けてくる。 新しく近衛についた若い騎士は髪をひっぱられて泡を食う 「王都育ちは馬に慣れぬか。今のうちにあしらいを覚えておけ、戦場でお前を生かすも殺すも馬次第だ」 「は、め、面目次第も」
2016-09-04 23:02:50姫騎士(52)。めったに着ないが園遊会ではちゃんとドレスもまとう。 だいたい戦勲のある騎士や将軍がまわりに集まって挨拶してくる。たまに若い侯子などが年長の親族とともにやってきて 「我が甥です。来年から北方の緑盾騎士団に入ります。どうぞよしなに」 「励めよ」
2016-09-04 23:07:38杯を掲げて若者に祝福を与える姿はやはり王族なので優雅な姫騎士(52)。続いて貴婦人ぜんとした太り肉の姪が機嫌うかがいに。 「まあまあ叔母上、うらやましいこと。相変わらず細身を保っていらして、それに若い騎士がひきもきらさず挨拶に来て」
2016-09-04 23:13:32「毎日馬で二刻ばかり駆ければすぐ贅肉は落るもの。今からでも試してはいかが」 「私が乗っても潰れない馬がおりますかしら」 「探してみましょう」 といって杯を打ち合わせる。姫騎士(52)が優しく目を細めて見おろすと、姪はなんだか嬉しくなるのだった。
2016-09-04 23:14:58でも姫騎士(52)はやはり戦場に帰っていってしまうのだ。 敵の砦の地下に穴を掘って豚をいっぱい送り込んで火をつけてぶっ飛ばす豚爆弾とかを命じながら涼しい顔しているのだ。
2016-09-04 23:19:52姫騎士(52)も若い頃は先陣を切るのを好んで部下をやきもきさせたが、体がついてこなくなると、さすがに本陣で指揮をとる普通の将軍になった。
2016-09-04 23:21:43姫騎士(52)。勝利のあと、最後まで抗戦していた砦主と対面して、煤で汚れた、まだ少年のような顔だちが、遠い昔に死んだ許婚と似ているのにはっとして、かたわらの紋章官に目で問うと 血筋の耳打ちがあって、許婚だった王子の遠縁と分かる。 「捕虜として正しく扱うと約束しよう」 「部下を」
2016-09-04 23:28:17「私の家来を傷つけぬと誓ってほしい。雑役ひとりにいたるまで。降伏の条件だったはず」 「無論。まず身を清められよ。後ほど食事を供にしながら話し合おうではないか。たいしたものは差し上げられぬが」 「ありがたいが、焼き豚ならもう結構」 破れて傲然とした砦主の態度に、嗤う姫騎士(52)。
2016-09-04 23:31:37援軍の届かぬ敵地の奥深く。たてこもった岩屋で、革袋に残った生臭い水をひとくち舐め、祖国を思う歌を低く口ずさんで、 「お前達を国に連れて帰ってやれぬのが心残りだ…」 「殿下」 「殿下…」 すすりなく家来に微笑んでから、苦しみを表に出さずに逝く。
2016-09-04 23:35:38姫騎士(52)。でも亡骸は敵の手には落ちず、援軍が故国に持って帰るのだ。葬儀のときは、生き残った家来が煌く鎧兜に身を固め、いかめしく棺の四方を囲んで行進するのだ。
2016-09-04 23:37:00姫騎士(52)は、国の守護者として像が作られるし、いつか危機が訪れるときは、陵を蹴り破って帰還し、高らかに角笛を吹き鳴らして、軍勢を集め、外患を打ち払うという伝説とかも残る。
2016-09-04 23:38:41「あれ?でもこの北方の大戦で敵の三酋長を倒したときは、すでに姫騎士様は48だったのでは?」 「いいんだよ!!俺の叙事詩では永遠の16歳なの。その方が聞き手も喜ぶ!!」 「はあ」
2016-09-04 23:42:59